3月1日以来の交渉も事前準備も進む
現地2022年3月6日(日)、CBA交渉が再開されます。今度は舞台をニューヨークに移しての開催です。これは現地1日(火)にフロリダでマラソン交渉を行って以来の会合になります。
この間は、双方の2番手に当たる立場の人がともに弁護人も同席して、交渉の根回しをしていたとも報じられており、事前に詰められるところは詰めて行く様相も呈しています。
拡大プレーオフ容認が事態打開の鍵になるか!?
噂ではこの会談で、選手会はMLB側が推す14クラブによる拡大プレーオフも考慮に入れると伝えられており、それ次第では事態打開も有り得そうです(選手会は12クラブの拡大プレーオフを推しています)。
というのも、選手会のターゲットはあくまで贅沢税の閾値、ミニマム・サラリーそして調停前選手のプール金額や対象人数のアップではありますが、それを受け入れさせるのに、MLB側が求める14クラブによる拡大プレーオフの容認も交渉の大きなカードになるからです。
選手たちはシーズンの重みと真の実力を重視
この拡大プレーオフが実現されれば、大手ネットワークとフランチャイズ・ローカルの放映権料がクラブ側にもたらされます。お金の面は後述します。
選手達が14クラブによるプレーオフを一旦は拒絶したのは、ディビジョンを制したクラブへの地区優勝のインセンティブが減ることと、本当に強いかどうか競争力が疑問だという点にあります。ここで言うインセンティブとはお金の話ではなく、地区優勝したというシーズンの功績のことで、14クラブならそれが反映されにくいという考えからです。
シャーザー「14案は越えてはいけないレッドライン」
選手会の8人の委員の一人である今季からメッツのマックス・シャーザーはプレーオフを抜本的に変えることに力を入れており、これまでの拡大ポストシーズンの交渉の中で、「14クラブ案は越えてはいけないレッドライン」だと表明したと言われています。シャーザーは地区優勝クラブに十分な報酬が与えられないことを懸念したのでした。
14クラブ案
では、現状伝えらえられている14クラブのプレーオフのフォーマットがどんなものかを簡単に見て行きます。これは現地2022年3月6日(日)の交渉前の情報で、単なるシミュレーションです。
ゴースト・ゲームあり
ワールドシリーズはAL、NLのリーグチャンピオンの2クラブが対戦、その前のLCSはAL2クラブ、NL2クラブの計4クラブが決めることがフォーマットには必要です。
そのLCSへの4クラブを出すたには、DS(Division Series)でALとNLでそれぞれ4カード、8クラブを決める必要がある訳です。
その8クラブをどう決めるか?というのが拡大プレーオフの焦点であるのは一応書いておきます。
現在、出ている案は下記のような案です。
【AL/NLともに】
- 地区優勝勝率1位 ===>自動的にDSへ
- 地区優勝勝率2位 ===>下位3クラブから1つピック/Home
- 地区優勝勝率3位 ===>下位3クラブの残り2つから1つピック/ Home
- ワイルドカード勝率1位===>下位3クラブのうち残ったクラブと対戦/ Home
- ワイルドカード勝率2位
- ワイルドカード勝率3位
- ワイルドカード勝率4位
リーグの勝率1位は自動的にDSへ進出。これがゴースト・ゲームということになります。地区優勝のクラブで2番目に勝率の高いクラブが下位3クラブからどこかをピック。地区優勝の勝率3位のクラブは下位3クラブの残り2クラブのうちどちらかをピック。そしてワイルドカード勝率の一番高いクラブが残りの1クラブと対戦するというもの。
地区優勝の勝率2位、3位とワイルドカードの勝率1位はホーム・フィールド・アドバンテージあり。
2021年で考えると・・・
ではこれを2021年の勝率で考えるとどうなるのか?
【2021AL勝率トップ7】
- TBR: 100-62/ .617
- HOU: 95-67 / .586
- CWS: 93-69 / .574
- BOS: 92-70 / .568※
- NYY: 92-70 / .568
- TOR: 91-71 / .562
- SEA: 90-72 / .556
※レッドソックスとヤンキースの勝率は同じですが、直接対決でレッドソックスが10勝9敗と勝っているので、レッドソックスが上に来ています。ちなみに2021年のナ・リーグはこちら。
【2021 NL勝率トップ7】
- SFG: 107-55/ .654
- MIL: 95-67 / .586
- ATL: 88-73 / .547
- LAD: 106-56/ .654
- STL: 90-72/ .556
- CIN: 83-79/ .512
- PHI: 82-80 / .506
シャーザーが「14は超えてはいけないレッドラインだ」と言ったのは、これ以上増えると勝率5割以下のクラブも参戦する可能性が増えるためだと思われます。もし、上位8クラブなら、NLはパドレスが入ってきて、パドレスは79-83で5割のラインを切っていました。また、場合によっては7クラブの中に勝率5割を切ってくるクラブも出てくることでしょう。
ア・リーグで行くと、勝率トップのレイズがまず自動的にALに。レイズはワイルドカードを戦わないので、ゴースト・ゲームが発生することになります。MLBは収益の観点からゴースト・ゲームを出したくないのです。
そして勝率2位のアストロズが7位のマリナーズを指名したとして、勝率3位のホワイトソックスがブルージェイズを選択したとします。レッドソックスは自動的に残りクラブとなったヤンキースと対戦するというそのような顔合わせになります。
アドバンテージを付けるか?
この案はワイルドカードの3カードは、3試合のうち2試合先勝でDSへ進出というシナリオなのですが、ここで地区優勝したクラブに1勝のアドバンテージを与えるかどうかも議論になってきそうです。
レギュラーシーズンを重んじたい場合は1勝のアドバンテージを与えるかもしれませんが、地区優勝のクラブが1試合目に勝った場合はそれで終了です。もし、3試合戦うことになれば、DSでも最大5試合あり、しかも2021年のNLウェストのようにレギュラーシーズンの最後まで順位争いをしていれば、投手に相当な負担がかかってきそうです。
対戦相手選択はTV中継
そして、このプランには対戦相手の選択をテレビ中継することが盛り込まれています。
12クラブ案
DS(Division Series)に両リーグともに4クラブずつ選出するのが、そもそもの要件ですが、12クラブ案なら、勝率トップ2が自動的にDSに行き、地区優勝勝率3位とワイルドカード3クラブの計4クラブでなんらかの対戦方式で残りのDS進出クラブを決めるという方式しかないように思えます。そして、ゴーストゲームが出現するのは必至。
2021年はドジャースが106勝を上げても地区優勝出来ませんでしたが、2位ではあるものの、ブルワーズ、ブレーブスよりも勝率が高かったので、地区優勝のクラブがワイルドカードを戦っても良いようにも思います。
筆者は12クラブ程度で良いとは思うのですが・・・。
2020年は16クラブが参戦
なお、2020年は16クラブがポストシーズンに参戦しました。ただ、ワイルドカードシリーズはあまり記憶に残っていないんですよね。
NFLは拡大プレーオフを実施し、盛り上がる
2021-22シーズンでNFLは拡大プレーオフを実施済み。まさに14クラブ案です。各リーグで自動的にディビジョン・シリーズに進出するクラブを1つだけにして、ワイルドカードを3カード作りました。
視聴的には大成功で、スーパーワイルドカードの週末は、例年の同時期より21%増の3050万人の視聴者を記録したと言います。
ファンはPS拡大を求めているのか?
アメリカではNFLで大成功だった拡大プレーオフをMLBも実施すべきという声も多いようです。ファンはむしろポストシーズンを見たがっているのだと。
そして上述したようにお金の話ですが、たとえばESPNは14クラブ制に$100M、12クラブ制なら$85Mを支払うことに同意しているようで、これはワイルドカードのセレクション・ショーを含めた放映権料とも言われており、つまりは大手ネットワークもファンがそれを見たいと考えているということです。たとえば考えようですが、ワイルドカード・シリーズをレギュラーシーズンの163試合目の特別なマッチアップとして捉えれば、シーズン終盤戦のように盛り上がるかもしれません。
少し別の角度から見れば、MLBとNFLではゲームの数が比較になりませんし、その蓄積はやっている選手が重く感じるのではないでしょうかね?レギュラーシーズンの地区優勝の優位性を下げたくないというのはやはりそういう心理から来るものだと思うのです。
変化を受け入れるかどうかという分岐点かもしれません。
いずれにせよ、14案なら、贅沢税、ミニマム・サラリー、調停前ボーナス・プールの引き上げもあり得るでしょう。12案なら選手会はラインを下げないとかなり長期化しそうな気がします。14案になりそうな気配がしますけどね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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