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【MLBロックアウト】キャンプの延期はほぼ確実な状況に

2022年2月2日の交渉

 現地2022年2月2日(火)、MLBと選手会との団体交渉が行われました。今回は前週の1月25日に行われた内容の一部を継続審議したというところでしたが、大きな進展はなく、スプリング・トレーニングの延期はほぼ確実という状況になってきました。

選手たちも延期を想定

 コア・エコノミクスの1つで、調停前資格の選手が活躍した場合にそれをサラリーで報いるための仕組みである「ボーナス・プール」の金額に大きな開きがあった両者。この時点で選手たちも、例年、2月半ばからスタートするワークアウトはもう遅れるだろうと想定しています。もう、2月に入りましたからね。

 12月2日にMLB(オーナー側)が選手をロックアウトして以来、交渉が滞っていますが、いつ解除になるかは交渉の盛り上がり次第ですが、まだ煮詰まっていません。

選手会:ボーナスプールの額を引き下げ(わずか)

 1月25日の交渉で提示された両者のボーナス・プールの金額はこちら。

  • 選手会側: $105 M /  MLB側:$10M

 2月2日の交渉では、選手会側がプールの金額を$105Mから$100Mへ引き下げたようです。

 これは金額そのものよりも、選手会側が交渉に応じるという一つの意思を示した数字のように思います。その代わり、そんなに譲らないぞというメッセージ性の強い数字に思います。

その他、選手会側が賛同した点

 また、選手会は以下の点にも賛同あるいは譲歩したと見られています。

MLS+1年追加でFAを早める選手の対象者数の削減

 これは一言で言えば、活躍した選手にはMLSを1年追加してFAを早める道をつける制度のこと。その仕組みを作ろうとしています。

 「活躍」というのが曖昧ですから、Awardで何位に入ったか?をその基準にしましょうということです。以前の選手会の要求人数は下記のAwardでトップ10もしくは30位までにランクインした選手が対象でした。そして、2月2日に譲歩した人数がこちらです。

2/2に譲歩した人数:

  • ROY: 5位以内 / リリーバー・オブ・ザ・イヤー:3位以内
  • もしくは、オールMLB1位/2位に選出され(AチームかBチームに選出)されて、なおかつ
    • INF/OFの選手はWARが上位7位以内
    • ピッチャー(スターター、リリーバーともに)はWARランク上位20位以内

 選手会は対象人数を減らしてはいるのですが、FA前資格の選手がその対象となるAwardにどれだけランクインするかにも依ります。今回の交渉で譲歩したと言っていいのかどうかわかりませんが、条件を狭めたのは事実ですね。

 もっとも、対象範囲を狭めたとしても、毎年なんらかの飛び抜けた成績をあげる選手は出てきますので、この制度が完成すれば、毎年、FAが早まる選手は出てくるとは思います。

選手会:MLS操作をしないクラブにドラフトの報酬には前向き

 選手会は、トッププロスペクトのMLSを操作をしないクラブにはドラフト指名で報酬を与えるという考え方に前向きです。これもわずかな進展のうちの1つでもあります。

ここまでの流れ

 現地2021年12月1日、MLBは選手会に対し、FA資格、レベニュー・シェアリングの問題、調停の変更(選手会はMLS3年ではなく2年のすべての選手が対象にすることを望んだ)はいったんは協議の対象にしないことを伝え、これらを交渉のテーマから外して他の問題に集中することを提案。選手会はこの案を拒否。これによりロックアウト前の最後の会議は7分間で終了しました。

 その後、両者は43日ぶりに再会。現地2022年1月24日のミーティングです。その2022年の最初のミーティングでは、ほとんど話し合いが進展せず。

 その翌日の1月25日のミーティングでようやく交渉のスタート地点が見えたというところでした。

 それを受けての2月2日のミーティング。まだまだでしたね。

今後

 両者の間には、いくつかの重要な問題で大きな開きがあり、そのほとんどすべてが、近年、オーナー側に有利になっているゲームの中核を担う選手の経済性。これは何かというと、FA前選手が大いに活躍しているがゆえに、オーナー側はサラリーを抑えるのに成功しているという意味です。若手選手の平均年俸は4シーズン連続で下がっており、選手たちは様々な分野でその逆転を模索しています。

 ユニバーサルDHなど、フィールド上の制度変更は割とすぐに決めてしまおうというふうに見えます。実際、ユニバーサルDHはおそらく実施されるでしょう。

双方、ハイボールを投げすぎ

 交渉のテクニックとして、ハイボール(高いボール)を投げるというのがあります。これは一旦はとんでもない条件を投げておいて、そこを見せることで譲歩するレベルを想定よりも良い結果に落ち着かせようというテクニック。2020年の開幕での交渉でも見られましたが、今回もその手法が見られます。双方ともにその手法を使いすぎて、着地点が見えません。ハイボールを使うならもっと頻度高く会ってもらいたいですね。

 両者ともに背後に大きなものを背負っているので、大変なことは事実ですが、開幕の遅延はあってはいけませんが、スプリングトレーニングのゲームの延期でもMLBには大きな痛手です。なぜなら、スプリングトレーニングのゲームはファンが一流選手をシーズン中より間近に見られ、接する機会が多いからです。

 キャンプインしているNPBが羨ましいですね。

 また、肝心の贅沢税基準額の設定もまだですね。本当に決定事項が多すぎます。コア・エコノミクス以外のフィールドの新ルールはすぐに話し合われるとのことです。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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