レッドソックス、MLB初の2人目の女性コーチ誕生へ
現地2022年1月25日のお話になりますが、ボストン・レッドソックスが2022シーズンに向け、マイナーのダブルAレベルであるポートランド・シードックスの新コーチにケイティー・クラール(Katie Krall)さんを採用することを決定しました。
Katie Krall '18 has been hired as a player development coach in the @RedSox organization—making the franchise the first to have multiple female coaches.
— Northwestern (@NorthwesternU) January 28, 2022
Last year, she spoke to Northwestern Magazine on how she hopes to change the culture inside baseball.https://t.co/dsbZ83K8dW
このケイティー・クラールさん(以下敬称略)は調べると非常に面白い人物で、将来の女性GM候補にもなり得る優秀な人材であることがわかってきました。
まだ24才!
上の埋め込みを見ていただいておわかりの通り、非常に若いです。まだ24才。正確な誕生日はわかりませんが、複数のソースを見る限り、2022年2月に25才になるとのこと。
ということは、逆算すると生まれ年は1997年。MLBファンの目安として、1997年生まれで選手を挙げるとブレーブスのロナルド・アクーニャ・Jr.がそうです。他に、オジー・アルビーズ(これまたブレーブス)、ヨルダン・アルバレス(アストロズ)などと同じ世代。
レッドソックス、1997年生まれがおらず!
では、肝心のレッドソックスでは誰と同い年になるのかを調べたところ、1997年生まれは、現地2022年1月29日時点では、なんと誰もおりませんでした!!この年の生まれのプレーヤーがいないというのは2年ほど前のプロスペクト枯渇問題と関係しそうですね。
ちなみにその1年前の1996年生まれとなると、ラファエル・デバース、アレックス・ベルドゥーゴ、ジャレン・デュラン、タナー・ハウク、ギャレット・ウィットロック、ダーウィンゾン・ヘルナンデスをはじめ、タレント達が豊富におりますので、ひとまずレッドソックス・ファンは安心ですね。
ちょっと余談でしたが、このケイティー・クラールはまずその若さに驚きますね。そしてさらに驚くのがなんとテック・ジャイアント(Tech Giant)の出身。
Google入社&MBA
レッドソックスのポートランド・シードックスに入る前はどうしていたかというとなんとGoogle!
ただし、2ヶ月ほどしか在籍しておりません。2ヶ月なら試用期間ではないか!とお思いになるでしょう。私もそう思います。
ただ、Googleに入ったのは、請われてのことです。どうして請われるほどの魅力がったかは直前のレッズでのアナリスト経験、さらにその他の精力的な活動が起因していると思います(詳細は後述)。
2021年11月(つい、この間!)に、Googleから強いオファーを受けて入社。グローバル・ストラテジー・チームに加わりました。
たった、2ヶ月ほどでしたが、グーグルの優れたテクノロジーからいくつかの教訓を得て、それを野球に適用したいと思っていたようです。
同時に、この時期にシカゴ大学でMBAも取得しています。
ケイティー・クラールのキャリアを整理
Park Ridge’s Katie Krall hired for Boston Red Sox; becomes team’s second female coach https://t.co/yHpnVzHDuO pic.twitter.com/VdmChxS4wn
— Chicago Unvrz (@ChicagoUnvrz) January 28, 2022
あまりに若いのと、かなり色々やっておられるので、筆者もその足跡と意欲に面食らっているのですが、整理するとこのような感じのようです。
- 1997年生まれ 24才(2022年2月に25才)
ベースボール関連キャリア
野球関連のキャリアとビジネスキャリアはほぼ並行しています。 並びは直近の分から記載しています。
- Google : Market Strategy Program Manager (2021年11月 – 2022年1月)
- シカゴにて
- シンシナティ・レッズ : ベースボール・オペレーション・アナリスト(2020年1月 – 2021年10月)
- MLBオフィス:コーディネーター、リーグ・エコノミクス・運営担当(2018年6月 – 2020年1月)
- ニューヨークにて。MLBのダイバーシティ・プログラムで1300名の応募の中から採用される
- ケイプ・コッド・ベースボール・リーグのアシスタントGM(2016年12月 – 2017年8月)
- マサチューセッツ州にて、カレッジ・ベースボールのサマー・リーグで選手のレポートをまとめていたようです。
- ワールドシリーズ・トロフィー・ツアー・コーディネータ(2016年11月 – 2017年3月)
- シカゴ・カブスのワールドシリーズ制覇後に、地元自治体も巻き込んで、カブス由来の主要地域を巡るツアーを企画、運営。
学歴関連
- ノースウェスタン大学で歴史、アートを専攻(2015-2018年)。3年で卒業したようです。
- シカゴ大学(MBA取得)2020年
このようにケイティー・クラールは大学時代から非常に精力的に活動し、ベースボールにも積極的に参加してきました。
シカゴ大学でMBAを取得しながら、レッズでアナリストをしていたというのが特に大きなインパクトを残しているようですね。そんなこと並行してやれるの!!??というのも驚きですが、彼女のキャリアを見る限り、Googleも一緒に働きたいと思いますよね。
レッドソックスが声掛け
前後しますが、野球に関わりたいと懇願していた彼女ですが、人生の判断として一旦はGoogleに入社したのは上述の通りです。
ところが、その後にレッドソックスから声がかかります。Googleに入ってすぐの2021年11月中のことです。レッドソックスのベースボール・ディベロップメント・マネージャーであるクリス・スタシオが、「レッドソックスのマイナー傘下のクラブに、データとフィールドでのコーチングを統合する新しいプログラムを実装(=導入)したいので、その重要なロールをお願いできませんか?」との依頼でした。
当初、コーチ経験もない彼女は戸惑ったと言います。しかし、そこはターゲットを決めて落とすという精力的なタイプの彼女ですから、今回それを引き受けたとのことです。
レッドソックスでの役割
ケイティー・クラールは、正式にダブルAレベルのポートランド・シードックスの選手育成コーチとして採用されました。彼女の仕事は、高度なスカウティング、試合中の戦略、選手に対してテクノロジーとデータを統合し、パフォーマンスを向上させるとともに、ゲームの分析およびスポーツ科学全般に貢献するというものです。
これはやる気が出そうですね!!
2人目の女性コーチ
レッドソックスが女性コーチを採用するのは2人目のこと。一人目は、ビアンカ・スミスさん。2022年1月1日にこの情報が出て、1月6日に正式にアナウンスされました。
Red Sox to hire first Black female MLB coach https://t.co/BgHAY7I4U9
— WCVB-TV Boston (@WCVB) January 1, 2021
ビアンカ・スミスさんは29才。マイナーのコーチの就任に決定していますが、マイナーのどのレベルのクラブに所属するかはまだ不明です。ただ、現地2022年1月29日時点では、ヤング・プロスペクト達をフロリダ州のフォートメイヤーズに集めて行われるウォームアップ・プログラムにすでに参加しています。ケイティー・クラールさんもこれに参加。
このビアンカ・スミスさんはいつかGMになることを目標にしているようです。
なお、ジャイアンツにはすでにアリッサ・ナッケンさんがMLBレベルでのコーチとして活動しています。
なお、ヤンキースも2022年1月12日に、レイチェル・バルコベックさんをクラスAマイナスのタンパ・ターポンズの監督として採用しています。
#MLBNHotStove is back today at 9am ET, followed by the @Yankees' introduction of @TampaTarpons manager Rachel Balkovec at 12pm ET 📺 pic.twitter.com/LgO6LSXqLK
— MLB Network (@MLBNetwork) January 12, 2022
意欲的!
It’s not necessarily looking at big datasets and having a eureka moment, I think the information I’m looking at is pretty comparable to what we had in Cincinnati. That’s what the other 29 teams have. It’s more so, how do we translate that then? And then I think , that I’m a woman and maybe can have a different approach to the way I transfer information, by being very aware of how I individualize myself when I talk to different players, because every guy is different and probably responds differently stimuli in his own way. ”
大量のデータを見て「これはすごい!」と思う必要はないんです。「私が見ているデータは、シンシナティで得たものとほぼ同じだと思います。他の29チームも同じです。それよりも、それをどのように反映させるか。そして、私は女性で情報を伝達する方法に対して今までとは異なるアプローチをとることができると思います。
ケイティー・クラールさんの今後に期待したいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
【参考リンク】
- MLB各クラブのマイナー組織リスト
- Double-A: Portland Sea Dogs
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