2021ALサイ・ヤング賞左腕のディール
現地2021年12月24日も大きな動きがありません。本日もロックアウト前に駆け込みで決まったディールについて書きたいと思います。
本日は、2021年のア・リーグのサイ・ヤング賞左腕のロビー・レイについてです。
マリナーズと5年/115Mドル
ロビー・レイとマリナーズは、現地2021年11月30日、大型ディールを成立させました。内容なこちらです。
- 5年/$115M (2022-2026)
- 2021: $21M/ 2022: $21M/ 2023: $23M/ 2024: $25M/ 2025: $25M
- 2024シーズン終了後にオプトアウトあり
- 2022-23はフル・ノートレード条項あり
- 2023シーズン終了後、トレードとなる場合は$1Mのトレード・アサインメント・ボーナス
- AAV(Annual Average Value)は、$23M
まずサラリーですが、AAVで$23Mとかなりのインパクトとなります。そして、注目したいのが、2023シーズン終了後にオプトアウトが入っていること。ロビー・レイがその時のクラブ事情によって、残りの契約をこのまま更新するか、他のクラブへ行くかの選択肢があるという内容ですね。
2度目のFAイヤーにサイ・ヤング賞
ロビー・レイの2021シーズンのサラリーは1年/$8M。そこから比べると今回のマリナーズとの契約は、大幅にアップしました。約3倍ですね。
これはサイ・ヤング賞効果でもあります。
1度目のFA時、TORは1年契約しか提示せず
2019年オフのお話から始めます。ロビー・レイは当時Dバックスに在籍。2019年終了後、調停のファイナル・イヤーとなっていたロビー・レイは、2020年1月にDバックスと1年/$9.43Mでサインしていました。
そして2020年8月30日のトレード・デッドライン(2020年は特殊シーズンだったがゆえに、TDLもその設定になっていました)で、Dバックスからブルージェイズへ移籍。2017年に15勝5敗、ERA 2.89、奪三振218、SO9 12.1をマークしたロビー・レイは以降、移籍市場で常に名前が挙がっていました。Dバックスはこれまでトレードの切り札として温存していましたが、2020シーズンが始まり、乱調が続いてレイを半ば諦める形で手放しました。
2020年の不調は、ジオリト型のショート・テイクバック
いい選手ほど、毎年なんらかの進化を遂げようと努力しますが、たまにその努力が裏目になることがあります。
2020年のロビー・レイがまさにそうで、球速アップとコントロールの安定を目指して、ホワイトソックスのルーカス・ジオリトのようなショート・レンジのテイクバックに変えてシーズンIN。ボールの重みを生かして、楽に腕を上げてフィニッシュだけ力を入れるというスナップスローをするような感じのテイクバックですね。
ところが、2020シーズン初っ端から四球を連発。7先発して、31イニングで31四球を出したのでした。Dバックスでの7試合でのBB9は9.0と大いに荒れてしまったのでした。進化目的が完全に裏目に。
そして8月後半に元のテイクバックに直したところ、コントロールが安定。落ち着きを取り戻しました。ただ、ブルージェイズにおいても、BB9は6.1と高い数字が出てしまいました。
一時は、肩肘の故障か?とヒヤリとさせましたが、進化を目指した努力が裏目に出たことがわかり、関係者をホッとさせたのでした。
2020年のこの数字があったため、ロビー・レイは初FAを前年ダウンのサラリーでサインせざるを得ませんでした。
一方、ブルージェイズ側も2020年の収益減があったため、ロビー・レイとの契約に大きな冒険が出来ませんでした。仮にピッチング・コーチが適切にレポートしていたとしても、おそらくマルチイヤーでの契約はしなかったでしょう。それくらい、2020年の収益減は各クラブに大きなインパクトを与えました。
2021年にサイ・ヤング賞
自らのメカニックを把握したロビー・レイは2021年に大躍進。サイ・ヤング賞を獲得したのはご承知のとおりです。
ERA2.84、奪三振248と投手の主要タイトル2冠を達成。サイ・ヤング賞は文句無しでしたね。
【ロビー・レイ 2021成績】
WIN | Lose | 先発 | IP | ERA | SO | WHIP | BB9 | SO9 | ERA+ |
13 | 7 | 32 | 193.1 | 2.84 | 248 | 1.045 | 2.4 | 11.5 | 154 |
AL1位 | AL1位 | AL 1位 | AL 1位 | AL1位 |
ロビー・レイは1991年10月1日生まれで、2020シーズンは30才で開幕を迎えます。もともとは2010年ナショナルズ12巡目指名。高校卒でのプロ入りでした。
2013年、ナショナルズがダグ・フィスターを獲得したトレードでイアン・クロール、スティーブ・ロンバードージとともにタイガースへ移籍。デビューは翌年の2014年です。
ルーキーイヤーを過ごした直後の2014年12月、タイガースからDバックスへ移籍。このディールはヤンキース、Dバックス、タイガースの三角トレードで、ヤンキースがDバックスからディディ・グレゴリアスを獲得したトレードです。また、現ブレーブスのシェーン・グリーンもこの時、ヤンキースからタイガースへ移籍しました。
そしてDバックスでは2017年に15勝5敗をマークし、一躍注目を浴び、その後は上述の通りです。
マリナーズ、戦力が充実
ロビー・レイを獲得したマリナーズ。2021シーズンは惜しくもポストシーズン進出を逃しましたが、いい芽が出ていますね。
ローテーションだけでこんなに充実。菊池投手が抜けてこれです。
- ロビー・レイ(L):13-7/ ERA 2.84 (サイ・ヤング賞)
- マルコ・ゴンザレス(L):10-6/ ERA 3.96
- クリス・フレクセン: 14-6/ ERA 3.61
- ローガン・ギルバート: 6-5/ ERA 4.68 (ルーキー・イヤー)
- ジャスティス・シェフィールド(L): 7-8/ ERA 6.83
豪腕、アンドレ・ムニョスの実質的なカムバック・イヤー!
更に朗報なのが、豪腕のアンドレ・ムニョスが帰ってきます!2019年に20才でメジャーデビューしたムニョスは、22試合、23.0イニングに登板し、1勝1敗、ERA3.91を記録。 SO9が11.7、BB9が4.3。100マイルを連発した投手です。
しかし、2020年3月にトミー・ジョン手術。トミー・ジョン手術のリハビリ中の2020年8月30日のトレード・デッドラインでマリナーズへ移籍。
移籍組のタイ・フランスらは2021年は大いにがんばりましたね。
アンドレ・ムニョスですが、2021シーズン、実は復帰しました。ただし、10月3日のエンゼルスとの最終戦に6回に0.2イニングだけ。よって、2022年が実質的なカムバック・イヤーとなります。
肘の調子を見ながら、おそらくゲーム後半に出てくると思われます。これは2019年の時はストライクとボールがはっきりしていて、まだコントロールに不安はあると思います。しかし、楽しみな逸材でもあります。
マリナーズ、結構いい戦力です。
レンジャーズも強化していますし、大谷選手の2022年はなかなか厳しい環境になりますね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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