MLB用語
こんにちは。
2021年のレギュラーシーズンは最終戦が10月3日に設定されていますが、9月が実質上のラストマンスということになりますね。
シーズン終盤によく出てくるのが”マジック・ナンバー”と”エリミネーション・ナンバー(Elimination Number)”。
「マジック・ナンバー」はNPBでは、もう昔から使われるおなじみの用語です。首位を走るチームがあとどれくらい勝てば優勝するのか?というのを示す数字ですが、MLBでよく使われるのが、”Elimination Number(エリミネーション・ナンバー)”。
このエリミネーションというのがわかりにくいと思いますが、まずマジック・ナンバーの方を理解されてからの方がよりわかりやすいと思いますので、まずはマジックナンバーについて。
マジック・ナンバーとは?
マジック・ナンバーは、MLBではあまり使わないように思いますが、やはりこの時期になると、かなりの頻度で使われます。もともとアメリカ発祥の用語ですからね。
何への数字かというと、ディビジョン優勝(地区優勝)への数字です。いろいろなマジック・ナンバーの使い方がありますが、地区優勝へ至る数字というのがもっともポピュラーですので、それで見ていただければと思います。
意味は「呪文」から
マジックと聞くと、ついつい「油性」などのあのマジックを思いついてしまいますが、語源としては、「呪文、まじない」の方です。よく言われているのが、ビンゴ・ゲームが起源で、「1来い、1来い」などと唱えるその様から。
マジック・ナンバーの計算式(Formula)
マジック・ナンバーには3つほど式があります。2つはすぐに計算できる式。もう一つは数学的な式です。これはちょっと省略します。
先に結論から書きますと、その1とその2は答えが同じになります。
計算式【その1】
【その1】
- 1位のレギュラーシーズン残り試合 + 1 – (2位の敗戦数 – 1位の敗戦数)
なぜ1を加えるかは、計算上で差をつけるためです。ちなみに、レギュラーシーズンは162試合ですね。
計算式【その1】サンプル(実例)
サンプルを見てみましょう。2021年9月13日終了時点のア・リーグ東地区のトップ2がこれです。
# | Club | W | L | 消化 | 残り |
1 | Rays | 89 | 55 | 144試合 | 18試合 |
2 | Blue Jays | 81 | 63 | 144試合 | 18試合 |
(計算方法)
必要なのは、1位の残り試合数と、1位の敗戦数と2位の敗戦数。では、現地2021年9月13日時点のレイズのマジックナンバーを出してみます。
- レイズのRS残り試合数 18 + 1 – (ブルージェイズの負け数 63 – レイズの負け数 55) = 19 – 8 =11
この時点でのレイズのマジックナンバーは11。
計算式【その2】
筆者はよく【その2】で計算しています。残り試合数を計算する手間が省けるからです。
【その2】
- レギュラーシーズン総試合数 + 1 – 1位の勝利数 – 2位の敗戦数
- = 163 – 1位の勝利数 – 2位の敗戦数
計算式(その2)サンプル(実例)
こちらでもレイズのマジックナンバーを出してみます。
# | Club | W | L |
1 | Rays | 89 | 55 |
2 | Blue Jays | 81 | 63 |
(計算方法)
- 163 – レイズの勝利数 89 – ブルージェイズの負け数 63 = 11
Elimination Numberとは
Elimination Number(エリミネーション・ナンバー)はレギュラーシーズン後半に順位表を見ていて、よく目にするこの列です。レギュラーシーズンの順位表のタブで見ると、下記のように出てきます。
意味は、地区優勝からの「除去、敗退」
Elimination の意味をご存じの方なら、「除去」という意味ですから、言って見れば敗退で、何からの敗退かというと、地区優勝からの敗退を意味します。
ワイルドカードのタブをクリックした際のWCEと出てきます。これは後述します。まずはレギュラーシーズンの方から。
ちなみに、”Elimination Number”は、悲劇を意味する”Tragic Number”とも言います。
(1位)マジックナンバー = (2位以下)エリミネーションナンバー
上記2つの式を利用し、マジック・ナンバーを計算してみたところ、数字は、同じになりました。
これから言えることは、上記の式から出した数字は、首位にとってはマジック・ナンバー。2位以下にとっては、エリミネーション・ナンバーになるということです。英語の説明で、マジック・ナンバーとエリミネーション・ナンバーが整理しにくくなるのはこういう理由からです。
実際、この時点でのレイズのマジック・ナンバーは、11ということになります。2位のブルージェイズのエリミネーションナンバーも11ということがわかりました。
3位以下のエリミネーション・ナンバーの計算
では、3位以下はどう計算するかというと、式は同じですが、当てはめる数字が変わってきます。
4位で計算
4位のレッドソックスで計算してみましょう。上記の順位表のところの#Eでは9が出ていますね。
# | Club | W | L |
1 | Rays | 89 | 55 |
4 | Red Sox | 81 | 65 |
【その1の式】レイズのRS残り試合数 18 + 1 – (レッドソックスの負け数 65 – レイズの負け数 55) = 19 – 10 = 9
【その2の式】163 – レイズの勝利数 89 – レッドソックスの負け数 65 = 9
普通の足し算と引き算なので、ブルージェイズより2敗多いわけですから、エリミネーション・ナンバーも2つ少ない9になるとも考えられます。
そしてオリオールズのところについているEは、地区優勝争いから数字上も敗退しているということに。
ワイルドカードのエリミネーションナンバー
ではワイルドカードのエリミネーション・ナンバーを見てみましょう。ただ、結論から言いますと、ワイルドカードの順位表を見るための解釈の助けにしかなりません。応援しているクラブがワイルドカードに行けるかどうか?を見るには、確率を見る方がよいです。それは後述。ただ、敗退しているかどうかはEがついているかどうかですから、すぐに分かります。
赤枠のWCEがWild Card Elimination。下記のスクリーンショットは現地9月16日時点のものです。
3番目枠の敗戦数を計算に
計算式その2の方がシンプルなので、それを使う前提で書きますと、ワイルドカードは枠が2つですので、3位のクラブの敗戦数を用いて計算することになります。
3枠目以降が敗退ですから、この時点ではヤンキースの敗戦数65を使います。
- 162+1 – ブルージェイズの勝利数 82 – ヤンキースの敗戦数65 = 16。
ヤンキースはあと16試合に負けるとワイルドカードから敗退・・・と言っても、この時点でヤンキースは残りゲームが15試合ですから、なんの数字かというと、残り16試合ある、ブルージェイズのワイルドカード1枠目のマジックナンバー。
いすれにせよ、残り試合がカウントダウンになってしまってあまり実態を表していませんね。
ワイルドカードの確率
筆者は下記をよく見ています。
上記リンクを踏んだあと、American League Playoff Picture と National League Playoff Picture があるので、ア・リーグ、ナ・リーグそれぞれ見たい方に進む。
どう見るか?というと、Division Winners、Wildcard、No Playoffsと1行目に展開されていますが、例えばRaysを→に見てみると、Division Winnersが90%、2位が 9%、3位が 1%未満というふうに記載されており、レイズはDivision Winnerに落ち着くというふうに見られます。
仮にレッドソックスはどうかというと、この時点ではワイルドカード1枠目が55%、2枠目が27%、ワイルドカード敗退の芽もまだあり、18%ということに。
以上です。
エリミネーション・ナンバーがややピンと来ない点を明確にしたつもりですが、いかがでしょうか?ご参考になれば幸いです。よろしくお願いします。
お読みいただき、ありがとうございました。
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