どうもおかしいと思ったら
現地2021年5月24日(月)、ミネソタ・ツインズの前田健太投手が、右足内転筋を傷め、10-Day IL入りとなりました。
また、現地2021年5月22日(土)のこととなりますが、テキサス・レンジャーズの有原投手もIL入り。有原投手の場合、かなり深刻で、傷めたのは右肩で、手術を要します。
前田投手は昨年のトリメンダスな活躍が影を潜め、また、今季デビューとなった有原投手は、開幕当初は見事な投球を披露したものの、直近3試合は「らしさ」が消えてしまっており、ともに「おかしいな」と思わせる状態が続いており、怪我が原因の不調であることが明らかとなりました。
前田投手は内転筋
24日にIL入りとなった前田投手が傷めたのは、右足の内転筋(adductor “アダクター”)。股関節周りですね。常に入念に準備する前田投手であっても、このような怪我が発生してしまうことにメジャーの激しさを感じますね。
2020年サイ・ヤング賞2位
前田投手の2020シーズンの安定感はご承知の通りです。ツインズ・デビューの年が短縮シーズンとなり、調整も難しかったはずですが、11スタートで66.2 イニングを投げ、6勝1敗、ERA 2.70、WHIP 0.750をマーク。ア・リーグのサイヤング賞2位の得票となりました。ナ・リーグのサイヤング賞2位はダルビッシュ投手でしたね。
ツインズの2021年開幕投手
今季はツインズの開幕投手となった前田投手ですが、4月1日のブルワーズとのオープニングゲームでは5回途中で2失点で降板。2戦目となった4月7日のタイガース戦では6回を被安打7、失点2のクオリティー・スタートを見せ、今季初勝利。これで乗っていくであろうと思いましたが、その後は3戦にスタートして2敗。特に4月21日のアスレチックス戦では3回を被安打8、失点7とらしくない投球となりました。
5月3日のレンジャーズ戦でようやく無失点投球を見せ、今季2勝目。今度こそ大丈夫かと思われましたが、以降は先発としてなんとか5イニングを全うしようと奮戦していたものの、3失点以上が続いていました。
4シームが走らない
調子が悪いなりにも、イニングを稼ぎ、炎上したのは1度だけという意地の投球を見せていたものの、内転筋が悲鳴を上げたというところのようです。
今季はここまで7試合、28.1イニングを投げ、2勝3敗、ERA 6.59。
IL前最後の登板となった現地22日のインディアンス戦では、4シームは90mphをなんとか出せていたというところで、5回には89 mph(143.23kmh)台となっていました。
このまま4シームを走らせようと無理をすると肩肘に影響が出るため、今回のIL入りは賢明な判断だったのではないかと思います。
軸足の内転筋は体を支え、体重移動に重要な役割を果たす箇所ゆえに、球速にも多いに関係があります。ベロシティー・ダウンはそういうことだったのかと思いました。肩肘ではなくてまだ不幸中の幸いというところですね。
復帰は未定です。微妙な箇所なのでまずはしっかりと治してからというところでしょう。場合によってはILの延長もあると思います。回復次第ですね。
有原投手は右肩の動脈瘤
有原投手ですが、かなり深刻です。右肩に動脈瘤(aneurysm: アニュアリズム)が出来ていたようです。そして手術を要することになりました。
有原投手の回復は12週間以上
有原投手ですが、回復までに12週間かかる見込みです。3ヶ月ですから、8月20日前後。そこからリハビリに入りますから、おそらく1ヶ月は要し、最速で復帰したとしても、9月下旬でシーズン終盤。
これでレンジャーズがポストシーズンに出場する状況なら、その復帰もあり得るかと思います。ただ、レンジャーズは現地2021年5月24日時点でア・リーグ西地区3位。マリナーズ、エンゼルスが取りこぼし、浮いてきた3位で、他の地区の勝率と比較しても、ポストシーズンに行くなら西地区を制するしかありません。まだ開幕2ヶ月弱ですから、今後どうなるかはわかりません。有原投手にとっても、張り合いはある方がいいですね。
4月半ばには2試合連続で無失点
今季MLBデビューの有原投手は、7試合、28.2イニングに登板し、2勝3敗、ERA 6.59。4月14日のレイズ戦では、5.2イニングで被安打3、無失点。さらに、4月19日のエンゼルス戦でも、5.2イニングで被安打2、無失点をマークするなど、らしさを発揮。
ただ、それ以降の3試合はいずれも3イニングもたず、5失点、6失点、5失点とラフ・アウティングが続いていたため、ERAは6.59と悪くなっていたのでした。
ダニー・ファークハーは脳の動脈瘤出血
MLBで動脈瘤なら、当時ホワイトソックスにいたダニー・ファークハーがいます。ただし、彼の場合は脳の動脈瘤で脳内出血を伴ったという命の危険がありました。
ちなみにダニー・ファークハーは、アストロズのサイン・スティーリングにいち早く気づいた投手でもありましたね。オフスピードのボールを投げる前に、ゴミ箱を叩く音が聞こえるという証拠映像が彼の投球時でのものでした。
デービッド・コーンも肩に動脈瘤
レンジャーズGMのジョン・ダニエルズ氏もかつてそうであったと漏らしていましたようですが、野球選手が右肩に動脈瘤というのはあまり聞かないなと思ったら事例がありました。
メッツ、ヤンキースで活躍し、ヤンキースのトーリ体制1年めに大活躍した炎のエース、デービッド・コーンがそうでした。デービッド・コーンのエースらしい振る舞いは下記の記事に記しています。
デービッド・コーンは1995年7月28日にブルージェイズからヤンキースへ移籍。上記のリンクはヤンキース移籍2年目の1996年のワールドシリーズのことです。
その1996年のシーズンですが、開幕からローテーションと機能し、5月2日までに4勝1敗と好調だったものの、右肩の違和感を感じ、検査の結果、右肩に動脈瘤ができていたことが判明。手術となりそこからシーズンを離脱。
復帰したのは、9月2日のことでした。復帰まで要した期間は4ヶ月。9月に復帰した後は、5試合で3勝1敗。結局、このシーズンは7勝2敗、ERA 2.88。
右肩に不安がありながら、1996年のワールドシリーズのGame3で実にエースらしい投球を見せたのでした。
コーンは手術2年後に20勝7敗
ちなみに、デービッド・コーンですが、手術2年後の1998年のシーズンは20勝7敗、ERA 3.55でサイ・ヤング賞4位に入りました。
そういった事例もあるので、有原投手もしっかり治して復帰してもらいたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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