衝撃が走ったプホルズのDFA
現地2021年5月6日になりますが、ロサンゼルス・エンゼルスがアルベルト・プホルズ(Albert Pujols )をDFAとしたのは、すでにメジャー・ファンならずともご承知の通りです。
プホルズの名前の表記ですが、今は実況などでは、「アルバート」と呼び方や表記が一般的となっていますが、今から10年以上前はむしろ「アルベルト」と発音することが多かったので、当ブログではアルベルトという呼び方で統一させていただいています。
「本当に?」というのが筆者の一番の感想でした。中には「いまの成績ではね」とGM目線でご覧になられている方もいらっしゃるかもしれませんね。
なぜこのタイミング?特に、プホルズ側の視点からはそう思います。それはエンゼルス側にも言えることです。この点に関しては後述します。
DFAとは
DFAに関しては下記の記事に詳細を記しています。
簡単に表記させていただくと、DFA(Designated for Assigment)とは、40manロスターから外れることを意味します。メジャーで試合に出るには26名のアクティブ・ロスターに入る必要があります。そのアクティブ・ロスターに入るには、40人枠とも言いますが、40manロスターに入らないといけません。この40manロスターまでがメジャー契約です。
よって、40manロスターから外れると、試合に出られなくなるということですね。今回のプホルズは手続きの流れとしてはこのままリリースとなる可能性が非常に高いです。実質的には「戦力外」であることから、DFA=戦力外と結びつけたいとは思うのですが、それは違いますので、上記の記事もお読みいただければ幸いです。だいぶその点は浸透してきているとは思うのですが、本質思考の人からすれば、「やっぱり、戦力外じゃないか」と思うかもしれませんね。しかし、くどいようですが、違います。すっきりしなくて良いこともあるのです!
なぜDFA=戦力外と違うのか?
そうしたい理由はその反対が起こるからで、それは、戦力として復活する可能性があるからです。
ごくごく簡単に書きますと、DFA後にマイナーにいくケースがあり、場合によってはマイナーからまたメジャー契約、つまり40manロスターに入って、さらにアクティブ・ロスターに入って、ゲームに出ることもあるからです。しかも、そのようなケースも珍しくはないからです。
そう考えると、やはり、DFAというのはいったんその枠に期間限定でおさまって、しかるべき処置に入るというものであり、トレード、マイナー、リリース&FAという結論があるもの。こう捉えるのがもっともシンプルかもしれません。
プホルズの今後の手続き
さて、プホルズの気になる今後ですが、手続き上は以下になります。
- トレードの模索
- 7日のウェーバー公示
- クレームオフ(獲得)→他のクラブへ
- クレームオフなし
- マイナーへアウトライト→拒否→FA
- マイナーへ行かず、FA
ウェーバーにかける前にまずはトレードを模索します。それがなければ7日間のウェーバー公示。ウェーバーで獲得するクラブが表れれば、そちらに。ウェーバーで獲得するクラブが無ければ、クリアー・ウェーバーと呼ばれ、マイナーにいく、あるいはそのままリリースとなりFAに。プホルズの場合は、マイナーへの拒否権がありますから、そのままリリース→FAという流れになりそうです。
プホルズの現契約
プホルズの現契約は2011年12月にエンゼルスと結んだ10年/$240M(2012-2021)。契約では支払い金額はバラバラで、ファイナルイヤーがもっとも多い金額設定になっています。2021年のサラリーは$30M。ちなみに、贅沢税上のサラリー計算は均等割ですので、$24Mです。
2021年の30Mドルはどうなる?
気になるのが2021年の$30Mの支払いですね。これが今後の所属クラブにも影響してきます。一応、このような形になります。
- トレード:2021年の$30Mを日割りにして残額は次のクラブが引き継ぐ
- ウェーバーで他クラブが獲得
- エンゼルス:$30Mの残額 – メジャー最低契約($570,500のプロレーティッド:日割り)
- 獲得したクラブ:メジャーの最低金額($570,500のプロレーティッド:日割り)
エンゼルスはロスター枠を優先
エンゼルスのペリー・ミネイジアンGMは、5日(水)のレイズ戦の後、球団社長のジョン・カルピノとともにプホルズと3人で話し合ったとしています。この結論に”no fight”としていましたが、どうだったのでしょうか?
プホルズ、ヤーブロー戦欠場に激怒
5日(水)は大谷選手の出場ゲームでしたが、レイズはオープナーでアンドリュー・キットリッジの後、バルクイニングを2番手のライアン・ヤーブローに任せることは明白でした。プホルズとヤーブローは9打数6安打、2HR、2ダブル、7 RBIといわばお得意様。にもかかわらず、ベンチだったことに対し、怒ったとの報も。
ウォルシュ、大谷選手の起用
エンゼルスはパブリック・コメントとしてはプホルズの業績に敬意を表しつつ、今季の戦力事情についても明かしています。エンゼルスはトレードで獲得したデクスター・ファウラーを開幕早々に膝十字靭帯(ACL)断裂でシーズン全休で欠く事態に。しかし、2015年ドラフト39巡目指名のジャレッド・ウォルシュが台頭。OFとして非常に機能しています。プホルズが1Bで出場機会に恵まれたのもこの影響がありました。
また、DHとしては大谷翔平選手が現地2021年5月7日時点で10HRの大活躍。DHのポジションは大谷選手が最優先となります。
今後、ウォルシュを1Bで起用できる汎用性の広さも考えたときに、プホルズのDFAは致し方なかったという見解です。
LAA、30Mドルを負うなら
確かにロスター枠の問題は戦力を整えるためには重要です。ただ、プホルズの$30Mのサラリーを考えたときに、トレードは厳しく、そうなるとリリース&FAということに。たとえ、そうなったとしても2021年のエンゼルスの$30Mの支払いは残るはずですので、ここでDFAにするよりも少しでもプホルズに居てもらった方がよいという考え方もあるように思います。ただ、文化の違いか、メジャーリーグはバッサリ行きますね。
毎試合出たいプホルズ
クラブ側とのミスマッチの要因として、エンゼルスのミネイジアンGMはプホルズは毎試合出たいという高い意識があるのだとも言っており、そこでクラブ側とのミスマッチがあったとも。
STLでの10年とLAAでの10年
プホルズのキャリア・スタッツは前半10シーズンに際立った活躍が偏っていたのも事実。エンゼルスに移籍後は、ご覧のとおり、AWARDはゼロ。
STL (2001-2011) | LAA (2011-2021) |
2001: ROY/SS/MVP-4 2002: MVP-2 2003: ASG/MVP-2/SS 2004: ASG/MVP-3/SS 2005: ASG/ MVP-1 2006: ASG/MVP-2/GG 2007: ASG/MVP-9 2008: ASG/MVP-1/SS 2009:ASG/MVP-1/SS 2010: ASG/MVP-2/SS/GG 2011: MVP-5 | 2012: MVP-17 2014: MVP-17 2015: ASG |
エンゼルスには32才で移籍。まあ、こうなってしまいますね。
ピーク:サラリー低/ピーク後:サラリー高
メジャーリーグの契約は実績を旗印にするため、ピークまでの上り坂の期間はサラリーが低く、FAを取得し、ピークを過ぎた後はサラリーが高いという現象が生じます。今は少しはマシになってきていますが、このパフォーマンスと金額の関係を見た場合、そのようなギャップが生じてしまいます。
引退のリークは誰が?
シーズン前にプホルズが今季の契約終了で引退するという報道が出ました。しかし、その後本人はその意思を否定。いったい誰がリークしたのでしょうか?
それを考えてもエンゼルスとプホルズの関係は少なくとも特別良いものではなかったのではないか?と考えるのは勘ぐり過ぎでしょうか。
通算HR 669、RBI 2,112、安打数3,259のプホルズがこれらの数字をまだ伸ばすのか?今後の動向に注目ですね。
追記:ウェーバーをクリアー
現地2021年5月13日の情報です。アルベルト・プホルズはウェーバーをクリアーしました。”Cleared weaver” とは、ウェーバー公示の期間にクレームオフ(獲得)されなかったということ。そして、もちろんマイナーに行かないプロホルズはFAとなりました。
エンゼルスの負っている契約とはまた別の話になりますので、オファーするクラブは新たな格安条件で提示することになりそうです。具体的には上記で記したウェーバーで獲得した場合と同じ条件です。
- エンゼルス:$30Mの残額 – メジャー最低契約($570,500のプロレーティッド:日割り)
- 獲得したクラブ:メジャーの最低金額で契約($570,500のプロレーティッド:日割り)
二重取りになってしまうので、エンゼルスは$30Mの残額 から リーグミニマムの日割り
また、出場優先に舵を切っているだろうプホルズは、オファーのあるクラブがあれば優先して考えることになるでしょう。
お読みいただき、ありがとうございました。
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