A’s、シーズン半分の期間、クローザーを失う
現地2021年4月8日、アスレチックスにとって痛すぎるニュースが入ってきました。今オフ、クローザー・ロールにと、苦心に苦心を重ねて獲得したトレバー・ローゼンタール(Trevor Rosenthal)が、右肩手術のため、3ヶ月ほど離脱することが決定。
アスレチックスがなんとか資金をやりくりして獲得したクローザーがこのような結果になるのは痛すぎます。
開幕スタートでつまづき、7日のドジャース戦でサヨナラ勝ちをおさめ、ようやく今季初勝利を上げて、さあこれからというアスレチックスでしたが、まだまだ厳しい戦いを強いられそうです。
症状はTOS(Thoracic Outlet Syndrome)
右肩手術となるトレバー・ローゼンタールですが、原因はTOS(Thoracic Outlet Syndrome)、日本語ですと、胸郭出口症候群。これは一種の血行障害とでもいうような症状を伴います。
胸郭出口症候群とは
この症状ですが、過去にクリス・アーチャーがこの症状にかかり、手術しました。以下の引用部分はそのときの記事に書かせていただいた内容です。
この症状はかなり一般的。そして投手にも多い症状です。「出口」というのは心臓から伸びる血管が胸郭を出たという意味からで、そこに原因があるためです。鎖骨から首の当たりの箇所、そしてより腕に近い箇所などの神経が圧迫されます。
重度の神経血管圧迫
トレバー・ローゼンタールはいわば、投げるのが苦しい状態に陥っていました。少しでも早い復帰を考えたアスレチックスとトレバー・ローゼンタール側は、現地7日にすでに手術を行いました。TOSにより、重度の神経血管圧迫にさらされていたトレバー・ローゼンタール。この手術で腕のしびれからは開放されそうです。
手術内容はかなり大掛かり。第一肋骨を除去し、小胸筋をリリースし、斜角筋もリリースするといった内容だった模様。 下記の理学療法士さんのツイートの画像が今回のローゼンタールの症状をイメージするのにかなり近いと思われます。
第一肋骨を除去するなんて大丈夫か?と思いますが、症状により除去するケースもかなりあるようです。第一肋骨の場所ですが、あまりリアルなものを貼るよりは、下記のポップなツイート画像を参考にしていただければと思います。
いずれのデザインも左側の一番の上の骨がないのがおわかりいただけるでしょうか?そこが第一肋骨です。
復帰のタイムテーブル
復帰のタイムテーブルですが、ローゼンタールは一旦、約8週間で一度目の回復度合いをチェックする診断を受けます。この時点で2ヶ月ですね。そこでうまく行けばリハビリとなり、順調に行けば計12週間(=3ヶ月)で復帰となる予定ですが、アスレチックスとしては前半戦にローゼンタールがいないことでゲームプランを練らなければなりません。
今季はまだ登板なし
さて、トレバー・ローゼンタールですが、2021シーズンはまだ登板がありません。
アスレチックスはただでさえ、マーカス・セミエン、クリス・ブライアントが抜けました。レンジャーズからエルビス・アンドラスを獲得したとは言え、やはり攻撃力はダウン。さらに、ゲーム後半にどっしりしたクローザーがいるかいないかは打線にも大きな影響を与えますから、ローゼンタールが開幕からいないことは今季のスタートのつまづきに与えた影響も大きいでしょう。
スプリングトレーニング中は鼠径部
トレバー・ローゼンタールはスプリングトレーニングには投げていました。ただ、鼠径部のハリのため出遅れ。カクタス・リーグでは4ゲームで4.0 IP、被安打5、失点2、奪三振4で2.25ERAをマークしていました。
2020年に復活
2020年のトレードデッドラインでは本当に人気急上昇となったトレバー・ローゼンタール。ロイヤルズでは14試合で、0勝0敗7セーブ、ERAは3.29をマーク。パドレス移籍後tは9試合で1勝0敗、4セーブ、ERAは0.00でした。
シーズントータルのERAは1.90。もう、カージナルス時代の剛球ではありませんが、ヘルシーであれば、やはりいいボールを投げます。
ディークマンのCLしかなさそう
アスレチックスですが、トレバー・ローゼンタールが不在となったことで、左腕のジェイク・ディークマンがブルペンからセーブオポチュニティーのロールを担うことが期待されています。もう、彼しかいませんね。ハードスロー系は、できれば中盤以降の厳しい場面で使いたいですから。
以上です。
これまでも工夫に工夫を重ね、歴史を紡いできたアスレチックス。この試練がこのチームをどう進化させるのか、見てみたいと思います。
追記:シーズンエンディングへ
現状の戦力をうまく機能させていてるアスレチックスが、シーズン後半にトレバー・ローゼンタールを迎えれば、ALウェストの制覇も現実味を帯びてくる!というふうに考えていたのですが、情報がアップデートされました。
現地2021年7月7日、アスレチックスのボブ・メルビン監督は、トレバー・ローゼンタールが” tore a labrum in his hip”、つまり股関節唇を損傷。手術が必要であり、2021シーズンは投げないことを発表しました。
股関節唇とは、ボールのような足の骨の先端とその受けとなるソケットの役割を果たしている股関節の骨盤側についているいわば軟骨のような組織。受けを経験するクッションのようなものでしょうか。
TOSの前に鼠径部をいためていたトレバー・ローゼンタールは要はそちら側の怪我が再発症してひどくなった様相。股関節唇を傷めると、鼠径部からお尻にかけて激しい痛みが襲い、かなりの苦痛のようです。
残念ながら、アスレチックスでの登板がなくなったトレバー・ローゼンタール。まずは肝心要の腰周辺のケアをしっかりケアしてまた復帰してもらいたいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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