FA田中投手の状況
田中将大投手は2020年10月下旬に、クオリファイング・オファーの提示がなく、7年/$155M (2014-20)の契約期間満了を経てそのままFAになりました。
実績ある右腕のFAということでレッドソックスをはじめ、複数のクラブが関心を示すも、未だ契約は成立せず。FAではないダルビッシュ投手の方が、パドレスへの移籍が先に決まってしまいました。
COVID−19の影響
2020年が通常のシーズンのようにたくさんのお客さんでスタンドが埋め尽くされ、入場料収入をゲット出来ていたなら、各クラブも収益が細ることなく、積極的に補強に着手したでしょう。おそらく田中投手獲得に関してももっと動きがあったことでしょう。
しかし、実際はゲート収入が途絶えたクラブ側の財布の紐は固くなるばかり。このような要素も話が進んでいない要因の一つと言えそうです。
参照点がM
それに田中投手の2020年のサラリーは$23Mで、そこが参照点となってしまうのもネックになっているかもしれません。
参照点とは増減を測る上での立脚点。仮に2020年のサラリーが$23Mで2021年のサラリーが$23Mのままなら、参照点が$23Mですから、嬉しさの度合いはそれほど高くない。ところが、2020年のサラリーが$10Mで2021年のサラリーが$20Mとなった場合、参照点が$10Mなので増額は2倍となるので嬉しさは増すというもの。
これは経済学の用語です。経済心理学とでも言った方が良いかもしれません。
この参照点からの増減で幸福度が決まるという理論も、2020年のCOVID-19による経済への大打撃を経験している多くの人には、ちょっと違和感も感じているかもしれませんね。増減よりも来年あるかどうか、あればとにかく感謝するという発想の方が納得が行くかもしれません。
横道にそれましたが、交渉のスタートが$23M前後からというのはなかなか条件としては厳しいのかもしれません。こればかりは当事者ではないため、憶測でしかありません。
ヤンキースか?楽天か?
現地2020年12月31日、ニュージャージーのメディア(Randy Miller of NJ Advance Media)が伝えているところによりますと、田中投手側はヤンキースと再契約するか、さもなくばNPBの東北楽天ゴールデンイーグルスに戻り日本で投げるという意思を持っているようです。
どこまで本当かはわかりませんが、「最後は楽天で」とそのキャリアの終焉のプランも持っているとのこと。
NYYはルメイヒューにフォーカス中
当のヤンキースはどうかというと、現時点では2BのD.J.ルメイヒューとの再契約を最優先でまとめているところです。
よって残念ながら現時点ではまずはルメイヒューというふうになっているのではないでしょうか?
鉄則ですが、瓶に石を詰めて行くには、まずは大きな石を入れないと後からは入りません。その意味で先にルメイヒューの話を進めているようにも思います。
ルメイヒューは5年0Mレンジか?
ルメイヒューが求めるプライスとヤンキースが払いたいプライスには差があることが問題で、だから時間がかかっているわけですが、D.J.ルメイヒュー側は5年$100Mレンジを希望とのこと。ざっとAAV(年平均)で$20M。
しかしヤンキース側は4年で$75Mから$80Mを求めていると言われています。$80MならAAVは$20M、$75MならAAVは$18M強。
AAVはそれほど開きがないのがポイントです。何年まで持たせるか?が焦点に。
2020年4月1日の開幕時点で32才のルメイヒューに対してどういう判断を下すのか、注目されます。
ヤンキースの2020贅沢税は大幅超過
2020年のヤンキースの贅沢税上のサラリーは基準額の$208Mに対して、$265M以上。$56M以上の超過。これで決まりかどうかというところですが、仮にそうでなくてこれに近い額で決まりそうです。
2021年のサラリー
そして、2021年のサラリーを高額順に見ていくと、このようになります。
【2021年サラリー】
- ゲリット・コール/ RHP: $36M
- ジャンカルロ・スタントン/ DH: $25M
- アロルディス・チャップマン/ LHP: $17.4M
- ザック・ブリットン/LHP: $13.0M
- アーロン・ヒックス/ CF: $10M
- ルイス・セベリーノ/ RHP: $10M
- アダム・オッタビーノ/ RHP: $9M
この時点で上記の主力7人だけでざっと$135Mほど。
計40名のロスターを積んでいく必要があり、ざっと20名ほどをMLB最低年俸の設定にするとそれでもプラス$12M。
$10M前後のサラリーの選手を獲得していくには人数に限りが出てくるようですね。
NYYのFA未契約投手
田中投手の他に気になるFA投手はハップとパクストン。
- 田中投手:$23M(2020)
- J.A.ハップ: $17M(2020)
- ジェームズ・パクストン: $12.5M(2020)
NYYはかなりの確率でスルーか?
ヤンキースですが、先発ローテーションの陣容にもよりますが、田中投手とは再契約をしないかもしれませんね。
あとは田中投手側も米国でプレーすることと日本でプレーすることのどちらかがいいか、生活面も含めて色々な要素から天秤にかけるのかもしれません。
あくまで現時点での情報です。ヤンキースのローテーションが固まらなければ声をかけてくるかもしれませんし、ローテーション右腕を欲しがっているクラブはレッドソックス、エンゼルスなど複数あります。
様子を見たいと思います。
メジャー通算7年で78勝46敗、ERA 3.74の田中投手。イニングイーターでもありますからヤンキースは再契約した方がゲーム運びは楽でしょうね。
Agentはケイシー・クロース
なお田中投手のAgentはもともとはCAA。元メッツGMワゲネン氏の出身Agentです。ケイシー・クロース(Casey Close)さんがCAAを辞めて、いわば独立したので、現在はケイシー・クロースとなっています。
編集後記
新年早々に当ブログをご訪問してくださった皆様、ご訪問ありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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