キャリア15年、強烈な印象の右打者
残念なニュースが入りましたね。
2019年のポストシーズン・ヒーローで、NLCSではMVPを獲得し、ナショナルズのワールドシリーズ制覇に大きく貢献した強打のハウィー・ケンドリック(Howie Kendrick)が自身のSNSで引退を表明しました。
「フロリダ州のキャラハンの街で5才から始まった夢。人生の大事なことは野球から学んだ。32年のベースボール人生に感謝してもしつくせない」。
“A dream that started as a 5 yr old boy in the town of Callahan, Florida, I will be forever grateful for the many life lessons baseball has taught me on this 32 yr journey.”
キャリア15年。37才での決断。そして5才から始めたプレーヤーとしての夢もここで一旦終幕となりました。
2019年ポストシーズンヒーロー
ハウィー・ケンドリックと言えば、2019年のポストシーズン・ヒーロー。
ここぞというところでの勝負強さ(WS2019 Game 7)
2019ワールドシリーズ Game7。アストロズに2点をリードされたナショナルズはザック・グレインキに淡々と封じ込まれ、このまま逃げ切られる空気さえ漂っていました。その形成を一気に打ち破ったのがハウィー・ケンドリックでした。
7回表、まずアンソニー・レンドンが反撃の狼煙となるソロHRを放ち、1-2に。つづくフアン・ソトが四球で歩き、ここでザック・グレインキは降板。アストロズはシリーズのブルペンエースとなっていたウィル・ハリスへスイッチ。
そしてバッターはハウィー・ケンドリック。
ワールドシリーズ最終戦の終盤、一番の勝負どころの打席で、ハウィー・ケンドリックはウィル・ハリスの一番いいボールであるアウトコース低めのカットボールをライトポール際に2ランHRを放ちました。
このシーンは本当に不思議だったと思います。よくあのコースの、しかも相手投手の一番いいボールを叩いてHRにしたなという驚き。しかも、逆転するならここしかないというポイントで見事に仕事をやりきったというすごさ。
とても印象に残るシーンでした。
NLCSではMVP
また、カージナルスとのNLCSでも勝負強さを発揮。シリーズでは15打数5安打、4ダブル、4 RBIと活躍。MVPに選ばれました。
特にGame3での3本の二塁打は秀逸でしたね。ナショナルズのNLCSでの4連勝に大きく貢献しました。
ドジャースとのNLDS最終戦で勝負を決めるGS
ハウィー・ケンドリックの2019年のポストシーズンの活躍については、ワールドシリーズGame7での逆転2ランよりも、こちらのNLDS最終戦で勝負を決めたグランドスラムの方が印象に残っている方が多いかもしれません。
打たれたのはジョー・ケリーでしたね。もうファストボール一本に絞っていたような打席でした。
このようにポストシーズンの要所要所で、ここで打てば流れが変わるとか、ここで打てば勝負が決まるというポイントをことごとく制していった豪胆さがハウィー・ケンドリックの魅力でもありました。
ドラフトは10巡目
そんな勝負強いハウィー・ケンドリックのキャリアを振り返ってみますと、1983年7月12日生まれで、37才での引退となったのは上述の通りです。
ドラフトは2002年のエンゼルスの10巡目指名。非常に遅いラウンドでの指名でした。2020年は5巡目指名で終わりましたが、遅めのラウンドでもこのような逸材が出るかもわからないので、やはり短縮ドラフトはもったいないです。
ハウィー・ケンドリックは高校卒の野手でしたから、10巡目指名でもまだ早い方の指名とも言えるかもしません。
デビューは2006年4月26日。
エンゼルスには2014シーズンまで計9シーズン在籍。デビュー3年目には92試合の出場ながら、打率.306を記録。5年目からはほぼ毎日ゲームに出場。2011年にはオールスターにも選出されました。
30才のシーズンを終えた2014年11月、ハウィー・ケンドリックはエンゼルスがアンドリュー・ヒーニーを獲得したトレードでドジャースへ移籍。
ドジャースには2015年と2016年の2年間在籍。2016シーズンは2Bだけでなく、3B、1B、DH、LFも守り、146試合に出場。
2016年オフ、ドジャースとフィリーズ間で成立したトレードでフィリーズへ移籍。しかし、フィリーズは2017年のトレードデッドラインでハウィー・ケンドリックをナショナルズにトレードに出します。これはもったいないトレードでした。
2017年11月にFAとなるも、2018年1月にナショナルズと再契約。2年/$7Mでした。
ワールドシリーズチャンプとなった2019年オフもFAとなりましたが、12月にナショナルズと1年/$6.25Mで再契約。2020シーズンを迎えました。
2020シーズンは、25試合に出場。少ないゲーム数ながらも91打数25安打で、.275を記録していました。
親しみやすさを感じさせる笑顔
ハウィー・ケンドリックは、上記の通り非常に勝負強いバッターですが、魅力はその打席だけでにとどまらず、案外笑顔にもあると思っています。
どこか親しみやすさを感じさせる表情。スポーツ選手としての厳しい側面を見せつつも、オープンさを感じさせるその風貌ゆえ、いろんな人に愛され、そして所属してきたチームでの愛されてきたのだと思います。
チームリーダー
また2019年のナショナルズの大逆転の影には、ライアン・ジマーマンとともにチームリーダーとしてグランド内外で若手を喚起したという秘話もありました。
例のあのパフォーマンスもチームを元気づける道化役さえも引き受けながら、見事にワールドシリーズ制覇に導いたのでした。その高いメンタリティーは尊敬に値するほどです。
Howie Kendrick retiring…one of my favorite baseball players of the last 15 years. What he did for the Nats (and fans)…man, I’ll never forget. Thank you #47. #Nationals pic.twitter.com/fh3O2jSiwc
— Doug McKinney (@DougieFreshIAm) December 22, 2020
32年間のベースボール人生に終止符ということでしたが、それはあくまでもプレーヤーとして。この高いメンタリティー、コミュニケーション能力はいずれスキッパー(監督)として声がかかることになるでしょう。
そうしたら、また新たなベースボール人生の始まりですね。
通算1621試合に出場。1,747安打を放ち、HRは127本、二塁打は354本。RBIは724。打率.294、OBP .337、SLG .430、OPS .767。
お疲れさまでした。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント