QOも厳しさが反映される
現地2020年11月1日、クオリファイング・オファーを提示された選手リストが出ました。クオリファイング・オファーとは元いたクラブがフリーエージェント(FA)の権利を取得した選手に対してワールドシリーズ終了から5日間、優先的に条件を提示できることを言います。期間は1年契約、提示額は年度ごとに決まる規定額で、2020年は$18.9Mです。
提示された選手一覧
2020年のQOを提示されたのは以下の選手たちです。数字は人数をよりわかりやすく出すための便宜上のものに過ぎません。ランキングなどではありませんので、念の為。
- J.T. リアルミュート(PHI)>>現地11/11 拒否を表明
- トレバー・バウアー(CIN)>>現地11/4 拒否を表明
- DJ ・ルメイヒュー(NYY)>>現地11/10 拒否を表明
- ジョージ・スプリンガー(HOU)>>現地11/10 拒否を表明
- マーカス・ストローマン(NYM)>>現地11/11 受諾を表明
- ケビン・ゴーズマン(SFG) >>現地11/11 受諾を表明
提示された選手たち
QOを提示された選手達はは受領するかどうかの返事をこれから10日以内に行うことになります。
随分とスリムになったのはもうこのオフの状況を物語っていると言っていいでしょう。
QOを提示する側(クラブ)とされる側(選手)
初FAの選手でFA市場でも注目の選手に関しては、通常のシーズンであれば、クラブ側はこのような動機でオファーを出します。
クラブ)「FAで売れるより安いかもわからないけど、とにかく確実に来年は契約します!規定の金額だけど、悪くないでしょ!!」と。
選手)「今、確実にQOを受けて来年分を確実にキープしておこうか?あるいはFA市場で勝負に打って出るか?」「ただ、マイク・ムスターカスの例もあるけど、どうするか?」
と大体このような目論見で進んで行きます。
ムースの例
わかりやすくムースこと、マイク・ムスターカスの名前を上げましたが、ムースは2017年オフFAとなり、$17.4MのQOを提示されるも、拒否。勝負に打って出ました!
しかし、2017年オフと2018年オフは単年で叩かれてしまい、2年間でようやく初年度のQOの提示額になったのでした。なお現契約はレッズと複数年で合意しています。
QOを提示されなかった選手
今年、クオリファイング・オファーを提示される資格があったにもかかわらず、提示されなかった選手達はこちらです。
QO受領の条件
・過去にQOの提示なし(=1度オファーを受けたら、2度めのQOはない)
・シーズン全期間を通して所属球団にいること。(移籍してきた人は対象外)
これらがQOを受ける資格のある選手達ですが、資格があったにも関わらず、提示されなかった選手はご覧の通りです。
- 田中将大投手(NYY)
- ジャッキー・ブラッドリー・ジュニア(BOS)
- アレックス・コロメ(CWS)
- ジェームス・マッキャン(CWS)
- ジェームス・パクストン(NYY)
- ディディ・グレゴリアス(PHI)
- ライアム・ヘンドリクス(OAK)
- マーカス・セミエン(OAK)
- マイケル・ブラントリー(HOU)
- アンドレルトン・シモンズ(LAA)
- ヤディアー・モリーナ(STL)
- ホセ・キンタナ(CHC)
- ジョク・ピダーソン(LAD)
- ブレイク・トライネン(LAD)
トレードゆえに提示されず
年内に移籍したのでQOを提示されなかった選手は以下の通りです。
- ジェイソン・カストロ(SDP)
- トミー・ラステラ(OAK)
- マイク・マイナー(OAK)
- ケビン・ビラー(COL)
- ロビー・レイ(TOR)
- ジョナサン・ビヤー(TOR)
- タイワン・ウォーカー(TOR)
また過去にすでに提示されたので、今回提示されなかったのは、ブレット・アンダーソン(MIL)、ジェイク・エアリエッタ(PHI)、ヨエニス・セスペデス(NYM)など。
QOとドラフト補償
QOを受けた選手が他のクラブと契約した場合、元いたクラブ側が補償として受け取るドラフトの選択権がわかっています。
それを考慮するのにまずはレベニュ・シェアリングを受けているかどうかと、贅沢税基準額を超えているかどうかも知っておく必要があります。
レベニュー・シェアリングと贅沢税の情報
どのクラブがレベニュー・シェアリングを受けているのか、公式サイトの情報をもとにリストアップします。
選手がQOを拒絶し、FAとなり他のクラブとサインした場合、元の所属先が得られるドラフト・ピック権です。
- J.T. リアルミュート(PHI)>>RS受領者ではない
- Competitive Balance Round Bの後
- トレバー・バウアー(CIN)>>RS受領
- $50M以上の契約:Round 1 and Competitive Balance Round Aの間
- $50M未満の契約:Competitive Balance Round Bの後
- DJ ・ルメイヒュー(NYY) >>贅沢税基準額超え
- Round 4 の後
- ジョージ・スプリンガー(HOU) >>贅沢税基準額超え
- Round 4 の後
- マーカス・ストローマン(NYM) >>RS受領者ではない
- Competitive Balance Round Bの後
- ケビン・ゴーズマン(SFG) >>RS受領者ではない
- Competitive Balance Round Bの後
獲得した側のペナルティー
QOを拒絶した選手を獲得したクラブは、財政状況に基づいて3段階のペナルティーが用意されています。
なお、ドジャースは贅沢税の基準額($208M)を超えていないことになっているのですが、これについては少し時間をください。ドジャースは超えているはずなのですが。。。
- 前年に贅沢税を超えているクラブは2巡目と5巡目の指名を失う。同時に海外選手と契約できる金額の外枠としてのインターナショナル・ボーナス・プールの100万ドルの枠を失う。もしそのクラブが複数のQO拒否選手と契約を結んだ場合、3巡目と5巡目の指名も失う。
- 対象: ヤンキース、 カブス、 アストロズ
- 獲得した側のクラブがレベニュー・シェアリングを受け取っていた場合、3巡目の指名権を失う。そのクラブが複数のQO拒否選手と契約を結んだ場合は、4巡目の指名権も失う。
- ブルワーズ、Dバックス、インディアンス、マリナーズ、マーリンズ、オリオールズ、パドレス、パイレーツ、レイズ、レッズ、ロッキーズ、ロイヤルズ、タイガース、ツインズ。
- 前年に贅沢税を超えておらず、且つレベニュー・シェアリングも受け取っていないクラブがQO拒否選手を獲得した場合、2巡目の指名権を失う。同時にインターナショナル・ボーナス・プールの50万ドル枠分も喪失する。もしそのクラブが複数のQO拒否選手と契約した場合、3巡目のピックとさらに追加でインターナショナル・ボーナス・プールの50万ドル分の枠を失う。
- 対象:エンゼルス、アスレチックス、ブルージェイズ、ブレーブス、カージナルス、ドジャース、ジャイアンツ、メッツ、ナショナルズ、フィリーズ、レンジャーズ、レッドソックス、ホワイトソックス
拒否前提の提示もあるか?
今回、6名にQOが提示されました。上記の通り、出て行かれた所属先はドラフトピック権が補償されます。よって、拒否するであろうことを前提にQOをオファーしたクラブもあるのではないか?という面も見えますね。
どうでしょうか?
結果は追って記して行きたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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