76才、華麗なる監督キャリア
シカゴ・ホワイトソックスは2021シーズンからの指揮を名将トニー・ラルーサに任せることに決定。現地2020年10月29日、正式発表を行いました。
シカゴ・ホワイトソックスは現地2020年10月2日のワイルドカードシリーズでアスレチックスに1勝2敗で敗れ、ポストシーズン敗退が決定。他クラブが火花を散らしているポストシーズン真っ只中の現地2020年10月12日に、4年間指揮を執ったリック・レンテリアを事実上解雇していました。
名将ラルーサにヤングタレント達を任せる
現時点のMLBでヤングタレントが最も揃っていると言っていいのがシカゴ・ホワイトソックス(年齢は現地2020年10月29日時点の満年齢を表記)。
- 3B ヨアン・モンカダ (25)
- CF ルイス・ロバート (23)
- LF イーロイ・ヒメネス (23)
- SP:ルーカス・ジオリト(26)
- SP:マイケル・コペック(24)
- SP: デーン・ダニング(25)
- SP/RP: ギャレット・クロシェ(21)
- 1B: アンドリュー・ボーン(22)
ヨアン・モンカダ、ルーカス・ジオリトはもう中堅に入れた方がいいかもしれませんが、ルイス・ロバート、イーロイ・ヒメネス、マイケル・コペック、ギャレット・クロシェなどはもう他のクラブからすれば垂涎の的ですね。上記の通り非常に若く、そして才能あふれる選手達が揃っています。しかも内外野、先発、ブルペンに至るまで。
また、中堅どころもほとんどが30才以下。33才のホセ・アブレイユがチームの精神的な柱を担います。
- SS ティム・アンダーソン (27)
- RP: アーロン・バマー(27)
- 1B: ホセ・アブレイユ (33)
- C: ヤズマニ・グランダール(31)
- C: ジェームス・マッキャン(30) ※FA
- 2B: レウリー・ガルシア(29)
若い才能と中堅の選手たちとの融合。そしてFAで入ってくる数名のベテラン達。これら3つの世代がうまく融合すればホワイトソックスはロングタームで成功を収める可能性があるのは明白ですね。それを任されたのが今回のトニー・ラルーサです。
トニー・ラルーサ、怒涛のマネジリアル・キャリア
トニー・ラルーサと言えば、2011年まで監督を務めたカージナルスのイメージが強いと思います。かく言う筆者もその一人ですが、そのトニー・ラルーサは監督経験が実に33年を数えるほどのすごいキャリアを持った人です。
- 1979-1986/途中:ホワイトソックス (8シーズン)
- 1986/途中-1995:アスレチックス(10シーズン)
- 1996-2011: カージナルス (16シーズン)
1979年にホワイトソックスで初めて監督として指揮を執ったのが34才の時。実は今回のホワイトソックスの監督就任は2度目です。
1度目のホワイトソックス監督のファイナル・イヤーとなった1986年、この年、ホワイトソックスは前半戦に苦戦。26勝38敗で借金10。これに対して当時のGMのケン・ハレルソン(Ken Harrelson)が怒り心頭。ラルーサを解雇したのでした。
現チェアマンであるジェリー・ラインズドルフ (Jerry Reinsdorf)はこの時の解雇をずっと悔やんでいました。あまりに近視眼的な発想であったと。それから数えること約25年。再びホワイトソックスで指揮を執る機会に恵まれました。なお今回の監督就任はその当時の義理があったがゆえに実現したことではいとチェアマンのジェリー・ラインズドルフは答えています。
ワールドシリーズチャンプに3度輝く
トニー・ラルーサはアスレチックス時代の1989年に監督として初めてワールドシリーズを制覇。アスレチックスではリーグチャンプに輝くこと計3度(ワールドシリーズイヤーも含む。1988-1990)。
カージナルス時代には2004年、2006年、2011年にリーグチャンプ。このうち2006年と2011年にはワールドシリーズを制覇しています。
計3度のワールドシリーズ制覇はすごいですね。
なお、地区優勝はホワイトソックスで1度(1983年)、アスレチックスでは1988-1990年の3連覇に加えて1992年の分も加えて計4度、カージナルスでは2000年、2002年、2004年-2006年、2009年と計6度達成しています。
33年の監督キャリアで勝率は.500超え
通常、長い間監督をしていると勝率は低くなるものですが、ラルーサは33年の監督キャリアで2,728勝2,365敗で勝率.536を誇ります。
監督としての勝利数は歴代3位。歴代1位は近代以前の時代も含まれるコニー・マック(Connie Mack)で3,731勝。1894年から1950年の間にピッツバーグ・パイレーツとフィラデルフィア・アスレチックスで計53年もの間、監督を務めました。
2位はジョン・マグロー(John McGraw)で2,763勝。この人も近代以前の時代も含む、1899年から1932年までの間にボルチモア・オリオールズ、ニューヨーク・ジャイアンツで計33年も監督を務めました。
もう近代ベースボールではトニー・ラルーサがダントツということになりますね。
76才という年齢
そんな素晴らしいマネジリアル・キャリアをもつトニー・ラルーサですが、唯一の懸念点は健康の問題。76才という年齢は時差を伴う移動がつきもののMLBではさすがに厳しいものがありそうです。
ご本人は2011年以降もずっと気持ちはベンチにあったというくらいの情熱家でもあります。
なおトニー・ラルーサはメジャー最年長の監督となりました。それまでは2020年にアストロズの監督を務めたダスティー・ベイカーの71才が最高でしたが、それを5才も上回りました。
なお、年齢においては2019年、メッツに82才のピッチング・コーチが誕生しました。フィル・リーガンです。現役時代、サンディー・コーファックスをリリーフしてセーブを上げたことがあるというエピソードを持つ人でした。
2011年以降も間接的に現場に携わってはいた
トニー・ラルーサは2011シーズンを最後に現場から離れていましたが、間接的には携わっていました。2014年にはダイヤモンドバックスのベースボール・オペレーションの相談役(正式なポジション名ではありません)のような立場で、ザック・グレインキの長期契約にも寄与。
さらに2017年にはデーブ・ドンブロウスキのスペシャル・アシスタントという立場でレッドソックスにも所属。アレックス・コーラの監督就任もラルーサが寄与したのでした。
知恵と経験の結晶のようなラルーサによって、ホワイトソックスのヤングタレント達がどう羽ばたくのか、見てみたいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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