あのドジャースが32年も待ちました
現地2020年10月27日、レイズ@ドジャースのワールドシリーズ Game6が行われ、ドジャースが中盤に逆転。3−1のスコアでレイズを退け、1988年にオーレル・ハーシュハイザーがエースとして大車輪の活躍をしてチャンプになって以来、実に32年ぶりのワールドシリーズ・チャンプに輝きました。
おめでとうございます!
MVPはコーリー・シーガー
MVPには今ワールドシリーズ6試合で、20打数8安打を放ち、打率.400、HR2本、RBI 5の成績を上げたコーリー・シーガーが選ばれました。コーリー・シーガーは27PA(打席)でBB(四球)が6もありましたから、OBPはなんと.556。SLGは .700を記録しました。
ムーキー・ベッツがリードオフを担い、2番にコーリー・シーガーがいたのですから、ドジャースの1、2番は恐ろしいほど機能しましたね。
ドジャース、覚悟のGame6
ドジャースが3勝2敗でチャンプに王手をかけて迎えたGame6はレイズがブレイク・スネル、ドジャースはトニー・ゴンソリンが先発。
Game4でとんでもない負け方をし、2勝2敗のタイとされたドジャースでしたが、Game5でしっかりと巻き返しに成功。3勝2敗としたわけですが、このGame6はドジャースとしては一番辛い先発のターンでもありました。Game7まで行けば、ウォーカー・ビューラーを出せるのですが、いかんせん、トニー・ゴンソリンには失礼ながら先発の谷間でもありました。相手先発がブレイク・スネルということもあり、ゲーム前半にどれだけ失点を抑えるかというのがポイントでした。
レイズ側からすると、大チャンス。なんとしてもGame7に引き込み、チャーリー・モートンで初のチャンプにかけたい、そんな目論見も読める戦前でした。
アロウザリナが先制HR
10(!) homers this postseason. @RandyArozarena is a legend. #WorldSeries pic.twitter.com/SHBnxF6VuM
— MLB (@MLB) October 28, 2020
ゲームは初回から動きました。この日も2番に入ったレイズのランディー・アロウザリナがトニー・ゴンソリンのやや高めに入ったスライダーを狙い撃ち。これがよくのびて、ライトスタンドに入いり、幸先よく先制点をゲット。1-0とします。
レイズはその後もオースティン・メドウズがシングルヒット、ブランドン・ラウが四球で出塁。追加点の大チャンスでしたが、マニュエル・マーゴット、ジョーイ・ウェンドルが連続で凡退。ちょっと二人とも力みましたね。結局、1点のみに終わりました。ゴンソリンはうまく切り替えましたね。
ブレイク・スネルがドジャース打線を圧倒!
先制点をもらったレイズのブレイク・スネルは最高の立ち上がりを見せました。1回は三者連続三振。2回も2三振を奪い、立ち上がり2イニングで5奪三振!
3回表に先頭のクリス・テイラーにこの日初安打を許しましたが、後続を退け、無得点。ゲーム序盤はレイズが試合を優位に進めました。
ブレイク・スネルは4回裏にも三者連続三振を記録。結局、5回を終えて許したランナーはクリス・テイラーのヒット1本だけという圧巻の投球でした。
レイズ、魔の6回
完全にブレイク・スネルに牛耳られていたドジャース打線でしたが、6回裏、1アウトからオースティン・バーンズがシングルで出塁。
この時点でブレイク・スネルは73球。許したヒットは2本のみ。三振も9個を奪い、なんのピンチでもなかったのですが、ここでケビン・キャッシュ監督が降板を決断。
ニック・アンダーソンにスイッチしました。そのニック・アンダーソンは代わりばなにムーキー・ベッツに二塁打を許し、1アウトランナー2、3塁のピンチを迎えます。
そしてコーリー・シーガーの時にワイルドピッチ。これで3塁ランナーのオースティン・バーンズが生還し、ドジャースが難なく1−1のタイスコアに。ムーキーも3塁へ進塁。
そしてコーリー・シーガーはややバウンドの高い1Bゴロ。1Bのチョイが本塁へ投げるも3塁ランナーのムーキーのスタートがよく、ドジャースがタイムリーなしで逆転。2−1とリードしました。
ムーキーが勝利を引き寄せるHR
双方、リリーバーが踏ん張り、ゲームは8回裏に。レイズのマウンドには7回からピート・フェアバンクス。先頭のムーキー・ベッツが2ストライクと追い込まれるも、3球目のスライダーを強振。これがHRとなりドジャースに入り、3−1とリードを2点差に。
これはレイズの反撃の意欲を打ち砕いた強烈な1本となりました。
9回表、ドジャースは7回2アウトからマウンドに上がっているフリオ・ウリアスがそのまま上がりました。ウリアスはマニュエル・マーゴットをRFフライ、マイク・ブロソー、ウィリー・アダムスを連続三振に斬って取り、ゲームセット。
ドジャースが3-1のスコアで勝利。見事にワールドシリーズ・チャンプとなったのでした。
波紋を呼んだ6回の投手交代
今ポストシーズン中、打順のめぐり、代打の起用、ブルペンの回し方などほとんど神がかっているような起用をしてきたレイズのケビン・キャッシュ監督ですが、最後の最後に、もっとも目立つところで波紋を呼ぶ采配としてしまったのが、6回のブレイク・スネルの降板でした。
これはかなり波紋を呼びました。
A・ロッドことアレックス・ロドリゲスは「コンピューターが試合をしているようだ。人間がやっていない。バインダーは目を見えなくする。現実に何が起こっているのかわからなくなる」とツイート。
これは意思決定にビデオゲームのような仕様を持ち出してはいけないという警告の意味だったようです。痛烈です。ちなみにこの前に「Why? Why?Why?」というツイートがあってのこのツイートです。
Computers running the game.
— Alex Rodriguez (@AROD) October 28, 2020
Not humans.
Binders lead to blinders. Manage with blinders on, you miss what’s actually happening in real time.#WorldSeries
フランク・トーマスはもっとわかりやすいです。「過度な分析が招いたメルトダウン。レイズに致命的な打撃。スネルがこのタイトなゲームの唯一のチャンスだったのに、73球で代えるとは!」とこちらも痛烈に批判。ちょっとわかりやすく意訳しています。
Another Analytical Meltdown!! Total Disaster for Tampa. Blake Snell was your only chance of winning a tight game tonight. 73 pitches are you kidding me!
— Frank Thomas (@TheBigHurt_35) October 28, 2020
現役投手からもここで代える?との意見が多数。
視点は変わりますが、監督という仕事は本当に大変だと思います。他の90%以上の良い仕事があったとしても、とても目立つ1つの采配で大きな批判を浴びるのですから。これは審判も同じですね。たくさんの良いジャッジはスルーされ、致命的な1ジャッジが批判されてしまう。
念には念をというのが時にこのような厳しい結果を招くこともあります。
1996年WSのジョー・トーリとデービッド・コーン
マウンドに行くという点で思い出した出来事があります。それは1996年ワールドシリーズ、ヤンキース@ブレーブス戦のGame3。連敗したヤンキースの先発マウンドはデービッド・コーン。肩の痛みを圧してのマウンドでした。ヤンキースがスコア2−0でリードして迎えた6回裏、デービッド・コーンは1アウト満塁の大ピンチを迎えます。
この時、ジョー・トーリはさすがにマウンドへ駆け寄ります。そして、コーンの両肩を持ち、しっかりと目を見つめてこう告げました。「どうだ、コーン、まだ行けるか?」。そうすると、コーンもしっかりと目を見つめて「行けます」と返事。
トーリは「コーンほどの男が行けるというんだから行けるんだ!」と肚をくくってベンチに帰ります。その後、コーンは押出で1点を奪われますが、最大のピンチを最少失点で退け、それがきっかけとなってヤンキースは4連勝。ジョー・トーリの1年目でワールドシリーズ・チャンプになったのでした。
2020年、ワールドシリーズGame6の6回裏。ケビン・キャッシュがマウンドに行った際も、できれば励まして帰ってきてもらいたかったなとは思います。こういう意見はオールドスクールかもしれません。
なおこの時のジョー・トーリは肚をくくったとは言え、ベンチに帰ってからはドキドキの状態で一人で立っていられないほど。相棒のドン・ジマーをまるで恋人にようにピッタリと隣に引き寄せ肩を抱き合い、心配そうに戦況を見守っていたのでした。あまりの二人の近さに心配が見て取れるのと、「気持ちはわかる!」という点もあいまって、笑ってしまった記憶があります。
ドジャース・ブルペンが大活躍!
1回のアロウザリナのHRでレイズがこの試合を完全に支配すると思ったのですが、支配どころか、むしろどんよりとした空気のままゲームは進み、ブレイク・スネルの圧巻の投球の効果を半減させていた感がありました。それはレイズ打線がまったく沈黙したからですが、そうさせたのはドジャースのブルペン。
トニー・ゴンソリンは2回途中で被安打3でしたが、失点1で抑えたのは非常に良かったと思います。そして引き継いだブルペン陣が良かったですね。
ディラン・フローロも1アウトだけで引っ張らなかったのも良かったのかもしれません。アレックス・ウッドは3、4回をパーフェクト。これが効きましたね。
ペドロ・バイエス、ビクター・ゴンザレス、ブラスター・グラテロル、そしてフリオ・ウリアスとブルペン6人で被安打2のみです。しかもBBも0。
ナイス・ピッチングでした。
デーブ・ロバーツ監督は過去投手リレーに失敗することが多かったですが、今ポストシーズンは非常に良かったと思います。
アロウザリナ、HR&安打で記録更新
今ポストシーズン、大いに盛り上げてくれたレイズのランディー・アロウザリナですが、HR数は10本、安打数は29となりました。この2つは1ポストシーズンでの最高記録です。
ランディー・アロウザリナは今ワールドシリーズでは22打数8安打、HR 3,RBI 4、安打数8。打率.364、OBP .462、SLG .773、Rus Soreは5。
ポストシーズン全体を通しては20試合、77打数29安打、二塁打3、三塁打1、HR 10、RBI 14、BB 8、SO 19、打率.377、OBP .442、SLG .831、OPSは1.273でした。
2020シーズンが終了
これで色々とあった2020シーズンが終了しました。レギュラーの2ヶ月強という期間はやはり短く感じましたね。短いレギュラー・シーズンでポストシーズンが盛り上がるのかどうかわかりませんでしたが、やはり普通じゃない試合が見られましたね。良かったです。
これからストーブリーグとなります。
また移籍情報など更新していきますので、今後ともよろしくお願いします。
お読みいただき、ありがとうございました。
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