RIP
現地2020年9月6日、またしても訃報です。
カージナルスのレジェンドで、ホール・オブ・ファイマーのルー・ブロック(Lou Brock)氏が現地2020年9月6日(日)にお亡くなりになりました。享年81才。
直接的な死因は明らかにされていませんが、ルー・ブロック氏は2015年10月に糖尿病の治療の一環で左膝から下を切断。また、2017年4月には多発性骨髄腫と診断されたことを公表。ここ数年は病気と向き合う日が続いておりました。
ただ、その明るさで周囲をハッピーにしていた選手でもありました。
元祖盗塁王
ルー・ブロックの選手時代のことを簡潔に誰かに伝えるには、元祖盗塁王という言い方がもっともシンプルな言い方かもわかりません。筆者も当然、名前は知っていましたが、さすがに現役時代の姿はVTRでしか見たことがありませんでした。
ルー・ブロックは1961年、22才の時にカブスでメジャー・デビュー。1964年6月にカージナルスへトレード。以降、カージナルスに1979年まで在籍。40才で引退しました。
カブスで3年半、カージナルスで15年半プレー。
歴代2位の盗塁数
以下、MLBの通算盗塁数ランキングです。
- リッキー・ヘンダーソン(1979-2003):1,406/ 25年
- ルー・ブロック(1961-1979):938/ 19年
- ビリー・ハミルトン(1888-1901):914/14年
- タイ・カッブ(1905-1928):897/ 24年
- ティム・レインズ(1979-2002):808/23年
リッキー・ヘンダーソンが現れる前、このルー・ブロックがメジャーリーグの盗塁の代名詞のような選手でした。もちろん、リッキー・ヘンダーソンが現れてからもルー・ブロックの輝かしい盗塁記録は光を保ったままです。
シーズン別盗塁記録
ルー・ブロックの成績をシーズン別の盗塁記録にフォーカスしてまとめると、ご覧の数字になります。SBがStolen Basesで盗塁数。CSがCaught Stolenで盗塁死の数です。
Year | Age | Tm | Gm | SB | CS |
---|---|---|---|---|---|
1961 | 22 | CHC | 4 | 0 | 0 |
1962 | 23 | CHC | 123 | 16 | 7 |
1963 | 24 | CHC | 148 | 24 | 12 |
1964 | 25 | TOT | 155 | 43 | 18 |
1964 | 25 | CHC | 52 | 10 | 3 |
1964 | 25 | STL | 103 | 33 | 15 |
1965 | 26 | STL | 155 | 63 | 27 |
1966 | 27 | STL | 156 | 74 | 18 |
1967 | 28 | STL | 159 | 52 | 18 |
1968 | 29 | STL | 159 | 62 | 12 |
1969 | 30 | STL | 157 | 53 | 14 |
1970 | 31 | STL | 155 | 51 | 15 |
1971 | 32 | STL | 157 | 64 | 19 |
1972 | 33 | STL | 153 | 63 | 18 |
1973 | 34 | STL | 160 | 70 | 20 |
1974 | 35 | STL | 153 | 118 | 33 |
1975 | 36 | STL | 136 | 56 | 16 |
1976 | 37 | STL | 133 | 56 | 19 |
1977 | 38 | STL | 141 | 35 | 24 |
1978 | 39 | STL | 92 | 17 | 5 |
1979 | 40 | STL | 120 | 21 | 12 |
19 Yrs | 2616 | 938 | 307 |
昔の選手の桁外れの数字 106盗塁!
1960年代から70年代の野球にまだ分業制が取り入れられていなかった時代は投手でも打者でも桁外れの数字を叩き出していることが多いですが、このルー・ブロックの1978年の盗塁数をご覧になってください。なんと118です。
これを35才のシーズンでやってのけたというのがすごいと思います。そして引退のシーズンでも21盗塁。
打っても3000安打超え
すごいのは盗塁だけではありません。打っても、通算3,023安打。しかもシーズン200安打超えが4度も。
Award
そして獲得した主なAwardと記録はご覧の通り。20HRを放ったシーズンもあります。
- オールスター:6度出場 (1967, 1971, 1972, 1974, 1975 & 1979)
- 1979 NL カムバック・プレーヤー・アウォード
- NL At Bats 1位:1967
- NL Runs Scored1位 : 2度 (1967 & 1971)
- NL 二塁打数 1位:1968/ 46 !
- NL 三塁打数 1位:1968/ 14 !
- NL 盗塁タイトル:8度 (1966-1969 & 1971-1974)
- シーズン20HR : 1度 (1967)
- 100 Runs Scored : 7度 (1964, 1965, 1967, 1970, 1971, 1973 & 1974)
- 200安打達成: 4度 (1964, 1967, 1970 & 1971)
- 50 盗塁達成シーズン: 12度 (1965-1976)
- 100 盗塁達成: 1度 (1974)
- World Seriesチャンプ:2度/ St. Louis Cardinals (1964 & 1967)
- 1985年野球殿堂入り
ジャッキー・ロビンソンのような開拓者
ルー・ブロックは1939年生まれ。1940年代、1950年代と人種差別の厳しい時代を過ごしてきました。
これはいまのBLMの問題に関係なく、バイアスなしに見ても厳しい時代であったと思います。彼が花開いたきっかけはカレッジでプレーしたことから。ここでようやく日の目を見て、プロに入ることができました。
プロに入っても苦労しており、カブスからカージナルスに移ったのもすでにアーニー・バンクスやビリ−・ウィリアムスがチームにいたゆえだと言われています。つまり、ルー・ブロックまで出てしまうと、他の白人選手のポジションがなくなるからという理由です。
しかし、カージナルスで才能が開花。”The Rocket”という愛称を得たくらいに自慢のスピードで暴れまわったのは上述の通りです。
勇気
ルー・ブロックが活躍できたのは単に天性のスピードがあったからという理由だけではないと思います。上のシーズン別盗塁数の表の、1965年までのSBとCSの数をご覧になってください。なんと半分ほど失敗しているのがわかります。これは割と厳しい数字です。
それ以降は確率が上がりましたが、それでもキャリアを通じて圧倒的な成功率ではないのがよくわかると思います。
ひるむことなく果敢に挑戦して、改善していったがゆえの数字です。
この辺の努力が素晴らしいなと思うのです。勇気がありますね。
ここ数年は本当に健康問題で大変だったと思うので、どうぞ安らかに眠ってもらいたいと思います。RIP。
お読みいただき、ありがとうございました。
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