独自ワールド全開
現地2020年8月12日、アストロズのザック・グレインキ(Zack Greinke )が、ミニッツメイド・パークでジャイアンツ戦に先発。
2020シーズン4度目の先発でシーズン初白星を上げました。
ピンチは立ち上がりの1失点のみ
ザック・グレインキは立ち上がり、ジャイアンツのマイク・ヤストレムスキーとアレックス・ディッカーソンの1・2番コンビにわずか5球で1失点を喫してしまいますが、危なかったのはこの一瞬のみ。
自在のピッチング
2回以降は、86−88 mphの4シーム、同じ速度帯のスライダー、2シーム、そしてそれよりやや遅いチェンジアップを自在に操り、さらに最遅で67.4mph (108.46kmh)のスローカーブも交え、ジャイアンツ打線を翻弄。
アストロズの勝利に貢献しました。チームもジャイアンツを5−1で下しています(Box score)。
ザックは7回途中、6.1イニングで94球を投げ、被安打7、失点1、与四球1、奪三振7で、今季初勝利。キャリア通算206勝目です!
指でサインをお知らせ
独特の世界観をもつザック・グレインキですが、この日もやってくれました。
打者に球種を教える行動に出ました。
前年に大騒ぎとなった2017年のアストロズのサイン・スティーリングを揶揄してというより、投本間でのコミュニケーションの問題が大きかったようです。
一番目は、もう明らかに球種がわかる動作。
指2本でブレーキングボールですね。この前に4本を出して4シームというのもありました。
口頭でセットを変更
相手にサインを教えた2つ目は口頭でのサインの変更。これは現場の人には意味がわかると思います。
Second set after one
Second set after two
マルドナードとの複雑なサインをシンプルに
なお1番目の指で球種を教えたのは打者を愚弄している訳ではありません。
プロのサイン交換は複雑で、イニングや2Bランナーの存在いかんなどでキーが変わったりします。
捕手はもっと大変で、シチュエーションだけでなく、投手によってもサインが変わったりするので、たまにPCで言えばバグるような事態が発生します。
可能な限りシンプルにはしているようですが、それでもサインスティーリング・スキャンダルが明るみになった後でも安心してサインを出している訳ではありません。
1番めの指での示唆は捕手との複雑なやりとりを単純にシンプルにした形でしょう。
2番目の口頭による示唆は、”Second set after one” 、” Second set after two”がそれぞれ具体的に何を指しているかは、わかりません。
SecondとOneとTwoが指し示す言葉いかんで意味が変わりますが、ただ、2Bランナーがいたので、サインのシナリオの変更を口頭で説明したのかなとは思います。
2Bランナーがいるのが嫌
ザックは試合後のインタビューで、口頭でのサイン伝達は「自分の責任が50%、マルドナードの責任が50%」と言っています。これはサイン交換がうまく行かなかったことを言っており、だから口頭でスッキリ伝えたということらしいです。
また、ザック自身は2Bランナーがいるのは嫌で、その状況でもたもたするくらいなら、口頭で伝えた方がよいという考えもあったようです。打者もさることながら、まずは互いのバッテリー間の意思疎通を重視したとも言えるかもしれません。
取ってよ!
この日は音声がよい仕事をしました。
7イニング目、先頭のクロフォードにシングルを打たれ、つづくタイラー・ハイネマンに四球を与えノーアウト1・2塁になったシーン。
ザックは、「おい、頼むよ。ビタビタでしょ。あれを見逃すなんてないよ」と。
これは審判に言っているのか、あるいは打者に言っているのか、筆者は審判に言っているとは思います。
前回:イニング間をスタンドで過ごす
なお前回登板の8月7日のアスレチックス戦のお話になりますが、こんなシーンも。
イニング間の休憩をベンチではなく、スタンドで過ごすという。確かにソーシャル・ディスタンスを守っているというのが渋いです。
昨シーズン前半(2019)はバッティングで大いに沸かせてくれました。
後半はトレードデッドラインでアストロズに電撃移籍。
とにかく話題に欠くことのないザック・グレインキ。
今季も楽しませてくれそうです。
的確なアドバイス
なお、このままだとザック・グレインキが変人と思われてしまいかねないので。SNSに上がっていたとても良いエピソードをご紹介したいと思います。
ロイヤルズ時代のお話です。
ザックは2004年にロイヤルズでMLBデビュー、その3年後の2007年にアレックス・ゴードン(現ロイヤルズ、GG賞7度)がメジャーデビューしました。
しかし、ルーキーのアレックス・ゴードンは極度のスランプに陥っています。
そのゴードンを蘇らせたのはザック。ザックはゴードンに「ついて来なよ。面白いものを見せて上げるよ」とビデオルームに連れ出しました。
そこでザックはゴードンのスイングでわずかにおかしいと思われる箇所を的確に指摘。そこをアジャストしたゴードンは復調、2007年シーズンを乗り切りました(134安打!)。
ザックがいなければ、今のアレックス・ゴードンはいないかもしれませんね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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