打者から投手へ転向した珍しいパターン
大谷翔平選手のセンセーショナルな活躍はもう言うに及ばずですが、メジャー・リーグは今季から2Wayの登録が必要となりました。
古くはベーブ・ルース、そして現在ではレイズのブレンダン・マッケイ、レッズのマイケル・ローレンツェンなど大谷選手の他にもファンをワクワクさせてくれる才能豊かな選手が多いのはさすがメジャーリーグというところです。
投手なのに打撃も魅力という点では、2Way登録ではありませんが、Dバックスのマディソン・バンガーナー、アストロズのザック・グレインキ、ブルワーズのブランドン・ウッドラフなどがおります。
これらの選手に共通しているのはいずれも投手に軸足を置いている点です。つまり投げてもすごいが打ってもすごいという特徴ですね。
投手から野手へというパターンは多い
そしてアマチュア時代に投手をやっていたがプロに入って打者に転向というパターンは限りなく多いですね。元レンジャーズのジョシュ・ハミルトンは、2010年にMVPを獲得し、シルバースラッガー賞は通算3度受賞、パッティング・タイトル(打率)、RBI タイトルなど外野手として素晴らしい活躍を見せましたが、アマチュア時代は150kmを超す剛球を投げる投手でもありました。
NPBもそうですね。もともとは4番ピッチャーだったという人が集まって、ふるいにかけられるという世界であることは周知の通りです。
打者デビュー後に投手に転向したハビー・ゲラ
しかし、パドレスのハビー・ゲラ(Javy Guerra #8)は、逆です。打者としてプロに入り、マイナーでも研鑽を重ね、メジャーデビューまでしたにもかかわらず、なんと投手に転向。そして投手としてメジャー・デビューし、今季はパドレスのリリーバーのキーマンの一人にまで成長しています。
ハビー・ゲラとは?
そのハビー・ゲラですが、1995年9月25日生まれの24才(現地2020年7月29日時点)。身長は6フィート0インチで、183cm。決して小さくはないのですが、細いゆえか小柄に見えます。
パナマ出身で、2012年、17才の時にアマチュア・フリーエージェントとしてレッドソックスとサイン。SSとしてプロ入りしたのでした。
キンブレルの交換要員でパドレスへ
そして2015年11月、レッドソックスがクレイグ・キンブレルを獲得したトレードでパドレスに移籍。
このトレードでレッドソックスからパドレスに移籍したのは、ハビー・ゲラとともに現インディアンス・左腕のローガン・アレン、現レイズ・OFのマニュエル・マーゴットと他1名。この事実を見るだけでもレッドソックスがいかにタレントをキープしていたかがわかりますね。
2018年にSSとしてメジャー・デビュー
ハビー・ゲラですが、かなり期待されていたSSで、その証拠に2018年5月4日にSSとしてメジャー・デビューしました。
2018年のSSとしてのメジャーでの成績は、13試合、19打席を経験し、16打数2安打、RBI 1、三振9。
同年トリプルAでの成績は122試合、464打席、430打数、96安打。18 ダブル、9トリプル、13HR。
オフのカリビアン・シリーズでMVP
ハビー・ゲラはスプリングトレーニング前に開催されるカリビアン・シリーズに出場。2019年2月のことです。この時もまだSSです。5試合で打率.389、OBP .389、SLG .722、3ダブルを記録し、MVPを獲得。もう野手として嘱望されている状態でもありました。
2019シーズンから投手にチャレンジ
しかし、ハビー・ゲラはフィールディングには定評があっても、打者としてメジャーリーグでサバイブするには難しいポジションに追い込まれていたのは事実です。出たとしてもバックアップロールという厳しい立ち位置が待ち構えているのを自覚。
そして2019年スプリングトレーニングにおいて、投手転向を決断。4月から6月までは腹斜筋を傷めていたこともありIL入り。そのIL期間が空けた6月4日、投手としてシングルAプラスでデビューしました。
ここからがハビー・ゲラのすごいところなのですが、転向したその年にメジャービューを果たしたのです。
2019年8月18日まではシングルA+に在籍し、17試合、17.0イニングを投げ、ERA 3.71、SO9は12.2。その後はマイナーのシーズン終了となる8月30日までダブルAで過ごし、4試合4.1イニングでERA 2.08、SO9が14.5。
2019年、投手としてメジャーデビュー
2019年9月から今度は投手としてメジャー・デビューを果たしたのでした。2019年のメジャーでの成績は8試合、8.1イニングでERA 5.19、SO9は6.2、BB9は3.1、HR9は3.1。
武器は100mphのファストボール
ハビー・ゲラの投球フォームは「コンパクト」です。とてもきれいなフォームで、野手投げのようにも見えなくもないですが、最近はコンパクトなフォームで投げる投手も多いのでそれほど気になりません。
ボールの伸びはもう投手そのものです。
なんと言っても武器は常時100mph近辺をヒットしているそのベロシティー(速度)。球種はスライダー、カット、カーブ、チェンジアップ、そして2シームと豊富。
やはりもともとはセンスの塊のような選手なのでしょうね。投手転向ですぐに試合でカーブを投げるのですから。
パガンとの2セットアップ
2020シーズンのハビー・ゲラですが、現地2020年7月29日時点で3試合に登板。2.2イニングで自責点1、ERAは3.38。今季の初登板で1失点していますから、ERAの数字は特別いいものではありませんが、信頼感のある投球が続いています。
パドレスは今季、レイズとのトレードでエミリオ・パガンを獲得。現時点でのクローザーロールを担っているドリュー・ポメランツのNO.1セットアップとして機能しています。
ハビー・ゲラはパガンの前を任されています。非常に調子がいいだけに、時にはパガンのスポットも担うこともあるでしょう。場合によってはクローザー・ロールもあり得ます。
打者から投手になったという珍しいパターンのハビー・ゲラ。要注目の右腕です。
同姓同名
なお、メジャー通の方なら、ハビー・ゲラと聞けば、現ナショナルズのリリーバー右腕のハビー・ゲラを思い浮かべる方が多いのではないかと思います。
ナショナルズのハビー・ゲラもパドレスのハビー・ゲラもスペルは同じで、”Javy Guerra”です。
ナショナルズのハビー・ゲラは34才。身長は185cm。
どちらも身長は同じくらいで、文字で区別をつけるのは容易ではないので、しばらくの間はパドレスのハビー・ゲラのことを「細い方の」ハビー・ゲラというふうな書き方をしようかと思います。
非常に楽しみな選手です。Closerにまで化けたらさらに面白さが増しますね。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント