クリス・アーチャー、2020年は全休へ
現地2020年6月2日(火)にパイレーツのエース、クリス・アーチャー(Chris Archer )がTOS(Thoracic Outlet Syndrome)、神経性の胸郭出口症候群の手術を行ったことをパイレーツが3日、明らかにしました。
パイレーツによれば、アーチャーの完全復帰は2021シーズンに。2020シーズンは全休ということになりました。
今回の決定に当たり、血管外科医と整形外科医による数週間のコンサルティングを実行。手術という決断に至りました。
胸郭出口症候群とは
この症状はかなり一般的。そして投手にも多い症状です。「出口」というのは心臓から伸びる血管が胸郭を出たという意味からで、そこに原因があるためです。鎖骨から首の当たりの箇所、そしてより腕に近い箇所などの神経が圧迫されます。
前斜角筋と中斜角筋という首の筋肉の間で圧迫されると斜角筋症候群、鎖骨と第1肋骨の間で圧迫されると肋鎖症候群、小胸筋を通る時に圧迫されると小胸筋症候群、頸椎にある余分な肋骨で圧迫されると頸肋症候群といいます。
これにより、腕のしびれが常態化。疼痛などもあり投手の場合、しっかりと腕が振れません。
2019年の不調の原因はコレだった!
もともとレイズデビュー(2012年)だったクリス・アーチャーですが、2014年、2015年と2年連続で二桁勝利を記録。また2014年から2017年までスターターとして皆勤賞とも言っていい、年間30試合以上のスタートを継続。そのうち2015年と2017年はともに34スタート。そして2015年から2017年までは3年連続200イニングに登板するなどローテーションの柱として機能していました。
2018年のトレードデッドラインでパイレーツに移籍。どうやら不調は2018年から始まっていたようで、2018年はレイズ、パイレーツ双方を合わせて27スタート、148.1イニングに終始。勝敗も6勝8敗、ERA4.31に悪化していました。
さらに悪くなったのは2019年で、29スタート、119.2イニングにとどまり、3勝9敗、ERA 5.19にまで悪化。パイレーツに移籍してからガクッと成績が落ちたように思ったのですが、どうやらこの症状に原因があった模様です。
スタイルの変化にも期待
クリス・アーチャーは現地2020年6月4日時点で31才。今回の手術に関しては投手のキャリアとしてもこの年齢で1年間投げられないのは非常に難しい決断であったと思います。
今までどこかピリッとしなかった面もこの手術を機会に見直してくれれば良いなと思います。
というのもクリス・アーチャーはメジャー8シーズンで通算60勝80敗。レイズ、パイレーツともに厳しい時期での所属となっていますが、負け数が多いのはどこか改善の余地がありそうです。2016年は9勝19敗。
ただ、輝かしい面もあり、悪かった2019年でさえ、SO 9は10.8を記録。三振を奪う力はとりわけ高いものがあります。そういった意味でせっかくの素材なのに残念に思えるところもあるので、なんとか詰めの甘さを改善してくれればと願う次第です。
パイレーツも良いリスタートを
パイレーツの2019年は悲惨で、69勝93敗でナ・リーグ中地区最下位。とりわけ投手陣にトラブルが多い年でした。2度の乱闘、そのうち一つは相手投手がベンチに殴り込みにくるという前代未聞の事態に。
内紛もあり、そしてクローザーのプライベートでの事件とかなり散々なシーズンでした。
経営陣も変わりましたし、このピンチを乗り切ってもらいたいなと思います。
ジョシュ・ベルの台頭など良い面も出始めてはおります。
お読みいただき、ありがとうございました。
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