MLB側が強烈な新提案
現地2020年5月26日、いよいよMLB側とMLBPAとのサラリーに関する話し合いが行われました。
前日の記事では、オーナー側が承認していたレベニュー・シェアリングに対して、選手会側が「繰延(くりのべ)」という手段で合意に持って行こうという戦略があるとお伝えしていましたが、今回のミーティングではMLB側が用意周到とばかりにさらなる新提案を提示。MLBPA側が事前の戦略が吹っ飛ぶほどの衝撃の内容の提示となりました。
50/50のスプリットを実施した場合のレートを提示
今回の提案はオーナー達の意向も反映された、無観客でのシーズン開催となった場合の収益を双方で分けた場合、実際に選手にどのくらい支払われるかを具体的に提示したものとなりました。
ポイント:高額サラリーほど削減される
提示された内容は、スケール・スライド方式と呼ぶべきもので、高額サラリーの選手ほど割り引かれる率が高いというものでした。
計算は、まず51%を引いてから
その計算ですが、まず試合数に比例したprorated salaryにより、通常162試合で開催されるシーズンが半分の82試合になったことで、選手はまずフルサラリーから50%差し引かれます。
正確に言うと162試合が82試合になったので、0.51が掛けられます。
ここまでは3月26日に双方合意した内容でした。
最低年俸は$563.5K→7.3K→2Kへ
ベースとなったのはメジャー最低年俸の金額。51%からさらに引かれるとなると、$1M以下のサラリーの選手、とくにメジャー最低年俸の選手は下手をすると$200Kを切るのではないか?と心配していたのですが、そこまでは引かれない提案でした。最低年俸の選手は51%の金額から7%ほどを引いた金額に落ち着き、$262,000です。
ただ、やはり非常に厳しい提案となっています。
計算はフル・サラリー:$563,000 x 0.51 = $ 287.3K x 93% = 約 $ 262,000。
金額ごとの新提案の年俸
ではフル・サラリーからどれくらいの金額になるか見ていきたいと思います。ジェフ・パッサン氏の出してくれている目安金額がわかりやすいので、それをまとめてみました。
フル・サラリー | prorated 51% | 新提案 |
---|---|---|
$563.5K | $285K | $262K |
$1M | $506K | $434K |
$2M | $1.01M | $736K |
$5M | $2.53M | $1.64M |
$10M | $5.06M | $2.95M |
$15M | $7.59M | $4.05M |
$20M | $10.1M | $5.15M |
$25M | $12.7M | $6.05M |
$30M | $15.2M | $6.95M |
$35M | $17.4M | $7.84M |
トラウト、コールでフルの2割へ
メジャー最低年俸でフル・サラリーからの46%という割合。
2020年のサラリーが$36.66Mのマイク・トラウト、$36Mの ゲリット・コールに至っては約8Mに満たないサラリーで、フル・サラリーの実に2割しかもらえないという計算に。
ポストシーズン・ボーナスの設定
この提案にはポストシーズン・ボーナスとして総額$200Mも設定されています。内訳はDS完了後に$25M、LCS完了後に$50M、WS完了後に$125M。それらを出場選手で割ります。
その大半は高額サラリーの選手に消える見込みです。最低年俸の選手で$5,512という設定に。
次なるMTGでは?
MLBPAは次のミーティングでこれに対するカウンター・オファーを提示する予定で、そこで「繰延」が出てくるかもしれませんが、いずれにせよ、あまりの衝撃に言葉を失っているような状態です。この日のところは、冷静に戻るということで終わった模様。
いずれにせよ6月10日のスプリングトレーニング2.0を一つの目安にするとあまり猶予はありません。
怒り心頭となった選手たちがストライキを持ち出さなければよいのですが、ストになった場合、世論からかなりの批判にさらされるでしょう。
この辺でオーナーやMLB側から足元を見られているところもあるので、次のカウンターオファーに注目したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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