肘は治ってはいなかった
約1週間前の現地2020年2月29日、レッドソックスのクリス・セールが開幕ILになることは当ブログでもご報告させていただきました。
この時点ではスプリングトレーニング前に患ったインフルエンザと肺炎が原因でリハビリスケジュールに遅れが出たことが理由でした。ロン・レニキー暫定監督も当初クリス・セールにはスプリングトレーニングで6回の登板を予定。しかし、上述の理由でそれが叶わなくなったため、しっかりとリハビリプランをこなしてからの2020年デビューということが開幕ILの理由でした。この時点では肘の要素はなかったのでした。
ところが、やはり2019年に痛めていた肘は完治という状態ではなかったようです。
BPセッションで肘痛を発症
クリス・セールは現地2020年3月3日、リハビリ・プロセスの一貫の一つであるBP(バッティング・プラクティス)セッションでマウンドに上がりました。いわゆるシート打撃ですね。
こういうのを見ると、本当に順調そうではありました。
しかし、このBPセッション後に肘痛を訴える事態に。レッドソックスは即座にMRIを実施。
複数のメディカル・オピニオンを収集
レッドソックスはドクターのジェームズ・アンドリュー氏(James Andrews)からMRIのリーディングを実施。さらに現段階ではニール・エラットラチェ氏(Neal ElAttrache)からのリーディングの結果を待っている状態。
これは筆者の推測の域であることをことわっておきますが、複数のソースを読み比べ、行間を読んで行くと、ドクター・ジェームズ・アンドリュー氏はトミージョン手術を勧める方向の診断を下したかもしれませんね。おそらくUCLの断裂までは至ってはいないものの、前年にPRP治療を施した事実も含め、将来のことも考えると今手術を決断しては?という意見だったかもしれません。
31才のクリス・セールが向こう2年を棒にふるようなことになれば復帰は33才です。ニール・エラットラチェ氏がどう見るかというところですね。
手術なしで行けるのかどうか、非常に難しい決断となりそうです。
おそらくまだ20代なかばなら即手術となっていたと思われます。
(追記)痛めていたのは屈筋
現地2020年3月6日、レッドソックスはまだファイナルの決断を下した訳ではありませんが、一つあきらかになったことがあります。それは屈筋を痛めていたこと。屈筋痛はもうトミージョン手術の一歩手前と言われています。UCLは肘の内側の骨と骨をつなぐジョイントの腱。ここを断裂したかどうかでトミージョン手術かあるいはPRP療法にするのか決まることが多いです。
屈筋は手を握った時に肘と手首の間の内側の筋肉が盛り上がる箇所。範囲が少し広いので投手の屈筋痛の場合、それがより肘側にある場所です。UCLのすぐ近く。詳しくはアメリカの肘に関するサイトを(Elbow Injuries in the Throwing Athlete)。本当はこのサイトで掲載されている画像をここに貼りたいのですが、著作権の関係で出来ません。気になる方はご面倒ですが、上記サイトを訪れてみてください。真ん中のイラストの腕が3本並んだうちの真ん中と右の絵がよくわかります。一応、簡単に文章にしたのが上記です。
TJ回避の方向
現地2020年3月4日の段階ではトミージョン手術を回避する方向ではあります。果たしてそれで数年もつどうかというのをニール・エラットラチェ氏、あるいはほかの知見も取り入れて判断するというところでしょう。
トミージョン手術は回避したい方向で可能性を探っているという状態です。なお、レッドソックスは肩肘のケアに非常にうるさいクラブで、無理に回避の方向へ舵を切っているわけではないことも一言添えておきたいと思います。
年平均204イニング
ホワイトソックス時代から投げまくっていたクリス・セールですから、さすがに勤続疲労(造語ではありますが)が蓄積している点は否めません。キャリア通算で1,629.2 IP、年平均 204 IPを誇ります。
- 2010: 23.1 IP
- 2011: 71.0 IP
- 2012: 192.0 IP
- 2013: 214.1 IP
- 2014: 174.0 IP
- 2015: 208.2 IP
- 2016: 226.2 IP
- 2017: 214.1 IP
- 2018: 158.0 IP
- 2019: 147.1 IP
レッドソックスはとにかく、ローテーションをリリーバーからあるいはマイナーから繰り上げることは必至になりそうです。やはりダーウィンゾン・ヘルナンデスの名前も複数のメディアで上がるようになってきました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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