2018MVPのベッツがドジャースへ
現地2020年2月4日、ついにムーキー・ベッツのトレードが成立しました。デービッド・プライスも一緒にドジャースへ動くという破格のブロック・バスター・トレードでの実現です。しかも、ツインズも絡むという3チーム・ブロック・バスター・トレードとなりました。
もう諦めてはいたものの、やはりベッツの移籍が決まってしまいました。プライスが動けばひょっとして!との思いもあったのですが、2人で動きましたね。
(追記3)トレードは形態を変更!
現地2020年2月9日、トレードがついに完結。トレードで動く選手は下記リンクがファイナルのメンバーです。
トレード詳細(第一報)
こちらは第一報のトレードの形態です。3チームトレードでしたが、現地2020年2月10日、BOS-LAD、LAD-MINの2チームずつのトレードに変更となっています。
【ドジャース Get】
(第一報)ファイナルも変更なし(BOS-LAD)
- ムーキー・ベッツ(Mookie Betts/27才):OF/右投げ右打ち/ From BOS
- デービッド・プライス(David Price /34才): LHP/ From BOS
- キャッシュ/ From BOS
【レッドソックス Get】
メンバー変わっています。上記リンクをご参照ください。
(第一報)
- アレックス・ベルドゥーゴ(Alex Verdugo/23才): OF/ 左投げ左打ち/ From LAD
ブラスダー・グラテロル(Brusdar Graterol/21才)RHP/ From MIN※メンバー変わっています!
(ファイナル)BOS-LAD
- アレックス・ベルドゥーゴ(Alex Verdugo/23才): OF/ 左投げ左打ち
- ジーター・ダウンズ(Jeter Downs/21才)SS/ 右投げ右打ち
- コナー・ウォン(Connor Wong/23才): C・2B・3B/ 右投げ右打ち
【ツインズ Get】
(第一報)
- 前田健太投手(Kenta Maeda/31才)RHP / From LAD
(ファイナル)LAD-MIN
- 前田健太投手(Kenta Maeda/31才)RHP
- マイナーリーガー(明らかになっておらず)
- $10Mキャッシュ
【ドジャースGet】(追加)
(ファイナル)LAD-MIN 追加
- ブラスダー・グラテロール(Brusdar Graterol/21才)RHP
- ルーク・レイリー(Luke Raley/25才)OF: 右投げ左打ち
- 2020年ドラフト67位ピック
贅沢税
レッドソックスが今回ムーキーを犠牲にしてまで遮二無二に取り組んでいたのが贅沢税の支払いの阻止。もしも2020年も基準額を上回ると3年連続となり、税率は50%に上がるところでした。さらに2018年は$42Mオーバーの大幅超過だったため、ドラフトの指名順位がトップ指名が33番だったところが、ペナルティーで10番もドロップさせられたため、ただでさえFA選手獲得でプロスペクトが枯渇する中、上位指名で良い若手を指名するチャンスが潰えるという深刻な事態を迎えてきたからでした。デーブ・ドンブロウスキ前社長の「どんぶり勘定ぶり」が伺えたのでした。
レッドソックス、一気に解決
そのレッドソックスですが、課題が一気に解決しました。
2020年の贅沢税算出額は現地2020年2月2日時点で$227,992,917(ざっと$228M)で、約$19.9Mほどオーバーしていました。
ところが今回のトレード成立でデービッド・プライスの$31Mとムーキー・ベッツの$27Mの計58Mが無くなったことで、現地2020年2月10日時点で$188,367,917(ざっと$188M)に減額。$208Mの基準額まで$19.632Mもスペースが空きました。
- 【2月2日時点】約$227.992M →【トレード成立後】$188.367M
ドジャースはオーバー
一方のドジャースはムーキーとプライスの$58Mが加算されたことで、2月2日の時点では$174.720Mだった贅沢税上のサラリーが現地2020年2月10日時点で一気に$220,149,999(約 $220.149M)に増額。
【2020ドジャース高額サラリー選手(贅沢税上算出)】
- プライス:$31M
- カーショウ:$31M
- ベッツ:$27M
- J・ターナー:$16M
- K・ジャンセン:$16M
- ポロック: $12M
- ベリンジャー: $11.5M
- トライネン: $10M
- ジョー・ケリー: $8.33M
- C・シーガー: $7.6M
- E・ヘルナンデス: $5.9M
- C・テイラー: $5.525M(調停後予想額)
- M・マンシー: $4.337M(調停後予想額)
トレードの効果
トレードが成立した3クラブの効果を見てみたいと思います。
ドジャース
ドジャースに関しては下記の記事に書かせていただいています。恐ろしいラインナップになります!
- RF:ムーキー・ベッツ RHB
- CF: コディー・ベリンジャー LHB
- 3B: ジャスティン・ターナー RHB
- 2B: マックス・マンシー LHB
- SS:コーリー・シーガー LHB
- LF: A.J. ポロック RHB
- 2B: ギャビン・ラックス LHB
- C: ウィル・スミス RHB
左偏重がムーキー加入によりかなりバランスが取れるようになりました。別件でジョクのトレードも決まりましたから、ドジャースは念願の右打者補強によい傾向を打ち出せつつあります。
レッドソックス
実はレッドソックスもいい打線になりそうです。ポジション別だとご覧のメンバーになるかもしれません。モアランド、デバース、ベニンテンディー、JBJ、ベルドゥーゴの5人が左打者。
ツインズのローテ
前田投手加入のツインズもすごいローテになっております。
- J・オドリッジ(Odorizzi, J):15-7/ ERA 3.51
- J・ベリオス(Berrios, J):14−8/ ERA 3.68
- 前田健太: 10-8/ERA 4.04
- M・ピネダ( Pineda, M): 11-5/ ERA 4.01
- リッチ・ヒル(L): 4-1/ ERA 2.45
- ホーマー・ベイリー:13-9/ERA 4.57
- ランディ・ドブナック: 2-1/ ERA 1.59
- ルイス・ソープ(L): 3-2/ ERA 6.18
- デビン・スメルツァー(L): 2-2/ ERA 3.86
感想
ブルームさんの仕事
さすがのハイム・ブルームさんでもムーキーを残すというウルトラCまでは出せませんでした。
それでもこの難しい仕事をやってのけたハイム・ブルームさんはやはり力はあるなとは思います。ドンブロウスキさんが残した仕事を引き継いだ上ですから、そこは差し引いて考える必要はあると思います。
ムーキー放出という犠牲の対価を贅沢税の大削減という目に見える形に落とし込んだところは真似することが出来ない仕事かもしれません。彼の立場は苦しかったでしょう。大学でギリシャ哲学を徹底して勉強してきたブルーム氏。贅沢税大削減というミッション遂行のために何に重きを置くべきか、よく考えた上での交渉だったと思います。とりあえず一つの壁はクリアーしました。なお欧米の金持ちはこぞってソクラテス、プラトン、エピクテトスなどをギリシャ哲学を読んでいるが多いそうです。発想が湧いてくるようですよ(蛇足でした)。
BOSファンとしては
BOSファンとしては手放しで喜べるトレードでなかったのは、1つはベッツを囲いきれなかったことですね。ただもうこれは仕方ありません。
プライスは評価の分かれるところかと思います。
スッキリしない感があるのは欲を言えば、事前に期待したところからすると、プロスペクトがもっと入る予定だったのでは?というところでしょうか。
ドジャースは勝者か?
ドジャースは贅沢税のスペースが残りわずかというところまでサラリーが上がりましたが、ギャビン・ラックス、ダスティン・メイ、ジーター・ダウンズ、レブ・ファーガソンを結局守りきりました。この点で勝者かもしれませんね。
追記1:グラテロールのヘルシー度
レッドソックスがツインズからゲットしたグラテロールですが、メディカル・イシューがあることがわかりました。もともと2014年8月に16才でツインズとサインしたグラテロールですが、ドミニカ・サマーリーグで投げていた2015年にUCLを断裂。トミー・ジョン手術を実施。その影響で2016シーズンを全休しました。その後、2019年にメジャーデビュー。しかし、5月に右肩インピンジメント症候群で手術。2019年は10試合、9.2イニングで1勝1敗、ERA 4.66。
もしもメディカル・チェックで問題なければこのままですが、もしも問題が発生すればまだ誰かが動くかもしれません。ファイナライズと宣言するまでは様子を見守りたいと思います。
追記2:
現地2020年2月6-7日の情報ですが、グラテロールの件でレッドソックスはまだプロスペクトを獲れるかもしれません。まだ様子見です。
メディカルに問題なしというツインズに対し、問題ありという見解のレッドソックス。問題ありであれば複数のプロスペクトをという主張をしつつ、ツインズはNO、、、そのような状態。
これに対し、MLBPA(選手会)のトップ、トニー・クラークはとにかく早急に解決すること、渦中の選手がどうなるのか?とリンボーダンスの途中で止められているような状態を長く継続することは許さないと強くコメント。ツインズがまだプロスペクトを放出するのか、あるいはレッドソックスがD・プライスの残り契約に対し、ドジャースに補助するような形を取るのか、いずれにせよファイナライズまでもたもた出来なさそうな状況になってきました。
なお別件ですが、レッドソックスはこれと並行してスプリングトレーニング前にMLB側からサイン・スティーリングの裁定が下ります。そしてそれ次第で次期監督の名前が確定するという紐づきで事が進んでいくと思われます。候補として名前の上がっているロン・レニキーは元ブルワーズ監督ですが、2017年11月にレッドソックスのベンチコーチに就任。現在の地位もそうです。内部昇格はクラブ側、とくに選手とのコミュニケーションにとっては都合がよいですが、いかんせんコーラ体制の参謀のようなポジションだったがゆえに、仮に本人はシロであっても2018年のサインスティーリングに世間はノータッチというふうには見られないところが辛いところです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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