レイズは編成・現場ともに人材の宝庫
現地2020年2月3日、イリーガルなサイン・スティーリング・スキャンダルでGMのポジションが空席になっていたヒューストン・アストロズでしたが、オーナーのジム・クレイン氏が新GM決定を発表しました。
新たにアストロズのGMに就任するのは現レイズ・ベースボール・オペレーション副社長のジェームズ・クリック氏です。
アストロズがGMと監督のポジションを空席にした経緯は下記のリンクに詳細を記載しています。上記のスキャンダルにより監督とGMがMLBの裁定とは別に解雇されてしまった経緯があります。
現レイズ・ベースボールOP副社長から転身
ジェームズ・クリック氏は42才。イェール大卒。2006年からレイズに所属し、通算14シーズンを過ごし、フロント・オフィスとクラブ・ハウス双方で良好な関係性を築き、今の強いレイズを作り上げてきた一人です。
ニーアンダー、ブルーム、クリック!
レイズのフロント・オフィスの中でとりわけ有名だったのが、エリック・ニーアンダー、ハイム・ブルームそしてジェームズ・クリックの3名。フロントオフィスのキーマンあります。後述しますがこの中で残っているのはエリック・ニーアンダーのみとなってしまいました。
”Rays Officers”の構成
参考までに下記は現地2020年2月2日時点でのレイズのフロント・オフィスの面々。オーナーのスチュアート・スタインバーグ(Stuart Sternberg)氏以下、下記のメンバーが主要フロントとして組織されていました。レイズの場合は経営陣とベースボール・オペレーションが混在している感じの組織体制ですね。クラブによっては経営とベースボール・オペレーションを明確に分けているところもかなりあります。
Name | Title |
---|---|
B・オールド Brian Auld | President |
M・シルバーマン Matthew Silverman | President |
メラニー・レンツ Melanie Lenz | Chief Development Officer |
ジョン・ヒギンス John Higgins | Senior Vice President of Administration/General Counsel |
エリック・ニーアンダー Erik Neander | Senior Vice President, Baseball Operations General Manager |
ラファエラ・アマドール Rafaela Amador | Vice President, Public Affairs and Corporate Communications |
ピーター・ベンディックス Peter Bendix | Vice President, Baseball Development |
ジェームズ・クリック James Click | Vice President, Baseball Operations |
バリー・ニューウェル Barry Newell | Vice President, Business Operations and Analytics |
ロブ・ガグリアルディ Rob Gagliardi | Vice President/Chief Financial Officer |
デイブ・ハラー Dave Haller | Vice President, Communications |
フアン・ラミレス Juan Ramirez | Vice President, Information Technology |
ブライアン・リッチソン Brian Richeson | Vice President, Corporate Partnerships |
カルロス・ロドリゲス Carlos Rodriguez | Vice President, Player Development and International Scouting |
ジェフ・タンザー Jeff Tanzer | Vice President, Ticket Sales and Service |
J・リン・トラン Jennifer Lyn Tran | Vice President, HR and Organizational Engagement |
W・ウォルシュ William Walsh | Vice President, Strategy and Development |
E・ワイズバーグ Eric Weisberg | Vice President, Marketing and Creative Services |
B・ウィナー・Jr. Bill Wiener, Jr. | Vice President, Employee and Community Development |
筆者は外資系に長年おりましたが、ここまでVICE Presidentが多い組織は知りません。MLBのクラブは結構このような組織が主流で、分社化させて役割と責任を明確にしようとしているのかもしれませんね。もし日本で言うならVICE PRESIDENTは「部長」のような位置づけではないでしょうか。
アストロズ、体制が決定
アストロズは1月末にダスティー・ベイカー氏を新監督に据えることを発表。今回のジェームズ・クリックのGM就任でようやく野球チームとして上流で編成することができる組織体制になりました。
選手からも怒りを買っている今回のスキャンダル
とは言え、アストロズの2020年は前途多難になりそうです。おそらくスタンドからはスキャンダルを揶揄したゴミ箱を叩くようなパフォーマンスも多くなるでしょう(大きなゴミ箱は警備の関係でスタンドには持ち込めないとは思いますが)。ここに来て厳しいのはMLBプレーヤーの間からもかなり怒りを買っていること。そもそも選手間で噂になっていたことも明らかになりましたし、もうそろそろ誰か内部告発的な動きをするだろうとは見られていました。結局は選手のサラリーにも影響してきたことですから、「自分ごと」となった今、許せないという声が大きいですね。
そんな厳しいシーズンを迎えそうなアストロズにとって、ジェームズ・クリック氏のような良好な関係を構築する達人はクラブハウス内でも大きな力をもつでしょう。
よいクラブ作りに力を注いでもらいたいと思います。
レイズ、大人気過ぎて人材が流出
2019年のレイズのペイロールはMLB30クラブ中28位。なのに、ア・リーグ東地区2位でフィニッシュし、ワイルドカードに進出。最終的にはNLDSで最終戦で敗れましたが、その成果たるやすごいの一言でした。
低ペイロールでポストシーズンで活躍という偉業を成し遂げたのは上記のニーアンダー、ブルーム、クリックの3人の力の大きさがありました。
フロント・現場ともども
レイズの人材の人気ぶりは確固たるもので、たとえばフロントオフィスでは上記リンクの通り、ハイム・ブルーム氏のレッドソックス入り。そして今回のジェームズ・クリック氏のアストロズ新GM就任。
さらに現場では現ブルージェイズ監督のチャーリー・モントヨはレイズのベンチワークを仕切っていた一人。ツインズのロッコ・バルデッリ監督もそう。ケビン・キャシュ監督のアシスタント・コーチとしてレイズのベンチワークで重要な役割を担っておりました。
レイズからどんどん頭脳が流出していくありさまです。
それでもレイズは次なる人材を育むでしょう。なぜなら低コストで戦わざるを得ないからです。
アストロズGMのお話なのにレイズのお話の割合が多くなりましたが、レイズの元幹部なら今季以降のアストロズの運営に大きな貢献をしてくれるだろうとの期待を込めて書かせていただきました。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント