メッツ、ベルトラン双方のもと
エレクトリック・デバイスを使ったサイン・スティーリング・スキャンダルの余波はやはりこの人にも及びました。
現地2020年1月16日、ニューヨーク・メッツは2020年から指揮を執る事を決めていたカルロス・ベルトランの解雇を決めました。これでサイン・スティーリング・スキャンダルによる監督辞任はA.J.ヒンチ、アレックス・コーラに続き、3人め。
メッツの短い発表には”mutually part ways”、「互いに別つ」という言い方で表現されていました。
MLB側からは処罰なし
ヒンチ監督とルノーGMが解雇となる直前に出たMLBロブ・マンフレッド・コミッショナーが出した公式声明にはカルロス・ベルトランの名前は一度しか出ていません。
Approximately two months into the 2017 season, a group of players, including Carlos Beltrán, discussed that the team could improve on decoding opposing teams’ signs and communicating the signs to the batter.
Statement of the Commissioner
選手全員の中の一人としての記載です。声明内にはベルトランの処罰の記載はありません。当時選手だったベルトランがセンターカメラを用いたサイン・デコーディング(解読)からバッターへリレーした行為の首謀ではないという声明文でもありました。
メッツ、解雇に踏み切る
しかし、メッツが解雇に踏み切ったのは、ブロディー・ヴェン・ワゲネンGMが発表した下記のコメントによることになります。
“This was not an easy decision. Considering the circumstances, it became clear to all parties that it was not in anyone’s best interest for Carlos to move forward as Manager of the New York Mets.
ESPN
このコメント自体は単に余波を受けた上、この状況では監督としての道を開くわけにはいかないという曖昧なものでもありますが、こうせざるを得なかったとと思います。
メッツがベルトランを監督して採用すると決めてすぐに今回のThe Athleticによる独占記事が発表されたのでした。
指揮執らず退任は2人め
ベルトランは指揮を執ることなく退任となった訳ですが、これはMLBでは2度目のことで、2004年アリゾナ・ダイヤモンドバックスがウォリー・バックマンの監督就任発表から4日後に解任された例以来です。
ウォリー・バックマンは1986年のメッツのワールドシリーズ・チャンプ戦士。何の因果か、彼もメッツの選手でした。
解任された理由は個人的なFinancial Problem(破産かと)と逮捕歴によるものとされています。リーダーとしての資質に大きな難点があったため、ギリギリのところで解任に至ったのでしょう。
ベルトランは癖を見抜く名人
カルロス・ベルトランは投手の癖を見抜く名人だったとも言われています。これは打者としてなんらかの違和感を配球の読みにつなげるという点では筆者は特に問題とは思っておりません。わかるものはわかりますから。
その顕著な例はALDS 2019 Game5でタイラー・グラスノーのグラブの位置に関するものです。わかりやすい例としてこれを上げましたが、念の為これにベルトランが関わったということではありません。癖を見抜くわかりやすい例として上げました。
残念なのは、ベルトランは本来、野球博士とも言えるような資質をもった人だったということです。彼の知恵が今後現場に活かされない可能性が高いことは野球界にとってはマイナスでしょう。ゆえに報告書上ではベルトランの関与は明確に触れられていなかったものの、火のないところに煙は立たないというスタンスで野球に関わって欲しかったなと思います。
メッツはレッドソックス同様にこれからマネジリアル・リサーチということになりました。ピッチャー&キャッチャー・レポートまで一ヶ月を切っております。
お読みいただき、ありがとうございました。
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