ALイーストに新たな日本人プレーヤー
現地2019年12月17日、読売ジャイアンツからポスティングでメジャー移籍することを表明していた山口俊投手(32才)のメジャー移籍先が決定しました。
トロント・ブルージェイズと2年で契約合意で、フィジカルチェックの後、正式発表となる予定です。
契約内容 2年$6M
山口投手の契約は現時点では年間$3M、2年で$6Mのサラリーということだけしか判明しておりません。詳細わかり次第、追記します。
ポスティングでのメジャー挑戦
NPBキャリア14シーズンの山口投手は2016年途中に国内FA権を取得。シーズン終了後に行使し、読売ジャイアンツへ移籍。その後、巨人軍では2017年から2019年まで3シーズン在籍。
NPBのフリーエージェントの説明には下記のような記載があります。
一度FAの権利を行使し、その後NPB組織のいずれかの球団と契約した選手は、出場選手登録が4シーズンに達したときに「海外FA」となる資格を取得する。
NPB フリーエージェントについて
よって今回は巨人軍での在籍の計算が4年を満たしていないので、「海外FA」ではなく、「ポスティング」でのメジャー移籍となったのでした。
リリース・フィーは.2M+アルファ
MLBがNPBの球団に払う金額のことを「リリース・フィー」と呼びますが、山口投手とブルージェイズが2年$6Mで合意したので、下記の規定の1が適用となり、ブルージェイズから巨人軍には20%のポスティング費用が支払われます。
- $25M(2,500万ドル)で合意した場合→旧所属先に20%
- $50M(5,000万ドル)まで→旧所属先に1 + 次の2,500万ドルの17.5%
- $50M(5,000万ドル)超→旧所属先に1+2+その次の2,500万ドルの15%
- 契約にSupplemental Fee(余剰の料金)がある場合。サイニング・ボーナス(契約金)あるいは、Vesting Option(〜を達成すれば$〜)があれば、それぞれ15%が旧所属先に。
4に記載の通り、サイニング・ボーナス(契約金)やパフォーマンス・ボーナス等のインセンティブなどあればさらに追加となりますが、サラリー分だけを考えれば$6Mの20%なので$1.2Mが巨人軍に。日本円でざっと1億3,000万円ほど(@JPY 109.52/USDのレート)になります。
2019年がキャリアハイだった山口投手
1987年7月11日が誕生日の山口投手は、2020シーズンの誕生日で33才になります。直近の2019年がキャリアハイで26スタート、170 IPで15勝4敗、ERA 2.91、奪三振188と素晴らしいシーズンを過ごしました。
2005年豊作ドラフト
山口投手は柳ヶ浦高校から2005年のドラフトでプロ入り。このドラフトは個人的にも非常に印象に残っています。高校生が豊作と言われていて、山口投手はじめ、T-岡田などいい素材が指名されました。筆者はこの年の選抜高校野球にたまたま観戦に行き、いいタイミングで育英vs東邦のゲームを見ることができました。この時、育英で投げていたのが阪神が3位指名した若竹竜士投手。
若竹と同期
若竹のブルペンを見たとき、ひっくり返りそうになりました。キャッチャーミットの音とボールの勢いが違っていたからです。なんだこのすごいやつは!という感動です。実際、マウンドに上がった若竹は初球のファストボールでスタンドをざわつかせました。「え、何今の?」というざわつきです。そして2球目。誰もがそれが剛球であることを確信するボールが放たれました。ボールが糸を引いてキャッチャーミットに轟音を響かせた時、スタンドから「おおー」というどよめきと同時に拍手が起こったほどでした。こんな逸材が見つかるのだがら、高校野球観戦はやめられないと思ったものです(残念ながらYOUTUBEには2005年選抜の若竹の投球動画が見当たりませんでした)。
かなり話が逸れましたが、山口投手はこの年の出世頭かもしれませんね。若竹投手は2013年にNPBから引退しました。
気になる死球13
山口投手の2019年のスタッツで気になるのはHBP(与死球)の13個。フォアボールの年間60個はBB9で3.4ほどなのでそうでもないのですが、与死球13はかなり気になります。あのアストロズのサイン盗みを告発し、同時に死球王でもあったマイク・ファイヤーズでさえ13個(2017年)が最高。試合数がMLBより少ない中で彼と同じ数字だったのは気になります。当ててしまうと、腕が緩むのでそこが一番の問題です。
ブルージェイズ投手陣
山口投手は一応スターターとしてカウントされています。下記メンバーが2020スターターですが、まずはここに入れるかどうかになると思います。TOP2は確定。残りのメンバーも2019シーズンの実績あり。
【スターター】
- チェイス・アンダーソン
- タナー・ロアーク
- マット・シューメーカー
- トレント・ソーントン
- ライアン・ボルッキ(L)
- アンソニー・ケイ(L)
- ジェイコブ・ワゲスパック(Jacob Waguespack)
- 山口投手
最初は使う側も見てみたいと思うはずなので、リリーバーからの起用になるかもしれませんね。
【ブルペン】
- ケン・ジャイルズ(CL)
- エルビス・ルシアーノ(E. Luciano):19才、100mp右腕
- サム・ガビグリオ
- ウィルマー・フォント
- ジョーダン・ロマーノ
- トーマス・パノーン(L)
- アンソニー・バス(元日ハム)
- A.J.コール
いずれにせよ、スプリングトレーニングでいい結果を出してもらいたいですね。万全の体調で挑まれることを祈っています。
2019シーズン、ブルージェイズは67勝95敗でア・リーグ東地区4位。2020年はヴラディーミル・ゲレロ・ジュニア、キャバン・ビジオ、ボー・ビシェットとかつての大スターのジュニア達が躍動しそうな年でもあります。投手陣のキーマンとして彼らが伸び伸びできるような投球内容を見せれば、さらに追い風は吹きそうに思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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