2019 サイ・ヤング賞
BBWAA(全米野球記者協会)によるMLB2019シーズン・アウォードもいよいよ佳境に入ってきました。この日行われたサイ・ヤング賞の発表、そして翌日行われるMVPの発表でラストです。その後はプレーヤーズ・チョイスに(訂正します。プレーヤーズ・チョイスは10月24日発表となっておりました。見逃してました。すみません>>記事)。
現地2019年11月13日、2019年サイ・ヤング賞の受賞者が発表され、ナ・リーグはメッツのジェイコブ・デグロム(Jacob deGrom)が2年連続2度目の受賞、ア・リーグは本命と言われていたゲリット・コールを抑え、アストロズのジャスティン・バーランダー(Justin Verlander)が24勝を上げた2011年以来2度めの受賞となりました!
Congratulations!
投票方法
サイヤング賞の投票は30人の記者が行うところまではこれまでのROY、MOYと同じなのですが、それらが1位から3位までの記載だったのに対し、サイ・ヤング賞に関しては5位まで記載します。獲得ポイントは1位から5位へ5、4、3、2、1です。
ちなみにMVPの場合は10位までの記載で1位には14ポイント、2位には9ポイント、3位には8ポイントが与えられ、以下4位から10位までは7、6、5、4、3、2、1というふうに割り振られます。
まずは2年連続の受賞となったナ・リーグから見ていきたいと思います。
2019 NL CY YOUNG
ファイナリスト
まずファイナリストはご覧の通りで、勝利数で飛び抜けた投手はおらず。これは2018年同様に非常に評価の難しいレースでした。評価基準を何に置くか、今までの最多勝利数でローテーション・キングにという傾向ではなくなってきているという傾向があります。
- ジェイコブ・デグロム(Jacob deGrom)NYM
- ヒュンジン・リュウ(Hyun-Jin Ryu)LAD
- マックス・シャーザー(Max Scherzer)WSH
Gm | IP | W | L | ERA | SO | WHIP | WAR | |
デグロム | 32 | 204.1 | 11 | 8 | 2.43 | 255 | 0.971 | 7.9 |
リュウ | 29 | 182.2 | 14 | 5 | 2.32 | 163 | 1.007 | 5.3 |
シャーザー | 27 | 172.1 | 11 | 7 | 2.92 | 243 | 1.027 | 5.8 |
NL Winnerはジェイコブ・デグロム
ナ・リーグのサイヤング賞はジェイコブ・デグロムがほぼ満票に近いかたちで受賞しました。
2年連続は11人目
今回、ジェイコブ・デグロムは2年連続となった訳ですが、これは両リーグ合わせて史上11人目。
【連続受賞】11名
- ALで2度:ロジャー・クレメンス (AL 1986-87; 1997-98)
- 4年連続:
- ランディー・ジョンソン (1999-2002) 、
- グレッグ・マダックス(1992-95)
- 2年連続:
- サンディ・コーファックス(1965-66)
- ジム・パルマー(AL 1975-76)
- ペドロ・マルチネス(AL 1999-2000)
- クレイトン・カーショウ(2013-14)
- マックス・シャーザー (2016-17)
- ダニー・マクレイン (AL 1968-69)
- ティム・リンスカム(2008-09)
- ジェイコブ・デグロム(2018-19)
上のリストをご覧になっておわかりの通り、クレメンスに至ってはア・リーグで連続受賞を2度達成しています。そしてランディー・ジョンソンとグレッグ・マダックスは4年連続受賞という圧巻のレコードを持っています。
複数回受賞は21人に
また複数回の受賞者は今回のNLのデグロム、ALのジャスティン・バーランダーを含めて計21人となりました。クレメンスが持っている7度という記録は無双状態のシーズンがいかに多かったかが伺えます。
【複数回受賞者】21名
- 7度受賞:ロジャー・クレメンス
- 5度受賞:ランディー・ジョンソン
- 4度受賞:
- スティーブ・カールトン
- グレッグ・マダックス
- 3度受賞:
- サンディ・コーファックス
- トム・シーバー
- ジム・パルマー
- ペドロ・マルチネス
- クレイトン・カーショウ
- マックス・シャーザー
- 2度受賞:
- コーリー・クルーバー
- デニー・マクレイン
- ボブ・ギブソン
- ゲイロード・ペリー
- ブレット・セイバーヘイゲン
- トム・グラビン
- ヨハン・サンタナ
- ティム・リンスカム
- ロイ・ハラデー
- ジェイコブ・デグロム
- ジャスティン・バーランダー
メッツでは7度目
さらにメッツのサイ・ヤング賞受賞はフランチャイズ史上7度目。トム・シーバー(1969,73,75)、ドワイト・グッデン(1985)、R.A. ディッキー(2012)そしてジェイコブ・デグロム(2018-19)です。
ROYとともにサイ・ヤング賞を複数回受賞しているのはメッツではトム・シーバーに次ぎ、2人目。デグロムは2014年のROYです。そして後述するバーランダーを入れるとこの日で計3人の達成となりました。
NL 投票結果
投票ですが、いざ蓋を開けてみるとデグロムの圧勝でした。それぞれの記者の投票理由まではわかっていませんが、結果だけから推測すると、ERA、WHIP、WARなどかけがえのなさで決まった様相が伺いしれます。もっともWAR自体がかけがえのなさを示す指標ではあるのですが。
Name | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | P |
1. デグロム(NYM) | 29 | 1 | 0 | 0 | 0 | 207 |
2.リュウ(LAD) | 1 | 10 | 8 | 7 | 3 | 88 |
3.シャーザー (WSH) | 0 | 8 | 8 | 6 | 4 | 72 |
4. フラハーティー(STL) | 0 | 5 | 11 | 6 | 4 | 69 |
5. ストラスバーグ(WSH) | 0 | 6 | 1 | 9 | 8 | 53 |
6.ソロカ(ATL) | 0 | 0 | 1 | 0 | 6 | 9 |
7. グレイ(CIN) | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 4 |
8. カーショウ(LAD) | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 |
9. ビューラー(LAD) | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
9. イェーツ(SDP) | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
11. コービン(WSH) | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
他の投手の得票
例えウィナーになれなくとも、どの投手に得票が入ったのかは興味深いです。サイ・ヤング賞にランキングされることは投手にとって栄誉です。レースの上位に位置すれば業績給が増える契約をしている投手も多数おります。
3位のマックス・シャーザーは怪我の期間がありましたので今季はフル稼働ではありませんでしたが、それでもよく票が集まったと思います。
ストラスバーグ
そしてファイナリストには入りませんでしたが、やはりシーズン18勝を上げたストラスバーグにもかなりの票が集まりました。
33試合、209.0イニング、18勝6敗、ERA 3.32、奪三振251、WAR 6.5を上げてどうしてファイナリストに入っていないのかがそもそも不思議なくらいではあったのですが。ERAが重視されたような結果でした。
次にア・リーグを見たいと思います。
AL CY YOUNG
ファイナリスト
ア・リーグのファイナリストですが、別記事で下記のような記載をさせていただいていました。
いみじくもアストロズ由来の3名が選ばれました。ゲリット・コール一択かと思っていましたが、ジャスティン・バーランダーの働きぶりがすごいです。この二人の争いになりそうに思います。
被本塁打はコールが29、モートンが15、バーランダーが36。ゲリット・コールはERAと奪三振で1位、バーランダーはERA、奪三振が2位、WIN、WHIP、IPでトップです。
https://www.mlb4journal.com/2019-bbwaa-award-finalists-were-unveiled/#AL-2
- ゲリット・コール(Gerrit Cole )HOU
- チャーリー・モートン(Charlie Morton )TBR
- ジャスティン・バーランダー(Justin Verlander)HOU
Gm | IP | W | L | ERA | SO | WHIP | WAR | |
コール | 33 | 212.1 | 20 | 5 | 2.50 | 326 | 0.895 | 6.8 |
モートン | 33 | 194.2 | 16 | 6 | 3.05 | 240 | 1.084 | 5.0 |
J.V. | 34 | 223.0 | 21 | 6 | 2.58 | 300 | 0.803 | 7.8 |
Winnerはジャスティン・バーランダー
そして受賞者は僅差でジャスティン・バーランダーとなりました。
数字がその業績を物語っていたと思います。ERA信仰ならゲリット・コールなのでしょうが、総合的にたかい数字を残しており、ERAもさほど離されておらず、WARの数字の良さも決め手になったのかなとも思います。
自身2度目
バーランダーの受賞は上述した通り、24勝5敗の成績だった2011年以来2度めです。元タイガースのチームメイトであったマックス・シャーザーがすでに3度受賞していることを考えると、意外にも少ないと思ったのですが、それもそのはずでバーランダーは過去に2位となったシーズンが3度もあったのでした。
【バーランダーのサイ・ヤング賞ランキング2位のシーズン】
- 2012:1位 デービッド・プライス(TBR)
- 2016:1位 リック・ポーセロ(BOS)
- 2018:1位 ブレイク・スネル (TBR)
同一クラブで1-2フィニッシュは史上4回目
今回はバーランダーとゲリット・コールで1−2位となりましたが、チームメイト同士で1−2位を占めたのはMLB史上4度目のことです。いずれもナ・リーグでの達成です。
- D-Backs: 1. ランディー・ジョンソン- 2. カート・シリング(2001)
- D-Backs: 1. ランディー・ジョンソン- 2. カート・シリング (2002)
- Dodgers: 1. ドン・ニューカム-2. サル・マグリー (1956)
- Dodgers: 1. マイク・マーシャル-2. アンディ・メサースミス (1974)
投票結果
投票はご覧の通りの大接戦でした。
Name | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | P |
1. バーランダー(HOU) | 17 | 13 | 0 | 0 | 0 | 171 |
2.コール(HOU) | 13 | 17 | 0 | 0 | 0 | 159 |
3.モートン (TBR) | 0 | 0 | 18 | 10 | 1 | 75 |
4.ビーバー(CLE) | 0 | 0 | 11 | 13 | 5 | 64 |
5.リン(TEX) | 0 | 0 | 0 | 3 | 12 | 18 |
6.ロドリゲス(BOS) | 0 | 0 | 0 | 3 | 2 | 8 |
6.ジオリト(CWS) | 0 | 0 | 0 | 0 | 8 | 8 |
8.マイナー(TEX) | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 7 |
他の投手の得票
上位2人のマッチレースとなったわけですが、評価して欲しいと思っていたシェーン・ビーバー、ルーカス・ジオリトにも票が入り嬉しい限りです。またレッドソックスのE・ロッド、レンジャーズのランス・リン、マイク・マイナーにも票が入ったのはサプライズ的で良かったと思います。
以上、2019年のサイ・ヤング賞の発表についてでした。
お読みいただき、ありがとうございました。
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