衝撃のロスター・ムーブ
現地2019年8月27日、サンフランシスコ・ジャイアンツは今トレードデッドラインでレッズから獲得したスクーター・ジェネット(Scooter Gennett)をリリースしました。
しかも、厄介払いに使うウェーバーを使用
2017シーズンと2018シーズンにブレークしたスクーター・ジェネットですが、その2シーズンを併せた成績は、打率.303、OBP .351、SLG .508、50HR 、1.135 PA。非常に素晴らしいものでした。
ところが2019年は開幕直前の現地2019年3月22日に深刻な鼠径部痛(そけいぶつう)に見舞われ、ILからのスタートとなりました。復帰したのが3ヶ月後の現地2019年6月28日。
復帰後の2019年の成績はご覧の数字です。
スクーター・ジェネット 2019チーム別成績(現地2019-08-27)
Gm | AB | Hits | AV. | OBP | SLG | 2B | HR | RBI | |
CIN | 21 | 72 | 15 | .217 | .236 | .261 | 3 | 0 | 5 |
SFG | 21 | 64 | 15 | .234 | .254 | .391 | 4 | 2 | 6 |
レッズとジャイアンツを併せて、42試合、133打数30安打、打率 .226、OBP .245、SLG .323、ダブル 7、HR 2、RBI 11。
急激なダウンを否めないですね。
そのスクーター・ジェネットをジャイアンツは早々に見切りをつけた形です。
Unconditional Release Waivers
しかも使ったウェーバーが、Unconditional Release Waivers(アンコンディショナル・リリース・ウェーバー)。不要な選手をリリースしたいときに経る手続きのこと。
これは厳しいです。
このウェーバーの詳細は下記に書かせていただいております。
なぜ厳しいかというと、獲得見込みは非常に少ないからです。
このウェーバーでクレームされた場合は、新しいクラブは元の所属先と交わしていた残りの契約を引き継ぎがないといけません。それこそポストシーズンを見込んでの獲得になります。よほど打てるという根拠のある情報がないと獲得には走らないでしょう。
スクーター・ジェネットは2019年1月に旧所属先のレッズと1年$9.775Mでサインしています。そしてジャイアンツへのトレードが確定した時点ので支払いはレッズが約$6.569M、ジャイアンツが約$3.205M。
もしクレームするチームがあった場合、ジャイアンツ支払い分の約$3.205Mのうち、リリースされた時点からシーズン終了までの残りの$1.78Mを負うことになります。あと1ヶ月で今季のジェネットにこれを支払うクラブが出るかどうかと言えば、非常に難しいです。
そしてウェーバーで声がかからなかった場合、FAとなり待っているのはリーグミニマム近辺の契約。
ジョー・パニック活躍の腹いせか
ジャイアンツは鬼のような裁定を下しましたが、給料を支払いたくなかったのでしょう。
支払いたくないなら、このウェーバーしかなかったのですが、なんと言ってもリリースしたジョー・パニックがメッツで大活躍しているのがしゃくだったのでしょう。そのフラストレーションと当てつけを感じさせます。
そのジョー・パニック(Joe Panik)の成績はご覧の通り。
ジョー・パニック 2019チーム別成績(現地2019-08-27)
Gm | AB | Hits | AV. | OBP | SLG | 2B | HR | RUN | RBI | |
SFG | 103 | 344 | 81 | .235 | .310 | .317 | 17 | 3 | 33 | 27 |
NYM | 17 | 55 | 18 | .273 | .310 | .327 | 1 | 0 | 11 | 5 |
数字にするとそれほどの変化は感じませんが、もともとの守備の良さに加えて、打撃は良い場面でのヒットが目立ちます。なんと言っても得点に絡んでいるという点でRUNがジャイアンツ時代は103試合で33だったのに対してメッツ移籍後は17試合ですでに11。
新しいところに行って、追い込まれた気分でやっているから余計に数字が出るのでしょう。
ジェネットにとっては本当に気の毒と言わざるを得ません。やはり本調子ではないのでしょう。
ロスター・ムーブ
マウリシオ・デュボン
そのスクーター・ジェネットにより空いたロスターにジャイアンツは2Bのプロスペクト、マウリシオ・デュボン(Mauricio Dubon)をコールアップ。
マウリシオ・デュボンはトッププロスペクトで、トレードデッドラインでブルワーズが左腕のドリュー・ポメランツとレイ・ブラックを獲得した相手としてブルワーズからジャイアンツに移籍していました。
タイラー・ロジャース、ジョーイ・リッカード
さらにINFのアビアタル・アベリーノをトリプルAに降格。右腕のトレバー・ゴットの10 Day ILに伴い、OFのジョーイ・リッカード( Joey Rickard)と右腕のアンダースロー、タイラー・ロジャース(Tyler Rogers )を昇格させました。
タイラー・ロジャースはメジャー初昇格です。
双子のメジャー・リーガー
メジャー初昇格となったタイラー・ロジャースは196cmのアンダースロー。1990年生まれの28才。2013年ジャイアンツ10巡目指名でずっとジャイアンツのマイナーで過ごしていました。
マイナーで7年、リリーフで342試合に登板し、23勝13敗、ERA 2.52。
そのタイラー・ロジャースが現地2019年8月27日のDバックス戦でメジャー・デビューしました。1イニングをパーフェクト。
タイラー・ロジャースですが、双子の兄弟がおりそれがツインズのクローザー、テイラー・ロジャース(Taylor Rogers)。
今季は現地2019年8月28日時点で49試合、21セーブ、ERA 2.47、WARが2.1です。メジャー・デビューは2016年、25才の時でした。
なお、双子のメジャーリーガーはタイラーとテイラーを加えて過去に10度ありましhた。
- Taylor Rogers (2016-19), Tyler Rogers (2019)
- Damon Minor (2000-04), Ryan Minor (1998-2001)
- Jose Canseco (1985-2001), Ozzie Canseco (1990-93)
- Stan Cliburn (1980), Stu Cliburn (1984-88)
- Marshall Edwards (1981-83), Mike Edwards (1977-80)
- Eddie O’Brien (1953-58), Johnny O’Brien (1953-59)
- Bubber Jonnard (1920-35), Claude Jonnard (1921-29)
- Ray Grimes (1920-26), Roy Grimes (1920)
- Joe Shannon (1915), Red Shannon (1915-1926)
- George Hunter (1909-10), Bill Hunter (1912)
参照サイト:Rogers twins 10th such pair in MLB history(MLB.com)
タイラー・ロジャース、貴重なアンダースローです。頑張って欲しいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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