選手会投票の結果
現地2022年11月2日、2023シーズンのPlayers Choice Awardsが発表されました。有名なMVP、サイ・ヤング賞、ROY、MOYなどはBBWAA(全米野球記者協会)に所属する記者によって投票が行われるのに対し、このアウォードは現役MLB選手会員による独自の投票によって決定されます。選出されそして適正さを担保するため、監査会社も入っています(2018年はKPMGで、それ以降もおそらくそうではないかと)。
つまり、選手同士がフォールドでどのように見ているのか?というのが垣間見られる賞であり、その選手たちから選ばれるというのは受賞者にとっては非常に名誉な賞であるとも言えます・
Awardの概要
- MLB Players Choice Player of the Year (1人)
- MVP中のMVP。しかも選手が選んだというところが価値のあるところ。
- MLB Players Choice Outstanding Player(AL/NL)
- BBWAA(全米記者協会)の投票のMVPに相当。選手が選んだMVP。
- MLB Players Choice Outstanding Pitcher (AL/NL)
- BBWAAではサイ・ヤング賞に相当。現場が選んだサイ・ヤング賞。
- MLB Players Choice Outstanding Rookie (AL/NL)
- BBWAAではROY(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)に相当。選手が選んだルーキーNO.1。
- MLB Players Choice Comeback Player (AL/NL)
- 怪我などから復帰し、素晴らしい成績を残した選手に贈られます。
- MLB Players Choice Man of the Year (1人)
- リーダーシップをもって他の選手に良い影響を与えた選手に贈られる賞。
- MLB Players Curt Flood(カート・フラッド) Award (1人)
カート フラッド賞は、1970 年代にフリー エージェンシーへの道を開き、野球のリザーブ・ステムに対したカート・フラッドの歴史的な司法闘争を記念して創設されたもの。そのイメージの中で、選手会と選手の権利向上に無私無欲で長年の献身を示した、元プレーヤーに贈られます。なお、亡くなった方もその対象です。
MLB Players Choice Player of the Year
- ロナルド・アクーニャ・Jr.(ATL) OF
MVP中のMVPはブレーブスのロナルド・アクーニャ・Jr.に決定。大谷選手を推す声も大きかったと思いますが、ここはやはり際立った成績が地区優勝に直結した、あるいは地区優勝に近いところに着地したクラブの選手になるとは思います。
ロナルド・アクーニャ・Jr. (ATL ) OF
ロナルド・アクーニャ・Jr.はMLB史上初の40-70を達成(本塁打:41、盗塁: 73)した選手となりました。73盗塁はアトランタ・ブレーブスのフランチャイズ・レコードでもあります。シーズン安打数は右打者でありながら脅威の217安打。その他、106 RBI、149 Runをマーク。1シーズンで200安打以上、100RBI 以上、145 Run 以上、40HR以上を記録したのは、1937年のジョー・ディマジオ以来のことです。文句なしだと思います。
【YOUTUBE】HISTORY! Ronald Acuña Jr. becomes the first member of the 40/70 club!
MLB Players Choice Outstanding Player
- 【AL】大谷翔平(LAA) RHP/DH
- 【NL】ロナルド・アクーニャ・Jr.(ATL) OF
大谷翔平
大谷選手は今シーズンも二刀流で驚異的な活躍を見せました。135試合に出場し、44 HR、95 RBI、78 XBH(エクストラ・ベース・ヒット。ダブル以上のヒット数)をマーク。SLG .654、OPS 1.066、rWAR 10.0 (Baseball ReferenceのWAR)でメジャー首位に立ちました。マウンドでは、132.0イニングを投げて10勝5敗、ERA3.14、167 SO。先発DHとして3度目のオールスターに出場を果たしました。AL HRタイトルを獲得しています。
ロナルド・アクーニャ・Jr.
MLB Players Choice Player of the Yearの項目をご参照。
MLB Players Choice Outstanding Pitcher
- 【AL】ゲリット・コール(NYY) RHP
- 【NL】ブレイク・スネル(SDP) LHP
ゲリット・コール
ゲリット・コール(Gerrit Cole)は33先発で23勝10敗、ERA 2.63。ヤンキースの投手としては過去10年で初めて、1シーズンに2度のシャットアウトを達成。またERA 2.63はALトップであり、ヤンキース史上10人目のAL ERAタイトル・ホルダーとなりました。なお、ERA 2.63は過去43年間でヤンキースの先発史上最も低いERAを記録したことになりました(だいたいが3点台です)。r WAR 7.5 はMLBの全投手中トップ。WHIPは0.98で1.0を切った唯一の先発投手でもあります。
ブレイク・スネル
今季のERA 2.25は、千賀投手の2.98に0.73の差をつけてNLでベスト。資格のある先発投手の中で、ブレイク・スネルは相手打線の打率が.180、被安打 115(最少)で1位。SO 234は2位でした。SOの数と32先発は、レイズで2018年にサイ・ヤング賞を獲得したシーズンの成績を上回りました。
MLB Players Choice Outstanding Rookie
- 【AL】ガナー・ヘンダーソン(BAL) SS
- 【NL】コービン・キャロル(AZ) OF
ガナー・ヘンダーソン
ガナー・ヘンダーソン(Gunnar Henderson)はrWAR 6.3、HR 28、XBH 66をマーク。これはMLBルーキーでトップ。100 RBI(2022年の18と2023年の82の合算)とSLG .489はオリオールズのルーキー・レコードを更新。また、オリオールズ史上初めて1シーズンに二塁打20本以上、三塁打5本以上、本塁打20本以上、盗塁10個以上を記録した新人にもなりました。6月にはALROTM (AL Rookie Of The Month)を受賞。
MLB Players Choice Comeback Player
- 【AL】リアム・ヘンドリクス(CWS) RHP
- 【NL】コディー・ベリンジャー(CHC) OF
リアム・ヘンドリクス
2023年1月に非ホジキンリンパ腫と診断されたリアム・ヘンドリクス(Liam Hendriks)は、治療を終え、5月29日のエンゼルス戦で復帰登板を果たしました。今シーズンは5試合のみの登板で、シーズン終盤にはトミー・ジョン手術となりましたが、難病克服後の復帰に大いなる拍手が送られました。
コディー・ベリンジャー
ドジャースでの最後の2年間は苦戦したものの、カブスで見事に復活。打率は2022年の.210から今季はMLB6位タイの.307まで上昇。OBP.356、SLG .525、OPS .881は、2019年のNL MVPシーズン以降で最高の成績。
MLB Players Choice Man of the Year
- マーカス・セミエン(TEX) 2B
マーカス・セミエン
マーカス・セミエン(Marcus Semien)は2021年以来2度目の受賞となりました。彼は、選手会の代表として、献身的な活動を継続。休日には困っている人々に食料を提供する慈善活動や、少年野球プログラムの指導に積極的に取り組んでいます。また、野球への情熱を示し、野球の価値、精神、伝統を体現している選手を称えるMLBPAAのハート・アンド・ハッスル賞を2度受賞しています。
MLB Players Curt Flood Award
- フィル・ブランドリー(Phil Bradley)
フィル・ブラッドリーは、選手会の特別補佐官として今季で25年目を終え、現役選手の日々のサポートを行っていることが評価されました。激しかった1980年代に選手会の組合のリーダーとして、選手の権利保護に貢献。最終的にはロックアウトにまでなった1990年の交渉では主要な一員として参加。年俸調停やFAの弱体化を狙うクラブ側に対抗し、現在の地位向上に貢献したと言われています。
以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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