サラリー調停の結果
スプリングトレーニングのフルスクアッド(全体参加)がすでに始まっていますが、年俸調停の選手達の結果が出てきております。
スプリングトレーニングが始まった前後に調停の金額が出た選手の状況を記しておきたいと思います。
【勝利】
Dバックス-アーチー・ブラッドリー
リリーバーとしてこれほど適性があったのかと思えるほどDバックスのブルペンの柱として活躍している右腕のアーチー・ブラッドリー(Archie Bradley )はその主張が通りました。
○.1M – .625M
アーチー・ブラッドリーが主張していたのは4.1M。一方のDバックスは$3.625Mという主張。その差$0.475M。日本円にして約5,000万の違いは大きいですよね。
今回3人の調停人の採決でアーチー・ブラッドリー側の主張が通り、2020年のサラリーは$4.1Mとなりました。2019年のサラリーが$1.83Mでしたから、$2.27M、224%アップですね。
3年連続70イニング超え
2017年から本格的にリリーバーへ転向したアーチー・ブラッドリーですが、ここ3年は63試合、76試合、66試合とゲーム終盤のコントロールに大きく貢献。2017年は63試合でERA 1.73という驚異的な数字を出しました。2018年はERAが3.64となったものの、2019年は3.52と前年を上回る数字に。3年連続で70イニング以上に登板しています。
2019年はSO9がキャリアハイの10.9へ。持ち前の向かっていくスタイルがよく出ています。ただ、BB9 は過去3年でもっとも悪い4.5。2020年はここが大きなポイントになりそうです。
MLSが4.112で調停は2021年(2020年終了後)がファイナルイヤーとなり、FAは2022年(2021年終了後)。 かなり酷使されている状況ですのでFA前にへばらないようにしてもらいたいと思います。ゲーム後半の登板ばかりなので無駄球に神経を使うわけにはいきませんが、うまくセーブしてもらいたいところです。
【負け】
フィリーズ-J.T.リアルミュート
フィリーズのJ.T.リアルミュート(J.T. Realmuto )はこちらは調停で敗れました。本人の主張$12.4Mに対し、フィリーズは$10Mを提示。調停での採決はフィリーズが勝利。よって、リアルミュートの2020年のサラリーは$10.4Mになります。
2019年のサラリー
J.T.リアルミュートの2019年のサラリーは$5.9M。こちらはフィリーズ移籍前にマーリンズが調停を避けて契約した額です。今回リアルミュートは敗れたとは言え大台の$10M超えに。
2019年はフィリーズにて145試合に出場。打率.275、OBP .328、SLG .493、HR 25、RBI 83ともはや捕手の消耗の激しい成績とは思えない活躍ぶりを見せました。WARは4.4を記録。2018年に続いて2年連続でオールスター出場とシルバースラッガー受賞を果たし、なおかつ2019年はゴールドグラブ賞を受賞。今やリーグを代表する捕手へと名を連ねつつあります。
契約延長のオファーもすぐにありそう
すでに2020年の贅沢税上のサラリーが$200Mを超えているフィリーズとしては今年は抑えたかったのでしょうね。すぐに契約延長のオファーはありそうです。その場合、誰かをカットしないといけませんが、この辺のフィリーズの戦略は注目ですね。リアルミュートのMLSは5.038(2020年1月)。これが調停のファイナルイヤーで2021年から(2020年終了後)FAとなります。
レッドソックス-エドゥアルド・ロドリゲス
E・ロッドで親しまれているレッドソックスのローテーション左腕、エドゥアルド・ロドリゲス(Eduardo Rodriguez)も調停に敗れました。こちらはE・ロッドが$8.975Mを主張していたのに対し、レッドソックス側が$8.3M。2020年は$8.3Mとなっています。
2019年は19勝
クリス・セール、デービッド・プライス、ネイサン・イオバルディーと開幕から苦しんだローテーション陣の中にあって、ただ一人年間を通じて安定したパフォーマンスを見せたのがE・ロッド。数字にもきちんと出ていて34スタートはもう皆勤賞ですね。203.1イニングを投げ、19勝6敗、ERA 3.81。WARは6.0となっています。
MLSが4.130で2020年終了後が調停のファイナルです。ようやく贅沢税上のサラリーをカットしたレッドソックスですので、まだ契約延長のオファーは出さないと見たほうがいいかもしれませんが、本人は待ち望んでいることでしょう。
2019年のサラリーは$4.3Mでしたので、193%アップです。
ドジャース-ジョク・ピダーソン
ジョク・ピダーソンは大幅に敗れました。本人の主張$9.5Mに対してドジャースは$7.75M。$1.75Mの開きが出ましたが、裁定ではドジャースの主張が通り、2020年のサラリーは$7.75Mに。
2019年のサラリーが$5Mでしたから、それでも$2.225M増の155%のアップ。2019年はHR 36という素晴らしい数字を残し、WARも3.3。ちょっとアピールしすぎましたかね?8Mくらいだったらなんとかなったかもしれませんね。
ツインズ-ホセ・ベリオス
ツインズのエース、ホセ・ベリオス(José Berríos )も敗れました。$4.4M vs $4.025Mという僅差での争いとなりましたが、裁定はツインズの主張を認め、2020年は$4.025Mに。2019年はメジャー最低保証額に色がついた程度の$0.62Mでしたから、アップ率は649%アップ。2019年は32スタートで14勝8敗、ERA 3.68、WAR 3.3で、他のクラブと同成績の投手と比べてしまうと厳しい数字ですが、ステップがありますから致し方ないところかもしれません。
ブルワーズ-ジョシュ・ヘイダー
ジョシュ・ヘイダー(Josh Hader)はもはやMLBを代表するゲーム終盤のキーマンですが、2019年はけが人多数でクローザーロールを任され、61試合、75.2イニングで3勝5敗、37SV、ERA 2.62.SO9はまさかの16.4という恐ろしい数字を叩き出しています。それでもWARは2.6。
そのヘイダーとブルワーズの調停は$6.4M vs $4.1Mとの争いでしたが、ブルワーズの主張が通りました。よって2020年は$4.1Mです。
FA前に疲弊しないで!
2018年は55試合で81.1イニングに登板。2019年は上記の通り、イニング数は減ったものの、かなり厳しい場面を任されてきました。
ジョシュ・ヘイダーのMLSはまだ2.115年。今回はスーパー2の適用での調停でしたが、敗れました。FAが2023シーズン終了後。なんとか疲弊しないで生き残って欲しいと切に願います。
ブレーブス-シェーン・グリーン
2019年のトレードデッドラインでタイガースからブレーブスへ移籍してきたシェーン・グリーン(Shane Greene)も調停で敗れました。$6.75M vs $6.25Mの争いでしたが、ブレーブスの主張が通り、2020年は $6.25Mに。
2019年のシーズントータルのERAは2.30でしたが、これは前半にタイガースに在籍していた時の数字、ERA 1.18が数字を押し下げたもの。ブレーブス移籍後は ERA 4.01と上がっております。この辺が影響したのかどうかというところです。
シェーン・グリーンもここ3年間は71試合、66試合、65試合とかなり投げているので疲弊しないで欲しいところです。良い投げ方はしていると思うのであまり心配はしていないのですが。2019年は$4Mでしたから、一応は$2.25Mアップです。
ロッキーズ-トニー・ウォルターズ
ロッキーズのC兼2Bのトニー・ウォルターズ(Tony Wolters)は$2.475M vs $1.9Mの争いでしたが、敗れています。2020年は$1.9Mに。WARは1.4でした。
【その他勝利】
ご覧のようにキーマンがことごとく調停に敗れてはいるのですが、アーチー・ブラッドリー以外にも調停で主張を勝ち取った選手はご覧の通り。
- ペドロ・バイエス(LAD/RHP) ○$4M vs $3.5M
- アレドミス・ディアス(HOU/INF) ○$2.6M vs $2M
- ヘスス・アギラル(MIA/1B) ○$2.575M vs $2.325M
- ブライアン・グッドウィン(LAA/OF) ○$2.2M vs $1.85M
【調停を避けて延長へ】
フィリーズのヘクター・ネリスは調停では希望額を下回ったものの、調停を避けて契約しました。果たしてフィリーズが履行するかどうかは定かではありませんが。
- ヘクター・ネリス(PHI/RHP: $5.2M vs $4.25M →1年$4.6M (2020)+ 2021 $7M クラブオプション(バイアウトなし)
調停を避けて契約という選手はたくさんおりますが、同時期に出た話題ゆえに彼もここに入れておきました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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