2019贅沢税が確定
現地2019年12月20日、2019年の贅沢税が確定しています。正確に言うと、贅沢税を算出するための課税価格のもととなる選手のサラリーの総額が決定したということになります。
CBT=Luxury Taxのこと
なお、「贅沢税」はLuxury Taxと呼ぶよりも、報道ベースでもCBTと呼ばれることが多いです。CBTは”Competitive Balance Tax “の略です。
2019年の基準額は206Mドル
2019シーズンの贅沢税基準額:$206M。これを超過すると規定に則って課税されます。詳細は下記のリンクに。
2019贅沢税課税基準のサラリーランキング
ではどのクラブが多くサラリーを払っていたのか、リストにするとこのようなランキングとなりました。計算方法などは上記リンクに書いていますが、要はその年の支払額ではなく、契約年数で割った額(AAV=Annual Average)に加えてボーナスなどが反映されています。1位は予想通り。
”AL-E3″などは、ア・リーグ・イースト3位という意味になります。一応、AL-Cはア・リーグセントラル、AL-Wはア・リーグ・ウェスト、NL-Eはナ・リーグ・イースト、NL-Cはナ・リーグ・セントラル、NL-Wはナ・リーグ・ウェストです。
- レッドソックス:$243,653,717: AL-E3
- カブス:$237,199,519 : NL-C3
- ヤンキース: $234,570,107 :AL-E1
- ドジャース:$204,918,530: NL-W1
- アストロズ:$203,750,149: AL-W1
- ナショナルズ:$201,151,337: NL-E2/WSチャンプ
- カージナルス:$197,759,794: NL-C1
- フィリーズ:$192,105,411: NL-E4
- ジャイアンツ:$187,696,576: NL-W3
- エンゼルス:$187,005,990: AL-W4
- メッツ:$186,195,833 : NL-E3
- ロッキーズ:$178,868,840: NL-W4
- ブレーブス:$160,048,438: NL-E1
- マリナーズ:$152,527,395: AL-W5
- レッズ:$150,543,649 : NL-C4
- ブルワーズ:$144,865,948-NL-C2
- パドレス:$142,980,362: NL-W5
- ツインズ:$139,483,897: AL-C1
- ダイヤモンドバックス:$138,023,514: NL-W2
- レンジャーズ:$136,411,784: AL-W3
- ブルージェイズ:$130,552,357: AL-E4
- インディアンス:$129,334,731: AL-C2
- タイガース:$128,891,911 : AL-C5
- ホワイソックス:$115,472,746: AL-C3
- ロイヤルズ:$111,416,246 : AL-C4
- アスレチックス:$109,251,998: AL-W2
- オリオールズ:$ 98,676,098 : AL-E5
- レイズ:$ 92,440,032 : AL-E2
- マーリンズ:$ 86,022,172: NL-E5
- パイレーツ:$ 83,762,989: NL-C5
BOS、CHC、NYYが贅沢税がかかる対象クラブ
$206Mを超えたのはレッドソックス、カブス、ヤンキースの3クラブでした。レッドソックスは予想通りですね。これはもうデーブ・ドンブロウスキ元GMのコスト感覚がどうなっているのか?と見識を疑うほどの編成が響き、3年連続で課税対象に。詳細は下記に記します。カブスも大幅超え。こちらも後述で分析っします。ヤンキースは怪我人続出を補強でカバーしたところが響き、$237M超えという大幅な増額に。
レッドソックス、13.4Mドルの税額
レッドソックスですが、過去3年の状況を見てみますとご覧の通りの状況でした。端数省略は省略しています。
- 2019: $243.65-基準額: $206M→$37Mオーバー 超過2年目
- 2018: $239.48-基準額: $197M→$42Mオーバー 超過1年目
- 2017: $191.88-基準額:$195M→セーフ
【税率】
- 超過1年目:20%
- 2年連続超過:30%
- 3年以上連続で超過:50%
- 基準額を下回ればリセットされる
【超過額によるさらなるペナルティー】
- 基準額の超過が$20M-$40Mだった場合:12% 追加
- 基準額を40M以上超えた場合(税率アップ):
- 1年目:42.5%追加
- 翌年に再び$40M超えとなった場合:45%追加
- 基準額を40M以上超えた場合(アマチュア・ドラフトの指名権):
- クラブの一番高い指名順が10個下がる
- もしそのクラブが上位6番目までに指名できる場合は2番めに高い指名順が10個下がる 。(成績の悪かったチームほどドラフトで上位指名できるのでそのチームの指名が全体6位までに入っている場合はそこはプロテクトして、2番めの指名できる順位が10個下がるということ)
2018年は11,951,091ドル を支払済み
2018年は$239,481,745の贅沢税計算上のペイロールに対し、$11,951,091が課せられました。これは超過1年目で基準額の$42Mオーバーとなりましたので、$40M超えの部分に対しては62.5%もの税率が掛けられた結果です。
- 超過1年目:20%
- 基準額を40M以上超えた場合(税率アップ):1年目:42.5%追加
- ドラフトクラブの一番高い指名順が10個下がる
2019年は13.4 Mドル
2019年は37Mオーバーに対して、2年連続超過分の30%のレートが適用され、さらに、$20M-$40M超えの範囲には12%(この部分は計42%課税)が課せられっることから、$13.4 Mの税額を支払う見通しです。
過去も2017年にリセット
なおレッドソックスは2017年は$195Mの基準額に対して、約$191Mでしたので、課税されませんでした。この年は実はリセットでして、その前年の2016年は$189Mの基準額に対して$204M、2015年も$189Mの基準額に対して、$199.4Mでしたので2年連続で超えていたのでした。
今オフ、ハイム・ブルーム氏が取り組んでいるのも一旦のリセット。戦力を落とさず且つ魅力ある選手を残してどう実現するかという非常に難しい課題に取り組んでいるということですね。
カブスも贅沢税基準額超えに
カブスの贅沢税計算上のペイロールは$237,199,519。もうレッドソックスの背中が見えているような状態でしたね。
- レスター:$25.8M
- ハメルズ: $20M
- ヘイワード:$23M
- ダルビッシュ投手: $21M
- クリス・ブライアント: $12.9M
- タイラー・チャットウッド: $12.66M
- ベン・ゾブリスト: $14M
- キンブレル: $14.3M
- ブランドン・モロー: $10.5M
キンブレルの補強もありましたし、$31Mほど超過しておりました。
カブスは7.6Mドルの支払い
カブスの支払いは$7.6M。$31Mの超過額に20%が課せられ、なおかつ$20M超えの部分には12%が課せられます。
ヤンキースは234.5Mドル
上手にやり繰りしていたように思えたヤンキースですが、カブスとほぼ変わらないところまで積算していました。$234,570,107でしたので約$28M超え。2019シーズンは怪我人で1クラブが作れるのではないかと思うほど離脱者が相次ぎましたからその補強の代金がかかったというところかと思います。
エンカーナシオンは$20Mでしたが、シアトルがかなりの部分をもっていたので、実質$3Mくらいでした。あとは$20M超えがスタントン、田中、エルズベリーと3人もいたうち、エルズベリーの$20Mは痛かったですね。今もめています。
また怪我人の穴を埋めるという点ではヤンキースは今季投手だけで34人、野手は24人を使っていますから、日割りになるとは言えメジャー最低年俸に到達した選手の数も地味にインパクトを残しているとは思います。
税額は$6.7M。20%部分と$20M超えをしている部分が+12%。
さすがのレイズ
そして際立つのがやはりタンパベイ・レイズですね。贅沢税計算上のペイロールは28位なのにア・リーグ東地区2位でワイルドカードを勝ち上がり、NLDSでアストロズと最終戦まで戦ったツワモノ。本当にここはすごいとしか言いようがありません。
ちなみに2018年のイヤーエンドの40man、つまり今回出した数字の1年前のランキングですが、29位でした!
首位を獲ったクラブで最少のペイロールはMIN
ツインズが18位、$139.4Mで地区優勝をしています。ブレーブスは13位、$160Mでナ・リーグ東地区制覇。ブレーブスは今の若手のMLSが4-6になったときにかなり上がるとは思いますが、それでもレバレッジが効いていますね。
取り急ぎ、2020年のFAにも影響が出てきそうな2019年の贅沢税計算上のペイロールについて記載致しました。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント