スティーブン・ライト、今年はPEDs
現地2019年3月6日ですが、レッドソックス・ファンにとってはちょっとつらい報道がありました。
現役でも数少ないナックルボール使いとして知られているスティーブン・ライト(Steven Wright)が、PEDs (Performance Enhancing Drugs)、いわゆる禁止薬物を使用したとして、規約違反のかどで2019年の開幕から80試合のサスペンション(出場停止処分)となりました。
これは前年のDV処分によるサスペンションを含めて2年連続。
もはやどうなるかわからない人という意味で、やっている行動がナックル並みにわからない人です。
手術後の回復に使用か?
スティーブン・ライトは2018年11月13日に左膝の手術を受けております。関節鏡検査と創面切除手術なので、ミラーを入れて患部を探り、その悪いところを削る手術と考えていいと思います。
レッドソックスは今季はブルペンで使うつもりでいたようです。その期待もあり、早くワークアウトしなければと焦ったのかもしれませんが、いずれにせよ、回復を早めるために当該物質を服用したと思われます。
なぜか「家畜」という言葉が
陽性が出たのはGrowth Hormone Releasing Peptide 2 (GHRP-2)という物質。英文名の通り、成長ホルモンのようですね。
この薬の名で検索すると、「日本家畜学会報」というホームページが一番上でヒットします。学術論文なので読んではおりませんが、成長促進で家畜へ使用した場合の影響について書かれてあるのは容易に想像はつくので、どういう理由であれ、選手には摂取してほしくないですね。
コメント
五輪のドーピングテストにおいても風邪薬がひっかかってしまったりだとか、すり替えられてしまうなどのトラブルもあると聞きますので、ご本人のコメントも掲載しておきます。意図的にやってはいないという主張で、ごねるつもりは毛頭ないとのことです。
I was notified by MLB that I failed a test under the Joint Drug Prevention and Treatment Program during this past offseason. Although I do not dispute the validity of the test, I was shocked as I have never intentionally ingested anything for performance-enhancing purposes. I have fully cooperated with MLB and will continue to try and identify the source of the result.
MLBからオフシーズンに行った禁止薬物のテストで陽性が出たという通知を受けました。私はテストの有効性に異議を唱えませんが、パフォーマンスを向上させる目的で意図的に何かを摂取したことが一度もなかったので、私自身ショックを受けました。 私はこれまでMLBに全面的に協力してきましたし、これからもそうします。そして結果の出所を突き止めたいと思っています。
2018年はDVでサスペンション
スティーブン・ライトは2018年にも15試合のサスペンションを受けております。このときはDV(ドメスティック・バイオレンス)。2017年の12月に警察沙汰になるような騒ぎがありました。
さすがに2年連続サスペンションは不名誉ですね。
スティーブン・ライトの実績
スティーブン・ライトは現在34才。サンディエゴ出身で大学はハワイの大学です。
2006年インディアンス2巡目指名。2012年のトレードデッドラインでラース・アンダーソンとのトレードでレッドソックスへ。
2018年は15試合のサスペンションもあり、3スタート、16リリーフで3勝1敗、ERA 2.68。
キャリアハイは2016年、オールスター出場、24スタート、156.2イニング、4完投、1完封で13勝6敗、ERA 3.33。
再契約済み
スティーブン・ライトは2019年1月に調停を回避して、1年137万5,000ドルで合意。前年より27万5,000ドルアップしておりました。
期待料も入っていたところなので、背信と言われても仕方ないかもしれません。
ジョー・ケリー、キンブレルなしの状況
長いシーズンゆえ、トラブルはつきものなので、筆者はスティーブン・ライトを先発で起用するかと思っていました。
しかし、すでにクリス・セール、デービッド・プライス、ネイサン・イオバルディ、リック・ポーセロ、エドゥアルド・ロドリゲスとすでに豪華な5人が決まっているゆえにブルペンでの起用プランだったようです。
そのブルペンですが、前年に活躍したジョー・ケリーはドジャースに移籍。さらにクローザーのクレイグ・キンブレルはもう移籍が濃厚ですから、リリーフが1枚不足するのは痛いところです。
ただ、リリーフ陣も豊富で、マット・バーンズ、ライアン・ブレイジャー、ブランドン・ワークマン、ヒース・ハンブリー、ヘクター・ベラスケス、ボビー・ポイナー(L)、タイラー・ソーンバーグ、ブライアン・ジョンソン(L)らがおり、ライトのサスペンションによる補強はなさそうです。
違った意味でも注目
スティーブン・ライトですが、2年連続でこういうトラブルを起こしてしまいました。こういった人生の悪いトラップのサイクルにハマってしまった場合、どういうふうに悪い流れから抜け出るのか、そういう意味でもライトを見ていきたいと思います。
何より残念なのは、あのおかしな軌道のボールを見る機会が大幅に減ってしまうことです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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