マイナー42クラブのリストアップの余波
現地2019年11月21日の情報になりますが、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏はアーリントンで行われたオーナーズ・ミーティングの後の記者会見でマイナーリーグ削減案の42クラブのリストを明かしました。
42クラブ特定!SIヤンキースもリストに
今回の削減案でリストアップされたマイナーリーグのクラブです。画像クリックで42クラブ全てがわかります。
この中には筆者も訪れたことのあるスターテン・アイランド・ヤンキースも入っています!実は一番上の写真がその球場です。
もう10年以上前ですが、筆者がニューヨークに行った時にマンハッタン以外もくるくる回ったのですが、スターテン・アイランドに行った時にたまたま見つけて撮影したものです。時期は独立記念日の近辺だったのですが、ゲームが行われておらず、ただ、あまりにきれいな外観だったので路肩に車を停めて外から撮影しました。外からでもこれだけ見えるんです。
リアル野球版のニューヨークロケの球場
もう1枚あります。上と同じSIヤンキースのリッチモンドの野球場の内野から外野に向けて撮影した1枚。ひょっとしてこの光景に見覚えのある方はいらっしゃいますか?外野にスタンドがなく、海が広がるこの光景。
そうです。著作権の関係で動画のリンクは貼れないのですが、『リアル野球版』で松井選手が出ていたニューヨークの回の舞台がここです。確かチーム松井でポサダも出ていたと思います。
削減案はLower Levelがほとんど
このリストに上がっているクラブはほとんどがクラスAショートシーズン、ルーキーリーグです。SIヤンキースもショートシーズンのクラブ。
クラスAショートシーズンは少し前までシングルAと呼ばれていた階層をさらに細かく3つに分けたことにより出来たレベルです。Class Aを境に上下に ”+” と ”SS” の計3つのレベルがある中の一番下。
「ショート・シーズン」というのは76試合しか組まれないのでそう呼ばれています(【MLB用語集】 MiLB マイナーリーグのロゴと階層)。
削減案はPBAネゴでずっとあった問題
今回の42クラブの特定は2019年10月のうちに出されていた、マイナーリーグのクラブ全160の中から「26%削減」するつもりと言っていたものを具体的に特定したものになります。
そもそもは2020シーズン終了で失効となる現在のメジャーリーグとマイナーリーグの取り決めであるPBA(The Professional Baseball Agreement)の更新に合わせて行われていたものです。マイナーリーグの数の問題については90年代からずっと話し合われてきました。
2021からドラフトを8月にという案も
新しい規約、つまり2021シーズンから導入しようとするものの中に、現在6月の行われているドラフトを8月にずらすという案もあります。6月はカレッジ・ベースボールのワールドシリーズが行われている最中だからというのが理由です。
北米4大スポーツはよく出来ていて1年中何かしらイベントが行われている状況にあります。ドラフトもその1つです。よってよく計算されたスケジュールだけに動かせるのか?と思ったのですが、改めて整理してみますと、8月案はいいかもしれませんね。ドラフトはNFLを除いてどれもが6月に集中していますし、よく見ると8月はイベントがありません。NFLの開幕前を考え、8月半ば頃にするとちょうどいいかもしれません。
【北米4大スポーツのイベント】
開幕 | ドラフト | ASG | プレーオフ | |
MLB | 3月末〜 9月末 | 6月初旬 | 7月半ば | 10月〜 WSは10月終盤 |
NBA | 10月後半〜 4月半ば | 6月後半 | 2月半ば | 4月半ば〜 Finalは6月 |
NFL | 9月初旬〜 12月末 | 4月終盤 | プロボウル 1月後半 | 1月〜 SBは2月 |
NHL | 10月初旬〜 4月上旬 | 6月終盤 | 1月終盤 | 4月上旬 SCは5末〜 |
ドラフトの人数削減案も
そのドラフト改善案に関して、時期だけではなく現在ラウンド40まで行われている指名をラウンド20でストップしようという案もあります。それも今回の42クラブ削減に間接的につながっています。
マイナーを削減したい4つの理由
マンフレッド・コミッショナーはじめ、MLB側が削減に動きたい理由は以下の4つ。これは以下の4つのどれかに該当するから42クラブを選んだと言ってもいい内容です。
- “inadequate facilities” 不適切な施設
- “Untenable travel due to franchise relocation” 移動の不便と過酷さ
- “Poor pay for minor leaguers” 給料が安い
- Drafting and signing players who “don’t have a realistic opportunity to make it to the majors” メジャー昇格が現実的でない選手を指名している(のでそれらの選手の指名をやめよう→指名人数を減らそう)。
現状でも取り組めそうな課題ばかりとも言えます。1の施設の件は、投資次第かと。2はリーグ再編で近隣で組み直せばいいのでは。3の給与もクラブ側次第とも言えます。なおブルージェイズはマイナーのサラリーの体系を再構築。50%ほど上げる予定です。
Wow 😀
— 色川冬馬@野球界のアンダードッグ (@TomaSendai) November 17, 2019
Blue Jays Minor League salary increase feedback https://t.co/5HI4NwpmCs
4は哲学を詰めていく必要があるとは思います。
42クラブ削減の余波
マンフレッド・コミッショナーの発想として、マイナーの維持にかかる費用は選手の人件費だけでなく、施設、設備の維持費、ユニフォーム費用、移動費などかかっており、クラブ側の負担になっているがゆえに選手の人件費を抑えることにつながっているから、クラブ数を削減すればそれを選手の人件費に回せるだろう?というものではないかと思われます。
しかし、42クラブを削減の余波の影響は多岐に及ぶかもしれません。
まず、1クラブ25人として約1,000人以上のプレーヤーが職を失うことになります。またクラブはいい意味で地元に密着してきたわけですから、地元への経済、雇用にも相当な影響を及ぼしそうです。
マイナーリーガーのサラリーは月1,300ドルが最低。14−15万円です。アメリカの法律でマイナーリーガーのサラリーは一般労働者の最低賃金の対象外と定められました。これはオーナー側の議会へのロビー活動もあったはずです。その意味でブルージェイズのサラリーアップはわりと画期的だったかもしれません。
まとめ
- 42クラブ削減は決定ではない。一応議論に上がった段階
- 2020シーズン終了までは交渉が行われる
- 8月ドラフトも決定ではないが、かなり現実的かもしれない。
- ラウンド20の指名でストップもまだ決定ではない。
2020年終了の期限まではじっくり話し合うよというようなことが書いてあります。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント