ケビン・キャッシュ監督の奇策
現地2019年7月24日、レッドソックス@レイズの3連戦最後のゲームが行われ、1点差をめぐる激しい攻防が繰り広げられました。
ゲーム展開は後述します。
このゲーム、ややこしいシフトがありました。例のケビン・キャッシュ監督の奇策です。
8回に投手が2度守備につく
ケビン・キャッシュ監督が投手を守備につけることは、もはやよくやること。
このゲームでやったことを整理してみます。
8回表、レッドソックスの攻撃は以下の回りでした。
- 9番:JBJ(LHB)に変わって代打サム・トラビス(RHB)
- 1番:ムーキー・ベッツ(RHB)
- 2番:ラファエル・デバース(LHB)
先頭のジャッキー・ブラッドリー・ジュニアが左打ちなので、レイズは左腕のアダム・コラレックを起用。しかし、右の代打を出されたわけですね。
仕方ないので、サム・トラビスに対しては左のアダム・コラレックがそのまま投げて、1Bファウル・フライに仕留め1アウト。
ケビン・キャッシュ監督はラファエル・デバースを見込んで、左腕のコラレックを温存したいと考えます。
そしてムーキーには右腕のチャズ・ローを当てます。ここからが問題になりました。
DHルールとは
DH(Designated Hitter:指名打者)のルールを整理しておきたいと思います。
- DHとは投手に代わって他の選手が打席に入る制度。ピッチャーは打席に入らず、DHとして起用された選手は守備にはつけない。
これはもっともなところです。
- DHはゲーム前に使用することを選択しなければならず、DHで起用された選手は少なくとも1打席は相手先発投手と対さなければならない。ただし、打席がめぐる前に相手投手が代わった場合は例外とする。
- ゲーム開始前にDHを使わないという選択をした場合、そのゲームはDHを使えない。
- DHのところで代打、代走で起用された選手はそのままDHとして同じ打順でゲームに出ることができる。
- もしDHで出ていた選手がゲーム途中で守備につくことになった場合、打順はそのままで守備につくことができる。ただし、以降はDHを使えなくなり、投手が打席に立つことになる。
- またピッチャーがマウンドを降りて他のポジションにつく場合や、代打で出た選手がピッチャーにつく場合、それ以降は指名打者は使えなくなる。あるいはゲームに投げている投手がDHに代わってだけ代打や代走で攻撃に参加することができるが、以降もDHは使えなくなる。
便宜上番号をつけましたが、4番と5番がひっかりました。
レイズの先発
レイズのDHはオースティン・メドウズ。1Bはトラビス・ダーノー。
7回裏、9番のマイク・ズニーノのところに、ジーマン・CHOIが代打で登場。8回表はそのまま1Bとして残りました。そして1Bのダーノーが捕手に。
よって、8回表は以下でスタート
- 1番 C ダーノー
- 3番 DH メドウズ
- 9番 1B ジーマン
- P コラレック
ベッツの時に変更
右打者ベッツの時にこう代わりました。DHメドウズのところに1Bでコラレック。これでDHは消滅。9番に投手チャズ・ローが入る布陣に。ジーマンはベンチに。
- 3番
DH メドウズ1B コラレック - 9番
1B ジーマンP チャズ・ロー
ベッツは凡退で2アウト。
デバースの時に再度変更
左バッターの時に再度動きました。チャズ・ローがベンチに下がり、代わりにネイト・ロウが1B、コラレックが再びマウンドに。
- 3番
1B コラレックP コラレック - 9番
P チャズ・ロー1B ネイト・ロウ
この後に15分のディレイ。コーラ監督が抗議しました。
コーラ監督の抗議
コーラ監督は何を抗議していたかというと、
“They had a pitcher at first base. They had a pitcher on the mound. And they still had the DH,” he said. “Hard to explain. … There’s a lot. Illegal substitutions. But we’ll see what happens.”
投手(コラレック)を1Bに置いて、彼がまたマウンドに上がっていた時、DHがまだ残ってたじゃないか、説明になってない。これは不正だ!
ということで起こっておりました。どうもケビン・キャッシュ監督は打順をきちんとアンパイアに指定していなかった模様。
よって形的にはDHが残ったままになっていたところをコーラ監督が突っ込んだということだったようです。
上のメンバーの入れ替えではきれいに打順とポジションが入れ替わっていますが、後で整理した結果です。
微妙なところですが、現場の監督がDHの打順などをミスした場合、最後はプレート・アンパイアの判断に委ねますので、今回はコーラ監督が主審にぐちゃぐちゃっと押し切られた感があったのでアンハッピーだったということですね。
ただ、きれいに収まってはおると思います。
レッドソックス、モートンを打てず
なお、ゲームはレッドソックスがチャーリー・モートンから2点を奪うも、7回で11三振を奪われ、あと1点がとれず。3−2で敗戦。
レイズ3連戦をスイープしたかったところですが、なりませんでした。
3位レッドソックスは首位ヤンキースと11ゲーム差。25日からいよいよフェンウェイでヤンキース4連戦が始まります。
この期間にトレードデッドラインをどうするか決めそうですが、マーカス・ストローマンはシリーズの最中に決まりそうな感じがしています。もちろん、ヤンキースに。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント