本日の話題ですが、特にキャッチャーの間で波紋を呼んでいる “Pace-of-Play” (ゲームを迅速に)の一貫、”Mound visit Limits”(マウンドに行く回数制限)について書いてみたいと思います。
公式サイト含め4つ、5つのサイトを回ってまとめた情報です。(もし間違えていたら、コメ
ント欄にてご指摘ください)
■2時間55分到達のための”Clock導入”の代わり
まず、マウンドに行く回数制限に至った背景ですが、MLBコミッショナーのマンフレッド氏はとにかく時間短縮を命題にしている方です。
今回、マウンド訪問回数の制限の前にマンフレッド氏は投球間20秒制限のピッチ・クロックの導入をはかりました。場内のストップウォッチに1球ごとの時間が計測される仕組みの導入です。
1球1球の投球間隔を詰めることで試合時間を短くしようという発想ですね。おそらくこれが一番効果のある方法なのでしょう。
しかし、これは選手会側の反発を受けました。
選手会側はそんなことよりもこのオフの遅いFA交渉をなんとかするのが先だろうということで退けました。ただ、これは論点が違うので、いずれMLBPA(選手会側)もしっかりと検討しなければいけませんが、大きな流れとすれば、20秒を計測するピッチ・クロックの導入はそのような事情で2018年は一旦見送られました。
その代わりに導入となったのが、1試合当たりのマウンドに行く回数の制限するということになりました。
(MLB側の当初の提案の要点)
※選手会にハネられた提案です。最初は20秒ではありませんでした!
- 2018年の平均試合時間を2時間55分というゴール設定にする。
- もしその目標に到達できなければ、2019 年から18秒のピッチクロックを導入。(ちなみにバッターにも課せられるという設定)
- そのルールを破ることがあれば、2019年5月1日のゲームからオートマティカリー・ストライク/ボールの罰則を適用。つまり、投手もバッターも18秒以内に次の投球が行われる状態でなければ、投手起因なら1ボールが、打者起因なら1ストライクがカウントされる。
- もし2018年の平均が2時間55分以内なら、2019年のピッチクロックの導入はなし。
- ただし、設定ゴールを2時間50分にする。
- それを達成できなければ2020年にピッチ・クロックを導入
The time-of-game goal for 2018 would be to play games in under 2 hours, 55 minutes; if 2:55 or longer — a failure to meet the goal — then an 18-second pitch clock would be put into effect for the 2019 season, with an automatic ball-strike penalty for violations put into effect on May 1, 2019.
If the average game time was under 2:55 in 2018, then MLB would play in 2019 without a pitch clock, and the time-of-game goal would be 2 hours, 50 minutes. If that goal wasn’t met, the use of a pitch clock would be triggered for 2020.
■マウンド集合は1試合6回の上限
2018年から加わった事項です。
(新ルール)
・1チームが1試合当たりにマウンドに行く回数は6回まで
・延長になった場合は、延長イニングごとに1回はマウンドに行ってもいい。
Mound visits are limited to six per team per nine innings, with teams receiving an additional visit for every extra inning played.
Any manager, coach or player visit to the mound counts as a mound visit under this rule, though visits to the mound to clean cleats in rainy weather, to check on a potential injury or after the announcement of an offensive substitution are excepted.
Normal communication between a player and pitcher that doesn’t require either to vacate his position on the field doesn’t count as a visit.
If a team is out of visits, the umpire will have discretion to grant a brief visit at the catcher’s request if a cross-up has occurred between the pitcher and catcher.
問題は何が回数に含まれるかです。
(カウントされてしまう行為)
- キャッチャーがタイムをかけてピッチャーにサインなどを確認に行くようなケースも1回に!
- 野手がタイムをかけてマウンドに行ってピッチャーに声掛けするようなケースも1回に!
今回、キャッチャーをざわつかせているのがこの行為ですね。
球種やサインの確認、あるいは何か一声かけるような場合にタイムをかけてマウンドに行く行為も1回にされてしまいます。
バッテリー間のコミュニケーションに影響が出るのは必至。ましてや非英語圏の選手同士なら・・・。
ただし、このようなケースはカウントされません。
(カウントされないケース)
- 次のバッターが出てくるまでの間にバッテリーで話したりするケースはセーフ
- 雨中のゲームで野手がスパイクの泥を弾き落とすのにマウンドに行く行為はセーフ
- 怪我の治療中の合間の集合はセーフ
- 代打のアナウンス時はセーフ
- ピッチャー、野手ともにポジションから大声で指示を出したりすることはもちろんセーフ。
■CM時間も変更
設定されるCM時間も2018年は短くなります。
- レギュラーシーズンのゲーム 2分05秒 (前は2分25秒)
- 全米ネットのゲーム 2分25秒 (前は2分45秒)
- ポストシーズン 2分55秒 (変わらず)
これに伴い、投球練習も下記のように設定されます。
- 残り25秒までに ピッチャーは最後の投球練習を投げる。
- 残り20秒以内に バッターのアナウンス開始。 バッターはサークルから出る。
- 残り0秒までに 最初の1球を投げる。
(関連リンク)
MLB.com
以上になります。
どこかのコンサルティング会社が入ってこういう設定にしているのでしょう。
そして、マンフレッド氏がこのように時短を急ぐ背景には、若い世代は間が空くと次の興味に移ってしまうからという理由もあります。野球以外にそれこそゲームも含め、様々な目移り要因が溢れていますので。
ただ、これは野球離れを防ぐ目的というよりも、CMをいかに見せるか?というビジネス面での動機が優先しているように思います。
お読みいただき、ありがとうございましたm(_ _*)m
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